襾漫 敏彦(アマントシヒコ)

美術作品を見に行って、そこで会った作家さんに、襾漫 敏彦のペンネームで、評論の形式の感…

襾漫 敏彦(アマントシヒコ)

美術作品を見に行って、そこで会った作家さんに、襾漫 敏彦のペンネームで、評論の形式の感想作って渡してます。その一部を紹介していきます。画廊を訪ねて、絵を直接みて、作家さん達と話をすると豊かな世界が広がります。自分の見方を一緒に見つけていきましょう。

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襾漫敏彦と美術評論についてーー付)画廊探訪 索引

 自己紹介の前に、【画廊探訪】の索引をあげておきます。   襾漫敏彦というのは、美術関連の文章を書く時のペンネームです。  美術評論家の鷹見明彦氏は、2011年に震災の後、病で亡くなりました。 わたしは、彼ともうひとりの友人と1980年後半『砂洲』という同人を組みました。襾漫というのは、その頃、書こうとしていた詩の主人公の名前です。 鷹見さんは、画廊を廻り若い作家の話を聞きさまざまなアドバイスをしていました。わたしも一日で、五、六軒、連れ回されたりしました。

    • 展示感想:風早小雪 展“ Spirit of the forest ”  Gallery Face to Face

       Gallery Face to Faceの風早小雪 展“ Spirit of the forest ”  行ってきました。 風早さんは現在、ベルギーに在住していますが、久しぶりの帰国で、Galley Face to Faceでの9年ぶりの個展になります。 DMでは作品は、逆光の写真のように思えましたが、今回の展示は、ドローイングが中心で、木炭で描かれたものが多かったです。銅版画家と聞いていたので、エッチングなど、もっとシャープな印象の作品を創造をしていたのですが、ぼやか

      • 〈画廊に行くようになって気がついたこと〉まとめ、41ー45

        第41回  画廊に立ち寄るのは、美術館の特別展ではなく、小さな出会いを求めてでもあります。  過去の天才達が作った美術の歴史的遺産に触れることは、大きな過去との接触で、それは、無知と知の問題でもあるでしょう。  今、製作を続けるアーティストとの接触は、自分とあまり身の丈の違わぬ場所で生きる彼らとの交わりでもあるのでしょう。  出会いは、鏡のように自分の姿を見せてくれます。大きな過去との出会いは、文化、歴史、社会といったわたしの環境を考えさせるのですが、社会のどこかにい

        • 表現再考:鳥の話、その一

           七十二候の中に鳥はよく出てきます。本朝と宣明暦を比較すると圧倒的に宣明暦の方が多いです。 本朝七十二候の中に現れるのは、 黄鶯睍睆/雀始巣/玄鳥至/鴻雁北/鷹乃学習/鶺鴒鳴/玄鳥去/鴻雁来/雉始雊/鶏始乳の10項目です。 雀、鴻雁、玄鳥、鷹、鶺鴒、雉、鶏、黄鶯の八種類です。 雀、玄鳥(ツバメ)、鶏、は身近な鳥ですし、鴻雁は、雁をはじめとする大きめの渡り鳥のことのようです。 雉は、国鳥でもあり、身近な存在だったでしょう。また、大空を羽ばたく鷹も普段よく見かける鳥だった

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        襾漫敏彦と美術評論についてーー付)画廊探訪 索引

          展示紹介:風早小雪 展“ Spirit of the forest ”  Gallery Face to Face 2024.4.26Fri. 〜5.5Sun.

          10年近くヨーロッパで暮らしている風早小雪さんが、久しぶりに戻ってきて個展をされるようです。 ゴールデンウィークと重なるので、時間があれば見に行かれればと思います。 風早小雪 展 “ Spirit of the forest ” 2024.4.26Fri. 〜5.5Sun. 4月30日・5月1日休廊 12:00 ~20:00 (最終日19:00まで)

          展示紹介:風早小雪 展“ Spirit of the forest ”  Gallery Face to Face 2024.4.26Fri. 〜5.5Sun.

          画廊に行くようになって気がついたこと その45

           最近の映画の看板は、プリントしたり、モニターに映像を映し出したりするようですが、かつては、職人さんの手描きでした。  一人一人の職人が個別に描くのですから、出来不出来も出てきますし、全部を並べることができれば、そのムラもでてくるでしょう。  だから、一枚一枚の看板には、さまざまな身体性というのがあったはずです。  印刷、マスプリントは、同じものがでてくることが、目標でもあります。でも、それは、違いを、個性を喪失する流れが広がることでもあります。  個別性、身体性と、複

          画廊に行くようになって気がついたこと その45

          旧暦三月十五日(4月23日)

           今日は、旧暦でいえば、三月十五日の満月です。この日は、梅若忌という謡曲隅田川に描かれた梅若伝説に因んだものです。  梅若伝説というのは、京都の貴族の子供、梅若丸が、人攫いに攫われて、諸国を連れ回された挙句、隅田川のほとりでなくなります。そこに居合わせた高僧が供養のために塚をきづき柳を植えたそうです。息子を探し求めていた母親が、その塚のところで手を合わせると、梅若丸の亡霊が現れ再会を果たすという悲しいお話です。  梅若塚のある墨田区の梅柳山木母寺で行われている供養の会は、江

          旧暦三月十五日(4月23日)

          画廊に行くようになって気がついたこと その44

           新しいメディアの登場は、これまでのメディアに向けての問い直しにつながります。写真の登場は、それまでの絵画技法の限界と可能性の問い直しにつながりました。  絵画と写真の違いを考えてみたいと思います。  模写、そこにあるものを伝えるという観点から見れば、写真の登場は、絵画の業界に大きな衝撃を与えました。  手で描く絵画というのは、多くのものを取り込んで、配置して構成していきます。コラージュ、コラグラフ的なものです。  写真というのは、あるものに焦点を合わせてその周辺から、

          画廊に行くようになって気がついたこと その44

          index【画廊探訪】161~170

          【画廊探訪 No.170】エソラゴトを刻んだ聖なるメダル――西平幸太個展「ソラコトコレクション」JINEN Galleryに寄せてーー

          エソラゴトを刻んだ聖なるメダル ――西平幸太個展「ソラコトコレクション」JINEN Galleryに寄せてーー 襾漫俊彦  子供の頃、駄菓子屋やガチャガチャで、鮮やかな色で飾られたメダルや、キラキラ輝くシールを手にして、ワクワクした記憶は、誰しもあると思う。それは誰でもない“わたし”だけの特別な宝物であり、それを手にしたとき、世界はわたしだけの世界であった。  西平幸太氏は、シルクスクリーンの作家である。彼は凹凸を限りなくキャンセルして皮膜のように版を刷る。明確な色彩で、ハ

          【画廊探訪 No.170】エソラゴトを刻んだ聖なるメダル――西平幸太個展「ソラコトコレクション」JINEN Galleryに寄せてーー

          表現再考:穀雨 4月19日

           今日から二十四節気で穀雨です。これは、百穀春雨からきていて、雨降って百穀をうるおすという意味です。すでに春も土用に入っていますから、これが終われば立夏、夏です。 旧暦で、三月というのは、穀雨の時期に満月がくる月です。  本朝の七十二候では、葭始生(あしはじめてしょうず)、霜止出苗(しもやんでなえいづる)、牡丹華(ぼたんはなさく)寒気が完全に抜けて、葦や苗が伸び、植物が生き生きとし始めるということでしょう。  宣明暦では、萍始生、鳴鳩払其羽、戴勝降于桑となるのです。鳴鳩は、

          表現再考:穀雨 4月19日

          展示感想:平林孝央個展「静隠の大祝 〜眠る森の聖域にて〜」Gallery MUMON

          Gallery MUMONで開催中の平林孝央個展「静隠の大祝 〜眠る森の聖域にて〜」行ってきました。 全体的には、横顔が印象に残る展示でした。 少女の視線の方向に、何かしらの志向性を感じます。それは、未来かもしれないし、希望かもしれません。 いくつかの作品には青空など、余白のような空間がひらけているようで、それがまだ経験せぬ未来に繋がっているのかもしれません。  平林さんの作品の少女は、秘められた領域に出会ったとき、そこに行くためのゲートの表現に近く、構図としては、少女

          展示感想:平林孝央個展「静隠の大祝 〜眠る森の聖域にて〜」Gallery MUMON

          展示紹介: モノクローム展 ー黒と白の世界ー、ギャラリー志門、4月15日から20日

          磯部隆さんが、ギャラリー志門のモロクローム展に参加されます。 モノクローム展 ー黒と白の世界ー 2024年4月15日(月)ー4月20日(土) ギャルリー志門 〒104-0061 東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F 11時から19時(土曜日は、17時) 久しぶりの東京ですが、以前あげた評論も添付します。

          展示紹介: モノクローム展 ー黒と白の世界ー、ギャラリー志門、4月15日から20日

          表現再考:春の土用、旧暦三月八日

           今日は春の土用の入りの日です。土用というのは、四立、立春、立夏、立秋、立冬の十八日まえのことをいいます。  立春、立夏、立秋、立冬は、五行説では、それぞれ木気、火気、金気、水気にあたるのですが、新しいに気にかわる隙間を土気としたようです。  土用の最後の日が節分になるのですね。  一年をざっくり360日として、春夏秋冬の四つにわけると、90日づつですが、最後の18日を引いて、土に与えれば、72日づつになる、天道の四分法と五行を調整していく工夫も面白いです。 ちなみに丑

          表現再考:春の土用、旧暦三月八日

          展示感想:樹乃かに個展「誰が扉を開けるのか?」Gallery Face to Face

           樹乃かに個展「誰が扉を開けるのか?」Gallery Face to Faceに行ってきました。 今回の展示は、想い描くのもうひとつの世界との出会いという感じでしょうか。 端的には、絵本を開いてその中の一節に妄想を膨らませる場面を考えてみてください。だから、つまづくその一文が、絵のタイトルになっています。 一冊の絵本のページを模した連作いう感じではなく、画廊そのものが、迷いの森として、次の場所に行く扉(ゲート)がいくつもある感じです。 言葉と絵の組み合わせがひとつの世

          展示感想:樹乃かに個展「誰が扉を開けるのか?」Gallery Face to Face

          展示感想: ever-changing ―立体グループ展、アールグロリュー

          GINZA SIXのアールグロリューの立体グループ展、ever-changing 、行ってきました。 今回のグループ展は、さまざまな素材、手法で成り立つていく立体表現を、変幻自在というイメージでむすびつけています。  変化する立体、そういうコンセプトにちかいかもしれません。  立体の変化の表現は、実は空間の変容を引き出す表現でもあるでしょう。 宮間夕子さんは、特徴な目と民俗的な伝承の形を結びつけた造形を出品しています。 広角に広がる世界を見ている両側に離れて広がるぐるぐる

          展示感想: ever-changing ―立体グループ展、アールグロリュー