munekoba

ラテンアメリカの先住民に関するさまざまな情報をキャッチ、紹介していきたいと思っています。

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最近の記事

海という聖なる領域を織り込む   ーメキシコ・オアハカ州サンマテオ・デル・マルの先住民イコーツの織り手たちー

目次 はじめに 本文  領域を防衛するものとしての織物  聖なる海への愛  風力発電に対する13年の抵抗  イコーツ女性のマンデル (テーブルクロス)  文化遺産  再生 あとがき はじめに 今回、紹介するのは、独立系雑誌 DesinforDesinformémonos が刊行した「領域を紡ぐ(Hilando el territorio)」と題する三部作レポート(2022年10月)のうちの一つ、Diana Manzo の ‟San Mateo,Tejiendo el mar

    • サパティスタ武装蜂起30周年記念式典の報告 グロリア・ムニョス

      2023年12月30日から2024年1月2日にかけて、チアパス州オコシンゴ行政区の北部にあるカラコル・ドローレス・イダルゴで、EZLN武装蜂起30周年記念集会が開催され、延べ1.3万人が参加したといわれる。以下、『オハラスカ』320号に掲載された、グロリア・ムニョスのレポート「忘却との闘いの30年」を訳出する。 忘却との闘いの30年 グロリア・ムニョス  サパティスタ武装蜂起30周年記念のため用意された巨大な広場は人であふれかえっている。子どもや若者たちは、次々と広場に登

      • イシュムカネーの発した「一緒に」という言葉

        サパティスタ蜂起30周年を前に出された一連の声明(20部中の第8部)の中で語られた「一緒に(en comun)」という言葉をめぐるイシュムのお話し 伝説によると、時間が重要でなかった時代には、雨と夜が「生ものの家」を覆っていたという。その時代には光はなかった。すべてが闇に覆われていた。女、男、その他は、つまずき、ぶつかり合った。そのため、仲間や隣人同士で喧嘩し、争った。とても暗かったので、家族や知り合いでも互いを判別できなかった。お互いひどく怒鳴り合った。  最初の神々、

        • マリホセ、サパティスタ欧州派遣の海洋班421部隊のコンパニェロア

           2021年5月、メキシコからヨーロッパに向かって一隻のヨットが出発した。ラ・モンターニャ号には、サパティスタ支持基盤から選ばれた4名の女性、2名の男性、そして1名のトランス(・ジェンダー)で構成される『421部隊』が搭乗していた。トランスのメンバーのマリホセ(当時39歳)は先住民トホロバルの共同体や地域で教育プロモーターの任務に当たっていた。  以下に訳出するのは、訪問先のスイスのチューリッヒでコレクティブの前で自らについて語った発言である。  出典は Pie de pág

        海という聖なる領域を織り込む   ーメキシコ・オアハカ州サンマテオ・デル・マルの先住民イコーツの織り手たちー

          荒野に咲く花々 9         ミルナ・ドローレス・バレンシア・バンダ

           先住民族ヨレメ領域には、小麦や油菜などが植えられた広大な平野が広がる。畑を耕作するのは何百人もの日雇い労働者である。彼らは、最近まで自分のものだった土地を新しい所有者のために耕している。彼らは、詐欺的あるいは承知の上で、とても不平等な条件で、食料や文化の基盤である土地を売たり、貸したりした。そして今では、もともとは自分のものだった土地で働く労働者になっている。道中には、柳、アウェウェテ、メキシカン・ポプラなど、工業的農業に耐えて生き残った木々が散見される。ソノラ州南東部の今

          荒野に咲く花々 9         ミルナ・ドローレス・バレンシア・バンダ

          荒野に咲く花々8  ルセロ・アリシア・イスラバ・メサ

             バハカリフォルニア州の北西隅に位置する6つのクミアイ共同体のひとつフンタス・デ・ネヒに向かう曲がりくねった道には、ありとあらゆる形をした巨大な石が配されている。この広大な領域のなかで、CIGメンバーのルセロ・アリシア・イスラバ・メサは、子ども時代に、お馬さんごっこで遊び、テカテ行政区に広がる砂漠の聖なる領域を馬にまがりて行き来していた。  現存するクミアイの数は極めて少ない。国立先住民言語研究所(INALI)の2010年センサスでは、話者数はわずか221人だった。人数

          荒野に咲く花々8  ルセロ・アリシア・イスラバ・メサ

          『老アントニオのお話』続編  #8   これからも (来たるべきことの記憶)

          はじめに 1 暗闇のなかの小さな光 (2009/1/6) 2 来たるべきことの記憶(2020/10/19) 3 三つの視線(2020/12/23) 4 イシュチェルのルート(2021/4/) 5 ポップコーンのお話(2021/6/6) はじめに  とりあえず今回で『老アントニオのお話』続編シリーズの最終編である。2007年以降、古老たちのお話という形式のお話はめっきり少なくなり、2009年初頭から2020年初頭のほぼ10年間、この種の話はまったくなくなる。最終編で紹介でき

          『老アントニオのお話』続編  #8   これからも (来たるべきことの記憶)

          『老アントニオのお話し』続編#7  第5部 先祖たちの語り(後編)

          第5部 先祖たちの語り(後編)(2007年1月~12月) 目次 はじめに 17 墜落する星(2007/1/3) 18 クカパの太陽と月の起源(2007/4/10) 19 クカパ叔母と甥と怪物(2007/4/10) 20 光についた傷(2007/6/6) 21 でんぐり返し(2007/6/1) 22 光と影のかなわぬ愛(2007/6/12) 23 人喰い(2007/7/17) 24 監視人たち(2007/7/19) 25 天空を読む(2007/10/17) 26 

          『老アントニオのお話し』続編#7  第5部 先祖たちの語り(後編)

          荒野に咲く花々7 オスベリア

          だれも私たちのすべきことを言ってはくれない        オスベリア・キロス・ゴンサレス    ( モレロス州テポストラン 先住民ナワの代議員)  80歳のオスベリア・キロス・ゴンサレスはCIGでは最年長の女性である。機敏な人間でさえ、彼女について行くのは一苦労である。身軽に丘を登り下りする姿に、誰もがびっくりする。彼女は、自分たちの領域から丘を削り取ろうとする重機の前に身体を投げ出し、諸要求を広めるため料金所を無料通過できるようにもしている。若い時には陸上競技大会に出

          荒野に咲く花々7 オスベリア

          『老アントニオのお話し』続編#6    第5部 先祖たちの語り(前編)   (2006年1月~11月)

          目次 はしがき 1 ラモナ司令官の軌跡(2006/1/16) 3  黒いフリホール豆の鉢(2006/1/23) 4  悪い夢と良い夢(2006/1/30) 5 「私」と「われわれ」という言葉の誕生(2006/2/3) 6  もう一度、昼と出会うまで(2006/2/13) 7 大地は恐怖を感じている(2006/2/23) 8 良い夢を保管する箱 (2006/3/22) 9 カラコルの戦士(2006/4/3) 10 石と夢 (2006/4/30) 11 考え(2006/8/26

          『老アントニオのお話し』続編#6    第5部 先祖たちの語り(前編)   (2006年1月~11月)

          『老アントニオのお話し』続編#5  第4部 大地の色の行進     (2001年2月~2004年8月)

          目次はじめに 目次 はしがき 1 尊厳という最初の花(2001/2/24) 2 最初の言葉のお話(2001/2/25) 3 鳥だった人間(2001/2/27) 4 ものごとはよくも悪くもなる(2001/2/27) 5 今は言葉の時間である(2001/3/3) 6 何も恐れる必要はない(2001/3/5) 7 探ることのお話(2001/3/31) 8 一番目の石碑 (2003/1/3)  9 二番目の石碑 (2003/2/1) 10 四番目の石碑 (2003/2/1) 11 

          『老アントニオのお話し』続編#5  第4部 大地の色の行進     (2001年2月~2004年8月)

          『老アントニオのお話し』続編#4  第3部 トウモロコシの男女

          第3部 トウモロコシの男女       オベンティックのカラコルにある壁画 目次 はじめに 1 ハリケーンと誕生に合意した言葉のお話(1998/11/20) 2 ひとつとすべてのお話(1998/12/11) 3 暦のお話(1999/5/10) 4 天の川のお話(1999/6/24) 5 誰もが忘れた。だが、全員ではない(1999/7/31) 6 視線のお話(1999/8/11) 7 夜のお話(1999/8/14) 8 偽の光、石、トウモロコシのお話(1999/8/16)

          『老アントニオのお話し』続編#4  第3部 トウモロコシの男女

          『老アントニオのお話し』続編#3   第2部 (1996年1月~1998年8月)              われわれの背後には、あなた方であるわれわれがいる

          目次 まえがき 1 夢のお話(1996/1/2) 2 虹の話(1996/1/8) 3  フー・メン(1996/1/9) 4 種を播く(1996/1/10) 5 夜の太陽を探す(1996/4/6) 6 道と道を歩む人のお話(1996/4/7) 7 始まりと終わりのお話(1996/6/30) 8 道を創るお話(1996/7/6) 9 山に生きる死者たち(1996/7/27) 10 遠くと近くを見つめること(1996/7/31) 11 騒音と沈黙のお話(1997/2/17) 12 

          『老アントニオのお話し』続編#3   第2部 (1996年1月~1998年8月)              われわれの背後には、あなた方であるわれわれがいる

          『老アントニオのお話し』続編#2    第1部ボタン・サパタ

          第1部 ボタン・サパタ 目次 (1994年2月~1995年10月) 1 われわれの長い苦悩の夜はどこから生まれたのか(1994/2/14) 2 人々の意志に基づいて統治する (1994/2/27) 3  ボタン・サパタ(1994/4/11) 4 人間の創造(1994/5/31) 5 降伏という言葉はない(1994/6/12) 6 ライオンは見つめて殺す(1994/8/26) 7 太陽と月のお話(1994/9/22) 8 夜と星のお話(1994/10/6) 9 色のお話(

          『老アントニオのお話し』続編#2    第1部ボタン・サパタ

          『老アントニオのお話し』の続編

          はしがき  今後、順次公開していく予定の『老アントニオのお話し』(全7部構成)について、簡単に述べておこう。『老アントニオのお話し』に収録されているお話しの語り手は、老アントニオだけではない。すでになくなっている大昔の先祖たち、村や共同体の長老などである。とりわけ、2006年から2007年にかけて実施された「別のキャンペーン」のなかで公表されたお話しの多くは、訪問先の先住民共同体などで語り継がれてきた伝承が題材となっている。  このうち、はじめにと第3部までのお話しのほとん

          『老アントニオのお話し』の続編

          荒野に咲く花々X-マエストロ・フィロ

          で、私は何者なのか?                   マエストロ・フィロ・シトラルショチツィン               プエブラ州ミステカ地域先住民ナワの代議員      マエストロ・フィロ・シトラルショチツィン <2019年から大阪で始めたスペイン語文献読書会で最初に訳したテキストを紹介します。2017年に組織された先住民統治議会(CIG)の代議員に選出されたマエストロ・フィロのインタビュー記事で、2017年8月に、彼?の本拠地である「世界に向かって歌うカラコル

          荒野に咲く花々X-マエストロ・フィロ