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串カツ田中の『チンチロリン』は果たしてどのくらいお得なのかを算出してみた


俺たちの串カツ田中

味よし、コスパよし、の居酒屋

今更、説明せずとも皆様ご存じの『串カツ田中』
関東を中心に全国展開する居酒屋チェーンである。
大阪文化の串カツを全国に広げた立役者と言っても過言ではない、お手頃価格で串カツを提供する居酒屋である。

チンチロリンハイボール

そんな串カツ田中で行われている『チンチロリンハイボール』
サイコロを2つ振り、出た目によってハイボールの価格が変わるキャンペーンである。
このチンチロリンハイボール、どのくらいお得なのかを算出してみた。
これを頼む時はどのくらいお得なのかを知らずに注文しているし、串カツ田中を出た時は「果たしてどれだけお得だったのか」など忘れている。
また串カツ田中に限らず、色々な居酒屋でチンチロシステムを導入していることもあり、これを頭に入れていれば冷静に立ち回ることもできる。

さあ、大人の自由研究を始めよう。

チンチロシステムの理解

検証に入る前に、チンチロリンハイボールのシステムをおさらいしよう。
数学から逃げた敗北者こと文系の方にもわかるように、超丁寧にくどくやるので、ご存じの方は読み飛ばしても構わない。

串カツ田中HP ドリンクメニュー

チンチロの対象商品と通常価格は以下の通り。
※全て税込価格
ジムビームハイボール 450円
角ハイボール・サワー系 490円
翠ジンソーダ割り 500円

サイコロを2つ振り、その場合の目
①ピンゾロ(1と1) メガジョッキ(通常量の2倍)が無料
②ピンゾロ以外のゾロ目 通常量 無料
③目の合計が偶数 通常量 半額
④目の合計が奇数 メガになり、額は2倍

と、結果は4通りに分けられる。

改めて、下記のように置きなおす。

1つ目のサイコロ(以下A)
2つ目のサイコロ(以下B)として考える。

Aが1の場合
Bが1→①
Bが2・4・6→④
Bが3・5→③

Aが2の場合
Bが1・3・5→④
Bが4・6→③
Bが2→②

Aが3の場合
Bが1・5→③
Bが2・4・6→④
Bが3→②

Aが4の場合
Bが1・3・5→④
Bが2・6→③
Bが4→②

Aが5の場合
Bが1・3→③
Bが2・4・6→④
Bが5→②

Aが6の場合
Bが1・3・5→④
Bが2・4→③
Bが6→②

ということで、2つのサイコロを振った時に出る目は36通りとなる。
そのうち
①のピンゾロは1通り
②のピンゾロ以外のゾロ目は5通り
③の偶数は12通り
④の奇数は18通り
計36通り である。

客にとって得をする=通常価格より安く飲めるのは
①②③の18通りである。
通常価格は④の18通りなので
得する/しないという視点だと、振った時に出る目の確率は
50%と50%、つまり同じである。

しかしこの得をする50%の中には、メガ無料、通常無料、通常半額と『どのくらいお得か』が一緒くたになっているのである。

ここから突き詰めていこう。

期待値について

この項はスルーでもいいです

文系の皆様!まだ逃げないでください。

1回しかチンチロリンハイボールを頼まない人は、この36通りから探して通常価格との差を求めればよいが、1回しか頼まない人はいないと思うので、ここからは期待値を踏まえて説明していく。

まず、期待値の説明から。

偶然に支配され確率的に決まる変数のことを確率変数といい、この確率変数の実現値(観測値)を期待値という。

例えばサイコロを振った時に、出る目は6通りである。
1が出た時には1点、2が出た時には2点…とした時に
1回サイコロを振ると何点になるか、が1/6で発生することとなる。
これが確率変数である。


このサイコロを振った時に「何点が出ることが期待できるか」ということを考えよう、というのが期待値である。

余談だが、この辺を考えられるとゲームやギャンブルに有用である。

期待値の求め方

確率変数の実現値を確率によって加重平均した値、または、実現値と確率の積の総和として求めることができる。

期待値をE
確率変数をX
Xの実現値をx1・x2…xn
出る確率をp1.p2…pnとした場合
Eは x1p1 + x2p2 + …xnpnで求められる。

先程の得点システムで考えた時、サイコロを1回振った場合
1×1/6+2×1/6…+6×1/6
=(1+2+3+4+5+6)÷6
=21÷6
=3.5

となり、1回振った時の得点の期待値は3.5となる。

実際どうなのか、を考える

1.ジムビームハイボールを頼む

ジムビームハイボールの通常価格は450円である。

チンチロをすると
①900円が無料
②450円が無料
③450円が225円
④900円が900円(そのまま)

という結果が得られる。

期待値を算出してみよう。

(1×-450+5×0+12×225+18×900)÷36
=(-450+0+2700+16200)÷36
=18450÷36
=512.5

ジムビームハイボールの通常価格は450円であるため、店が儲かる。

2.角ハイボール・サワー系を頼んだ場合

角ハイボール・サワー系の通常価格は490円である。

チンチロをすると
①980円が無料
②490円が無料
③490円が245円
④980円が980円(そのまま)

という結果が得られる。

期待値を算出してみよう。

(1×-490+5×0+12×245+18×980)÷36
=(-490+0+2940+17640)÷36
=20090÷36
=558.055…

角ハイボール・サワー系の通常価格は490円であるため、店が儲かる。

3.翠ジンソーダ割りを頼んだ場合

翠ジンソーダ割りの通常価格は500円である。

チンチロをすると
①1,000円が無料
②500円が無料
③500円が250円
④1,000円が1,000円(そのまま)

という結果が得られる。

期待値を算出してみよう。

(1×-500+5×0+12×250+18×1000)÷36
=(-500+0+3000+18000)÷36
=20500÷36
=569.44…

翠ジンソーダ割りの通常価格は500円であるため、店が儲かる。

これらを見て、おい待てと。
串カツ田中が全て儲かっているじゃないか。
そう思った方もいるだろう。

その通りだ。
このチンチロリンハイボールは『串カツ田中が絶対に損をしない』という、最強のシステムなのだ。

まとめ

ということで、どれを注文しても必ず串カツ田中が儲かるようにできている、ということがわかった。
得をする/しないだけだとその確率は50%であったが、価格を反映させるとこのような結果となった。

この期待値は何杯飲もうと変わらないため、飲めば飲むほど串カツ田中と客との差は開き続け、店が儲かることになる。

SKRI:「こちらが儲からないとわかった時の気持ちは…?」
TNK:「俺が、損」「しかも、どれも」「得すると思ったのに。嘘やろ」SKRI:「『嘘やろ』…そうですよね…」
TNK:「なんで俺、なんで損、って」

SKRI:「悔しい…ですよね?」

負けっぱなしじゃ終われないのだ。
チンチロリンハイボールは串カツ田中が必ず儲かるシステム
と言ったが、これはあくまで『全体』の話だ。
1人1人に限定すれば、そいつだけは串カツ田中に勝つことができる。
(串カツ田中に勝つってなんだよ)

串カツ田中に勝つには、期待値が通常価格を下回るサイコロの組み合わせを出し続ければよいのだ。

ま、奇数が出たところで2杯分を定価で飲んでいるだけなのだが。
客は元値から考えれば損していない(50%の確率で定価なだけ)し、串カツ田中は期待値の考えから負けないシステムなのだ。

よって串カツ田中は最高。

Q.E.D 証明終了

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