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NPOのバックオフィスってなに?~現役男子大学生がインタビューしてみた①~

皆さんはじめまして。認定NPO法人まちづくりスポット(まちスポとやま)でインターンシップを経験させていただいている実習生の佐藤龍一です。

法学部の大学3年生で、まちづくりや中間支援といった広く「社会貢献」をしごととしているNPO法人に興味を持ち、大学でのインターンシップ紹介動画でこのまちづくりスポットの動画を拝見したことから、インターンシップに申し込みをしました。

この記事は、インターンシップを通じてイベントの開催といった、表に立って活動するコーディネーターのような業務だけでなく、イベント開催の調整や経理、事務処理といった裏方であるバックオフィス業務の側面も見てきました。

高い事務遂行能力を必要とするこの仕事は、NPO法人にとってとても重要なしごとであることを感じました。

今回は、普段外からはあまり目につくことのない、そういったバックオフィスで働かれているスタッフの方2名にお話を伺いました。その中でも本記事では、まちスポ飛騨高山に勤めて約3か月の野首あゆみさんのインタビュー内容を紹介します。(トップ画像左の方です)

NPOの基盤を支える方の思いや活動を少しでも知っていただけると幸いです。

1.NPOとの出会い=まちスポとの出会い
生まれも育ちも飛騨高山な生粋の高山っ子である野首さん。

学生時代は引っ込み思案なインドア派でNPOが関わるようなイベントやボランティア活動にはこれまで接点がなかったそうです。趣味の話題では「探し中」と言いながらも読書の話をしてくださいました。そんな野首さんは、商業系の高校を卒業後、ワーキングホリデーでカナダで1年半過ごしていたそうです。その後、日本語教育に関する短大を通信で卒業。直前の職場がインバウンド事業に携わるもので、このご時世の影響もあり離職、友人の紹介でこのまちスポと出会ったとのことでした。

野首さんにとってこのまちスポとの出会いが、NPOとの出会いでもありました。前職での経理の経験を活かして、現在もまちスポ飛騨高山で会計の作業を主に担当しています。

私は、まちスポのようなNPO法人のスタッフの方々は、学生時代からNPO活動に興味関心があって所属するのだろう、と想像していたのですが、野首さんの上記(まちスポとの出会いがNPOとの初めての接点)の経緯を伺い、本当に多様なバックグラウンドを持つ方々が働いている環境であるように思えました。

2.バックオフィスは「縁の下の力持ち」
先程も述べた通り、前職の経験を活かしてまちスポ飛騨高山でも会計業務を中心に多忙な野首さんですが、同じ経理の業務でも一般企業との「違い」を感じたそうです。

しかし、NPO法人といっても実際に行う作業は、出納帳の記入や金融機関等への支払い、記帳という一般的な企業と業務は変わりません。野首さんの感じた「違い」はその業務の性格にありました。

まちスポ(NPO法人)での経理業務は、「透明性がスゴい」とのこと。

NPO法人の活動資金は、寄付や助成金といった人々の善意が形になったものです。なので、収支から儲けを計算するのではなく、寄付者や支援者あるいは行政に対して分かりやすく示すことができるような作業が求められるそうです。そういった点では、この会計というものはNPO法人の活動の信頼性を担保している業務であるとも言えます。

更に野首さんは会計業務に関しての考えを教えてくださいました。会計業務というのは目に見えないモノやコトの流れを可視化する作業です。
直接的にNPO団体やイベント主催者・参加者を助けるわけではないけれど、その活動をする団体やスタッフを支える環境づくりが会計を含めたバックオフィスの業務であるそうです。まさにバックオフィス業務は、NPO法人まちスポの「縁の下の力持ち」であることが野首さんのお話から感じました。

3.まちスポでの活動
まちスポに所属して比較的日が浅い野首さんは、スタッフになった時点でリモートワークが中心だったようで、まちスポ飛騨高山のスタッフや利用者とみんなで一緒に…というようなことはできていないようですが、各人の得手不得手や昨今の状況による働き方の変化にもスタッフ同士で助け合える温かい雰囲気を感じるそうです。

そんな雰囲気の中でスタッフとして業務をこなす傍らで、野首さん個人としては「NPO法人会計力検定」の勉強を進めているそうです。一般企業の経理とは、用語や見せ方が違うNPO法人の会計業務の能力を向上させるためなんだそうです。

これまでの豊富な経験や現在の能力に飽くことなく成長を続ける野首さん。その姿勢に感動しますし、そういった「やりたい」を実行できる環境がスタッフの中でもあるからこそ、まちスポは、NPOを支えるNPOとして幅広い分野で活躍できているのだな、と感じました。
まだまだ向上心を持って業務に向かう野首さんに将来のことについて伺いました。

4.野首さんの描く「自分」「まちスポ」「地域」の将来
インタビューの終盤、野首さんに「自分」、「まちスポ」そして「地域」について、どうありたいか・どうあってほしいか、ということを質問しました。
野首さん自身に関しては、困っている人、助けを求めている人に対してすぐに動ける人になりたい、とおっしゃっていました。インタビュー中でも私の不慣れな進行に対してもすかさずフォローを入れて空気を和ませて貰っておりました。インタビューの最中でその精神は端々に表れていたように思います。
まちスポに関しては、安心・安全で、いろんな人がふらっと立ち寄ることができる団体や居場所でありたい、とおっしゃっていました。
確かに助けを求めている人たちというのはどうしても行動に移しづらいもの。そういった方々でも利用しやすい空間であることは、NPOとして最も重要なことのように思います。

地域(飛騨高山)に関しては、移住者・定住者にとって住みやすい環境にしたい、とおっしゃっていました。
その活動をまちスポでやっていきたい、とも。まちスポが窓口としてそういった環境を整えていきたいそうです。

将来に対する明確なビジョンを持っている印象を受ける野首さん。将来を見据えているからこそ現在の業務や課題にも真摯に取り組んで次につなげていこう、というような思いを感じました。

5.さいごに
野首さんへのインタビューを通して一つ思ったことは、とても「いい人」だな、ということ。前述もしましたが、話に詰まった時に話題を振ってくれたことはとてもありがたく、私の人生初のインタビューを成功させていただいたのは野首さんのおかげです。

「助け合い」の精神が活動の根底にあるNPO法人であり幅広い活動で社会の様々なところでイベントをし、色々な団体に支援を行っているまちづくりスポット。

そこではたらく野首さんの困っている人を助けたいという思いや、まちスポを安心・安全な居場所にしたいという思いを伺いました。

その思いは、まちスポの設立に携わった大和リースがフレスポ飛騨高山にまちスポとなるコミュニティスペースを設置した当初の願いと同じであり、NPOとして、まちスポとしての根幹の思いはスタッフに共有され受け継がれているのだな、と感じました。