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アクティブファンドとパッシブファンド(投資信託で投資する上でどちらがよいか)

老後資金2000万円報道や積立NISA,IDECOなど税制優遇による政策的な長期積立投資への誘導などで、「投資信託で積立投資すること」への関心が高まっているようです。

とはいえ商品の種類が多すぎて何にしたらよいのか分からないということもありがちですが、今回は大枠での比較として、「アクティブファンド」と「パッシブファンド」ならどちらかがよいか考えてみます。

「パッシブファンド」とは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など株価や債券の指数(インデックス)に、ファンドの基準価額が連動するような運用を目指すファンドのことです。

たとえば、TOPIXは東証1部上場銘柄の時価総額を指数化したものですので、すべての東証1部上場銘柄を時価総額の割合に応じて持つことによって、TOPIXの動きと投資損益の成績が連動するようなファンドを組成することができます。

つまりパッシブファンドとは、株式なり債券なりの、そのファンドの投資内容とする資産について、特定の市場での「全部」を選ばすにとにかく持つようなものと考えてだいたい間違いありません。

一方、「アクティブファンド」とは、運用会社やファンドマネジャーが独自の見通しや投資判断に基づいて、ベンチマーク以上の収益を目指すファンドのことです。

日本株式を投資対象とするアクティブファンドの場合ですと、ファンドの人は、「A社は成長性があって株価が上がりそうだから保有する。B社は上がりそうもないから持たない」というような個別の判断をして、ベンチマーク以上、すなわち、とにかく全部を買っておくパッシブファンドよりも良い投資結果となるようにプロの目で銘柄を選別して投資するというものです。


投資信託は、お金を預けて投資をしてもらう仕組みですので、投資信託の運用会社などへの手数料が必要となりますが、パッシブファンドは、「とにかく全部買う」ので分析等の手間がいらず、手数料が安い。アクティブファンドは、「プロが銘柄を選ぶ」ので手数料が高い。という特徴があります。

たとえば、日本株式を対象とする投資信託でパッシブファンド、アクティブファンドについてそれぞれ純資産額が大きいものの手数料をみると次の通り

(パッシブファンド)
野村アセットマネジメント TOPIX連動型上場投資信託 
→信託報酬等合計 0.12%
野村アセットマネジメント 日経225連動型上場投資信託
→信託報酬等合計 0.24%
大和証券投資信託委託 ダイワ 上場投信-トピックス
→信託報酬等合計 0.12%

(アクティブファンド)
レオス・キャピタルワークス ひふみプラス
→信託報酬等合計 1.08%
フィデリティ投信 フィデリティ・日本成長株・ファンド
→信託報酬等合計 1.68%
さわかみ投信 さわかみファンド
→信託報酬等合計 1.10%

信託報酬等の率は、年率の信託財産に対する手数料等の比率です。実際は時価ベースでの算定になりますが、簡単にいうと、例えば100万円分の投信を購入したときには、信託報酬等が1%なら、毎年1万円が手数料として信託財産から徴収されることになります。


では、手数料が安いけれども銘柄の分析等はしないでとにかく全部買っているだけのパッシブファンドと、手数料は高いけれども投資のプロが銘柄を分析して選別して買っているアクティブファンドとでは、平均的にはどちらがいいのでしょうか。

この点について、投資信託の格付け評価を中心として、投資情報の配信等をしているモーニングスター㈱のレポートで、2018年までの10年間の成績の比較がされていますので引用します。

(以下、モーニングスターのWEBサイトより引用 https://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2018/1q/MFA120180308.html


図表:一般向けファンドのアクティブ・パッシブ別、インベスターリターン平均とトータルリターン平均の比較(過去10年間)

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トータルリターンとはその投資信託を持ち続けた場合の年率リターンの平均です。
インベスターリターンとは、その投資信託に投資した人全体での年率リターンの平均です。たとえば、投資信託の成績が悪くマイナスになったようなときに投資していた人の多くが解約して、解約した後に大きく成績が上がったというようなケースでは、もし持ち続けていればトータルリターンを得らえていたけれども実際には損を確定して解約した人が多かったためインベスターリターンは低くなります。

この図表から、過去10年では、アクティブファンドは(全体としては)パッシブファンドを上回る成績を上げられていないことが分かります。

日本における10年間の結果を示したもので、それ以前はどうか、諸外国においてはどうか、という疑問もあろうかと思いますが、長期的にも、全世界的にも、アクティブファンドの方がパッシブファンドの成績を有意に上回る。という結果はほとんどありません。

そうであるなら、特に長期の積立投資では、手数料が安いという確定的なメリットがはっきりしているパッシブファンドでの運用を選ぶべきである。ということは、実は投資のプロの間では暗黙の常識である。といっても過言ではないのです。




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