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定点カメラ#21 本気の編集

私の中で、映画と京都の結びつきが大きくなってしまったので、あの街を離れるとどうも映画を作っているという感覚が薄れてしまいます。それでもエンドロールを撮ったあの日から、着実に私たちの”つくる”は歩みを進めています。

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2022年12月6日 朝4時

ある動画が共有され、監督がそのチェックを始めました。映像の編集を終えた『キャンバス』の本編です。10月21日に最初のたたき台が作られてから1か月半が経過していました。その間、カメラマンと監督が必死に映像を整えてくれたんです。夏に撮影した一つ一つのカットを、どんな順番で並べて(脚本上は決まっているけど)、どこにインサートを入れるか。場面の切り替わるタイミングなんかは、コンマ何秒の違いを議論していました。もちろん私も少しは意見を出しましたが、ほとんど合いの手レベルだったので、2人には頭が上がりません。

同日 朝6時12分

監督のOKが出ました。映画を作ることを決めた日から、節目となる出来事がいくつかありましたが、映像が完成したというのは、間違いなくその内の一つだと思います。

映画を構成するのは画だけではありません。はるとほたるの会話や絵を描く筆の音、鴨川の水の流れなど、映画において音は重要な役割を担っています。この音を少しだけ小さくして、あの音を強調する、などといった音の編集をこれから進めていきます。かおるんよろぴく。

それと同時に、映像の色を整えていく作業も行われます。これはカラーグレーディングといって、私なんかが理解できるものではありませんが、奥が深いらしいのです。『ラ・ラ・ランド』のパフォーマンスや『JOKER』の不気味さなど、色合いによって観る人が受ける印象は大きく違ってきますよね。かっちゃんよろぴく。

同日 朝7時

「いやーなんか、めちゃ自信ないタイムだわぁ」

来るんですよね、やっぱり。監督のこの時間が。私は去年もこの姿を見ましたが、自分の映画に自信がある時と打って変わって、この時間はとてもナヨナヨしています。ほんとに、ドシッと構えていなさい。

ですが、ここは踏み入ってはいけない領域だとも感じます。本気でつくったからこそ、とてつもなく巨大な自信があるし、それと同じくらいの不安が付きまとってくるのでしょう。それに『キャンバス』の監督はつむだから。『キャンバス』がどう評価されるか、観た人にどんな影響を与えるかは計り知れませんが、どうであれ、その映画の監督は他の誰でもないのです。

いやーなんか、そりゃ自信ないタイムも来るわなぁ。

ということで、まだまだ編集は続きます。全体の完成まで、もう少しだけお待ちください。『キャンバス』を観る時は、私たちが時間をかけてつくる細かい部分にも注目してくださると、嬉しい限りです。

文責:あきら

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