苦しみを感じることの意味

進化心理学によると、「ある心理メカニズム(例えば「怒り」)をもつ個体が、この心理メカニズムをもたない他の個体に比べて生存・繁殖の上で優位に立つならば、自然選択の過程を経て、その心理メカニズムは種全体に広がっていくだろう、と考えられる。逆に、現在から過去を推測すると、ある形質が種内の個体の多くに普遍的にみられる場合、その形質は進化史の中で生存・繁殖の成功に役立つ何らかの機能を果たしてきたと考えられる。」とされています。

私たちの苦しさや悲しみや怒りといったネガティブな感情も、「こういう条件のときにはこういう感情が起きるように遺伝情報がデザインされている個体の方が優位であった。」という自然選択という試行錯誤を何百万年も積み重ねてきた結果として今はこうなっている。と考えるわけですね。

そうすると、できれば起こってほしくはない感情だけれども、そのように感じることが生存等の上で、確率的には優位に作用する「現象」だからそうなっているのだ。むしろ「必要」な出来事なのだ。ととらえることもできるように思います。


先天的な問題で(肉体的な)痛みを感じることができない病気の人をテレビの番組で見たことがあります。

痛さを感じないならば便利で良いのではないかというと、確かに、痛みによる苦痛はないのでしょうが、痛いと感じることができる人なら、ケガであれば患部をかばって負荷のかかる運動を控えたり、病気なら安静にしているところ、そのような対応ができないので、自由にしているとダメージを蓄積して命にかかわるということで、自由に行動することもできないというものでした。


ヒトは苦しさを感じることで普通にやっていけるように出来ているもの。そう考えると、少し気持ちも軽くなるかもしれません。


サポートいただいた金額は、面白そうなものやサービスに使ってレポートをしたいと思います