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audible『最後の晩ごはん』8巻 諦めることが身についている人が`最期`に見つけたもの

今回も、また全然違う幽霊さんがあらわれた。
「忘れた夢」というタイトルだけれど、「忘れた」というより最初から持たないようにしていたんじゃないだろうか。叶わない夢なら最初から見ない方が、がっかりすることはないからね。

カイリがまた陽キャ思考で、幽霊さんと類似の背景を持つ義姉なつさんに語らせる。それをきいた幽霊さんが自分の努力が足りなかったと責められていると受け止める。悪気はないが、傷つけるというか、そういうことじゃないんだよね、という行き違いについてはリアリティを感じた。安全なところから物言っている人たちに見えるよね。

最後にマカロニサラダとみかんの缶詰、過去の記憶と今の記憶との2つを胸に成仏する。が、幽霊は成仏して終われるからいいが、生身の人間はまだまだ生きていかなくてはならない。

この小説では、いい思い出が人を支えるということが繰り返し物語に登場する。
だから、将来の自分を支えるために、いい思い出を作っておこうとする。

作者が言いたいことはわからなくもないのだけれど、
わたしは過去の幸せに支えられる発想がない。

人生だいたい黒歴史
今日が人生でいちばんマシな日、と思って生きている。

なんだけれど、登場人物たちがつくる優しい空間、Boysたちのじゃれあいは好ましいと思っている。

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