馬渕さんの"がん告知"から感じたこと
今日のnoteはこんなテーマで書いてみたいと思います。タイトルは暗いかもしれませんが、なるべく楽しく書いていきたいと思いますのでご容赦ください!
皆さんは、「がん」と聞くとどんなふうにお感じになりますか?
怖い
死と向き合わなければいけない
なんとしても助かりたい
色んな思いが頭の中をよぎることと思います。
私自身は、まだ「がんの疑いあり」と言われたことはないのですが、もはやがんは日本人の二人に一人が生涯に一度はかかるとされている疾患。私の家系にも、がんになった親族がいることからすると、自分もそのうちなる可能性はあるなって思います。
なぜこんな話を急にしたかというと、数日前にこのYouTubeを見たからなんです。
株式投資を始めるようになって、勉学のために定期拝聴させていただいている経済アナリスト馬渕磨理子さんのチャンネル。馬渕さんは滋賀県出身。同郷ということもあって、いつも楽しみに拝聴していたんです。
ですが、この日は神妙な面持ち。私は製薬業界で長年勤めていることもあり、タイトルを見た瞬間に「あぁ、たぶん乳がんだな。」って直感的に思ったんですね。
乳がん。
聞くと恐ろしい病気のように思うかもしれません。確かに乳がんは死亡の原因になりうる疾患です。ですが、早期診断や技術・治療がより進んでいるがんの一つであるのも、また事実なんですね。
馬渕さんのニュースを見た時に私が率直に感じたこと。それは、ここまでしっかりと事実を受け止め、がんと向き合っていらっしゃるなら、まず間違いなくがんを克服され、またYouTubeやテレビ番組にも元気に戻って来られるだろうな、ということ。
がんに対して"知識"があったから、冷静に馬渕さんの報告を受け取れたんだろうなと思いました。
今日のnoteでは、そんな私がこれまでに私生活やお仕事で「がん」と関わる中で学んできたこと、今感じていることを率直に書いてみたいと思います。
がんを患うことは、いつ、誰にだって起こりうる
これを衝撃的に感じた体験が私にはあります。実は私、中学生の時に同級生をがんで亡くしているんです。脳腫瘍だったように記憶しています。
当時の私は、当然ながらがんに関する知識なんて何もありませんでしたので、がんで同級生が死ぬなんて想像だにできませんでした。しかもついこの前まで元気に過ごしていたのに。
彼のお葬式の時のことは今だにぼんやり記憶に残っています。親友とまでではなかったですが、それでも保育園から小学校・中学校と、同じ生活圏内で暮らしていたので、その彼の声がもう聞けないと思うと、なんだか信じられない気分になりました。
それ以降も、特に年齢を重ねるに従い、知人(多くは自分より年配の人です)が、がんと闘っている、がんで命を落とした、といった話を耳にするようになりました。
これだけ話を周りから聞くということは、自分もそのうちいつか「あなたの体にがんが見つかりました。」と言われてもおかしくないんだろうな。ってほんと思うんですね。
いくら健康にしていても、いくら定期的に検診を受けていても、起きてしまう時には起きてしまう。だからこそ、いつでもその事実を受け止められるだけの冷静さを兼ね備えておかないとな、と感じています。
がんと向き合うのも、リテラシーが重要
キャリアの中でがん治療と精通していた時期がありました。もう10年以上前のことです。
がんというのは一言で言っても多種多様で、ヒトの生命にも関わる疾患なので、日夜研究が盛んな分野の1つでもあります。
今ではがん以外の領域でも主流になりつつある抗体医薬製品(なんたらマブ)ですが、がん領域においては、2000年代前半からハーセプチン(トラスツズマブ)などの新薬が登場しだしていました。
医薬品のみならず、がん領域においては、バイオマーカーの開発やコンパニオン診断薬、ロボット手術などの新しい技術が次々と登場しては、治療を進化させていきました。(当然ながら、それは今なお続いています。)
でもね、そういった知識を知れば知るほど感じることは、世間一般市民との知識のギャップ。その代表とも言えるのが、自分自身の両親です。
私の両親のように、ヘルスケア領域に精通せず、狭いコミュニティーの中で生活している人たちは、いとも簡単にメディアや知人からの情報に惑わされてしまいます。
「テレビで◯◯さんが、XX言っていた。」
「知人の◯◯さんが、XXが良いと言っていた。」
正しい情報を調べる手段がわからないので、自分に近しい人から情報を取ろうとしてしまうんですね。
もちろん、その人ががんに関する専門家であれば、多少は問題ないでしょう。ですが、そんなケースは稀ですし、たとえ専門家であっても、がん領域を幅広く、細部まで理解している人はほとんどいないと思って間違いありません。
じゃあどこから情報を取れば良いのでしょう?
私のおすすめは、こちらのサイトです。
国立がん研究センターが一般向けに発信している情報サイトです。
私もがん領域に仕事で関わって知ったことなのですが、日本は海外とも比較して、かなり「がん」に関する統計データがまとまっている国です。
どのがんが、どの年代で、どれくらい発生しているのか?それぞれの進行ステージは?各ステージや患者セグメントにおける標準的な治療法は何か?そんなことが他国と比べて確実に、クリアに示されているんですよね。
はっきり言います。日本で育った我々はラッキーです。こんなに情報が整備されており、診断も多くの場合において比較的早く、手術等の技術力も高く、かつ治療費も健康保険がカバーしてくれる国、日本以外にありません。
正しい情報にさえ確実にアクセスできれば、多くのケースで、私たちは現代の医学が叶えうる最も理想とする治療を簡単に受けることができるのです。
がん診断を受けるその日のために
上にも書いたように、私、いつか自分自身もがんだって言われる日がそのうち来るんだろうなって思ってるんですね。
日々ジョギングやヨガ、空手なんかをして、健康には気をつけているものの、日々の晩酌やジャンクフードなど、そこそこ不摂生な部分もありますし、胃腸系も弱かったりと、まぁ自信ないんです。
だから、「がんにならないように」、というよりはむしろ「もし、自分ががんになったら」って考えるようにしています。
そう考えるからこそやっておきたいことを紹介して、このnoteを締めくくりたいと思います。
① 健康・体力づくりを普段からする
がん治療を学ぶようになって思ったんですね。結局治療を受けるにしても、普段から健康な人、そして体力がある人ほど、使える選択肢が多くなるんだなと。
具体的にいうと、たとえば、75歳以上の高齢者で、手術が適用できる人って比較的体力が残っていて、臓器的にも健康な人くらいなんですね。やっぱり開腹手術とかって身体にとってはダメージだし、そのダメージを回復させられるのは、やっぱり本人の生命力や修復力なんです。
ヨボヨボのおじいちゃんに「じゃあ手術しましょう」ってならないじゃないですか?内面的な老いに陥り、自ら選択肢を狭めないためにも、普段からしっかり体力は維持しておきたいです。
② もしものための資金を貯めておく
これは何もがん保険や医療保険に入っておいた方がよい、ということではありません!いやむしろ、それらはこの国民皆保険制度のある日本という国において、全く不要とすら感じます。
早期の乳がん治療など多くの臓器がんのケースでは、入院といっても数日程度が一般的。抗がん剤治療などを行う場合も、通院であることがほとんどです。標準治療については、健康保険がカバーしてくれますので、たとえ治療が高額になっても、そのほとんどは高額療養制度によって戻ってきますからね。要は一時金を支払うための費用が必要なだけです。
だから大事なことは、いざという時に「民間保険でカバーする」ではなく、「つみたてておいた資産でカバーする」という考え方。NISAなどを活用し、資金をつみたてておく方がよっぽど使い勝手が良いと思います。
③ 適切な情報元を参照する癖をつける
上でも書いたように、がんを患った時に大事なことは、いかに間違った情報や人に惑わされないか、ということです。
以前、乳腺外科の専門医の先生のところに時折伺う機会があったのですが、その時にも先生がおっしゃっていたのは、いかに患者さんが医師が思ってもいないような情報や商材に踊らされているか、ということでした。患者さんは藁をもすがる想いで、「自分のがんを克服しよう」、「試せるものは全て試そう」とする方がいらっしゃるそうです。
そうすると、「◯◯という健康食品が、◯◯がんに効果があるらしい」とかそういった情報にいとも簡単に飛びついてしまうとか。
まだ「人畜無害で、なんの効果もない」くらいならいいのですが、ものによっては、そのサプリやら食品やらが、標準治療そのものに影響を出してしまうことすらある。しかもそういったものは、薬ではないので、おくすり手帳やカルテからは気づけないこともあるのだとか。
さらには、そういうことを謳っている商品って、だいたいは高い。高いからこそ手を出すと、本来は療養生活に必要だった資金を食い潰してしまうことにもなりかねないのです。
普段から正しい参照元を見る癖をつけておけば、こういったことにはなりません。これは、がんに限ったことではないですが、病気における大抵の治療の場合は、その専門団体(◯◯学会)や政府(厚生労働省など)が出している情報元が最も信頼のおける媒体です。
信頼の高い情報にまずアクセスし理解した上で、他の情報をみる。この順番を間違えないようにしたいですね。
④ やりたいこと、理想の暮らしを先送りしない
と、つらつらいろいろ書いてきましたが、究極的にはこれに尽きると思うんです。見つかったがんが、もし進行がんだった場合、正直、それ以降の生活は、大なり小なり死を意識して生活することになると思います。そんな時に、後悔する人生にしたくないなって本当に思うんですね。
今は仕事の踏ん張り時だ。
本当は家族と過ごしたいけど、お金のためには単身赴任も致し方ない。
海外旅行には行きたいけど、それは老後の楽しみとしてとっておこう。
普段からこう考えていらっしゃる方も多いと思います。でもね、わからないんですよ、本当に。明日は誰にも_。
交通事故とかで一瞬で死ぬんだったら、まだ後悔も何も感じている暇もないんだろうと思います。だけど、がん告知は違うんですよね。進行がんといえど、数ヶ月、数年にわたるその後の生活が少なからずある。意識もはっきりしている。
その時に私、後悔したくないんです。せめて、「できれば、◯◯にも行ってみたかったけど、まぁそうは言ってもそこそこ楽しめたから、後は今ある日々を幸せに過ごしていくのでもう満足。」くらいには収めたい。
だから思うんです。絶対に一定割合、やりたいと思っていることはお金や時間を惜しまずにやっておきたいと。
海外旅行
人と会うこと
家族との時間
これってどれも、消化していくものではなく継続的に続いていくものなので、私は毎年意識をして、これらを続けていきたいなって改めて思いました。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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