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天国までの百マイル:浅田次郎

一時は自らのおこした会社で一山当てて、数億を超える資産を蓄え、銀座で女性を侍らせて豪遊していた城所安夫だったが、そんな生活は長くは続かず
事業に失敗して一転して失業者となってしまった。

そんな彼はまだ40歳である。

現在は友人のひとりに何とか頼み込んで彼の会社に営業の職を得て何とか毎日を暮らしている。

とは言え、破産した際に妻と別れている。加えて金回りのよかったくせが抜けなかったせいなのか、子供の養育費に月に30前も支払っている。

友人の会社勤めで得られる月々の給料も右から左へと通り過ぎていく状態である。

そんな城所安夫だったが、なんとか生きていけているのには訳があった。

それはなぜ?

城所安夫は、4人きょうだいの末っ子である。

父親を早くに亡くしてからは、母親が懸命に働いてなんとか4人の子供を育てたのである。

そんな元気だった母親も年齢を重ねからだも弱くなってきていた。

重い心臓病を患い東京の大きな病院でも母親の体力や心臓の周りの状況などから手術はもう難しいと言われてしまった。

そんななかで、千葉の海沿いの街にある病院の医者が母の手術を受けてくれるかも知れない、との情報を城所安夫は得ることができた。

ところが、喫緊の問題は安静状態の母親を100マイル(160km)ほど離れた千葉まで送り届ける手段が見つからないことだった。

そこで金がない城所安夫が選んだのが、自分で車を準備して母親を乗せて千葉の病院まで送り届けるという方法だった。

無事に母を千葉の病院まで連れていき、手術を受けてもらい元気に回復させてあげることができるのだろうか⁈

がんばれ城所安夫!!!!!

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