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展示感想:第三回 手のひらMiniatureミニアチュール展、3.24Fri.-4.2Sun. 、Gallery Face to Face その2ーー竹淵愛留萌

 竹淵愛留萌さんは、ロイコクロリディウムというカタツムリの寄生虫をイメージの核として、自分が自分でないものに侵されていくその過程を、一連の連作として描いています。

 寄生・・支配・・妄言・・捕食・・羽化という階梯を表面と深層という自分と関係性との二つの面から描かれていて、秀作だと思います。

  自分を失うかもという恐れ、そして、それでも残る、自分は自分でしかないという信念、それが、鏡に映し出した自分の姿と、その姿を見る自分自身の中に、答えの出ない<わたし>を問おうとするときのその手触りをよく表したのだと思います。

 メゾチントという毳立たせた銅板の中に光を探る手法に内面性を、そして、それを啓示のように形から示していくドローイングによって外面性を表しているのも、手法による精神性とすれば、なんとも心が動かされます。


 表現することは、身体と心、魂の関わり方である精神を共有しようとすること、理解を超えたものの中に、何かの通路を繋げようとすることかもしれません。そこには商品でない、美や詩の世界へ交わろうとする人の愚かしくも投げ捨てることのできない根源があるのでしょうか。

 一つ一つの作品は、彼女のこれまでの作品と通じるものが認められます。それは、今回の連作は、その時ごとの彼女のあらわれが、ようやくにして何かの流れの中に改めて置かれたのかもしれません。

 最後に、彼女がこの展示に合わせて載せた文章を展示しておきます。




 この十の作品は、対になったものが、寄生・・支配・・妄言・・捕食・・羽化と五段階に展開しますが、寄生されたものが、再び羽化して新し寄生が始まるのですが、それは一つの循環、回帰でもあります。
 この五段階を一つの円環として五芒星のように並べてみるのも、興味深いかもしれません。






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