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価値を失った一等地

2020年5月1日(金)の午前10時過ぎに、あるお店が閉店するというツイートをしました。


ラムタラといえば関東に住んでいる男性の方にとっては見覚えや聞き覚えのあるお店ではないでしょうか。

味のあるイラストの看板がとても印象的です。

そして、今回閉店することになったのは新宿東口店です。新宿アルタの脇にある通りに位置する店舗なので、いえば超繁華街の一等地のお店です。


しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止による自粛からの非常事態宣言発令と、この1~2カ月で新宿駅周辺を行き交う人々は激減しています。

今ではアルタも全館臨時休業中ですし、周辺で開いているお店は、主にドラッグストア、飲食店、コンビニくらいですし、ほかに開いているお店でも時短や曜日、引渡しのみといった何かしらの制限を設けている場合がほとんどです。

しかも、そこまでしても開いているお店の来店客数は極めて少なく、開店休業状態です。そもそも街に人がいないので訪れる客もまばらなのは当たり前です。

つまり、もう新宿のこの場所は一等地ではなくなってしまったのです。

しかし、現状では恐らく賃料は変わらないでしょう。一等地ではなくなったにも関わらず一等地の賃料が発生していれば営業していけるワケもないですし、やっていく意味もありません。

賃料だけではなく、人件費や光熱費などの諸経費がまかないきれないほど、売り上げが落ち込んだ可能性もあります。

詳しくはわかりませんが、客足の激減による売上減が要因だとした場合、今回のこの閉店は新型コロナウイルスに関連した閉店といえます。

大きな企業の破たんなどはニュースになりますが、こうした一軒一軒のお店の閉店がニュースとして伝えられることは少ないです。

このお店のツイートによると、24年もの間この新宿で営業をしてきたとのことです。

24年前は1996年(平成8年)です。
この年の主なできごとを調べてみると、
・アトランタオリンピック開催
・NINTENDO64発売
・ゲームボーイ用ポケモン赤・緑発売
・O157による食中毒が全国で発生
・東京ビッグサイトが開場
・Yahoo!JAPANがサービス開始
・キャナルシティ博多がオープン
・ルーズソックスやアムラーファッション流行
といったものがありました。

こうしたできごとからも24年の歴史をうかがい知ることができます。

この場所で24年もの間、さまざまなできごとやドラマがあったことは想像にたやすいです。

考えてみてください。自分自身が通う学校や職場で3カ月、半年、1年と振り返ってみたとき、さまざまなできごとや人間ドラマ、感情の変化などがあったと思います。それをこのお店は24年もの間、ずっと続けてきたのです。

そう考えると、お知らせのツイートと店舗に張り出された閉店のお知らせだけで、ひっそりと閉じてしまうのはあまりにも寂しく悲しいなと思います。

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