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あざみのきみ

きみは

まるでちいさなおんなのこのようにむじゃきで へいきでぼくをきずつける

あたしね うまれかわったらサボテンになりたいの

それがきみのくちぐせ

そらをみあげ あしもとをみつめて

きみのことばはいつも いつもぼくをきずつけるするどいとげをはらんでいるのに

・・・あざみ

たおろうとてをのばせば しっかりしたくきにはするどきとげのはっぱ

はりよりもするどきとげがはえていてぼくのゆびさきをいともかんたんにきずつけてくれた

あたしね うまれかわったらサボテンになりたいの

はなもさくでしょ のどがかわけばあたしをかめばいい つきのたににあたしはさくから

ばらになるのはむつかしいの だから かれないサボテンになりたいの

きみはそうくりかえす

・・・あざみ

おさなごのようなくろいひとみでじっとこちらをみあげている

きっとこのはな きみがすきだろう
まるい かわいい はりやまのはな
あざみのはなに てをのばす

てみやげに と たおろうとすれば やはりそれはようしゃなくぼくのゆびに
てのひらにふかいきずをつけ そのかたいくきのなかにはけしておらせまいとするちぎれないせんいがはしっていた

・・・あざみ

ののはなのふかいふかいみどりのなかのうすべにいろのとげのはなよ

あざみのはな きみのこころのようにはりねずみのかたちをして

このはなをきみにたおってかえっても
きみはかんたんにはよろこびはしなくて

きみはとげをかくそうともしなくて だきしめる ぼくをまた きずつける

きっときみは むじゃきなかおをして

ふうん と はるか かなたをむいたままで

ちいさなゆのみぢゃわんにあざみのはなをいれて いたいわとげがあるわ ひどいわ にこりともしないで

ゆうぐれのそらをぽかんとみつめたまま

あたしはサボテンになりたいの

きみはまたそうつぶやいて

ぼくはとほうにくれてしまうのだろう

ひとは ・・かがみ きみはうつろにそういった

だきしめるたびにきみのからだのとげがつきささり からだじゅうからちをながしながらも

ぼくもきっとまた おなじように きみを きずつけているんだろう

ゆびのなかにささくれた ぬけないとげをそのままにして ぼくはたおったあざみのはなをそらにたかくほおった

きみはぼくがだきしめるたびにおなじいたみをかんじているはずなのだから

おなじきずからちをながしているのだから

そんなにとげをまとっていても
それでもきみはくりかえす

・・・あたしね うまれかわったらサボテンになりたいの

きみによくにた あざみのはな

ゆー。


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