「人口減少」では何故いけないんですか?

こんにちは。うつ病休職エンジニアの三十郎です。

蓮舫議員の名言をタイトルに借りました。日本の人口減を憂う人たちは「国力が落ちる」と異口同音に述べます。果たして、本当に国力が落ちるのでしょうか? 私はそう思いません。

少し古いデータですが今も変わらないでしょうから使います。女性管理職比率ランキング2012年版(ILO(国際労働機関))によると調査した128カ国中、日本は96位でした。他の女性活躍の指標を見ても日本は世界最下位クラスです。

私は町内会の子供会会長を務めたただ一人の男性です。残りの会員11名は全てママさんでした(男性が子育てを女性に放任している証拠)。私が指揮を執り会を運営しましたが、ママさん達の能力の高さに目を見張りました。私は有名な一部上場大企業の社員です。「会社の連中よりよほど使えるではないか」と素直に感じました。この人たちを専業主婦やパートでは無く、正社員として使うことができれば、国力など格段に上昇します。保証します。

また、高齢者を60才で労働社会から追い出すのにも疑問を感じます。今の高齢者は体力的に70才くらいなら楽勝で働けます。経験豊富な優れた人材を活用しないなんて馬鹿げています。この人たちもまた、国力上昇に大きく貢献することでしょう。「死ぬまで働けと言うのか?」。死ぬまでボーッと生きていた方が楽しいですか?

要は労働慣習や制度の問題なのです。

また、IT活用も世界的に大いに後れを取っています。これを改善すれば国力など簡単に上がります。更に、日本が得意とするロボット技術をAI技術と掛け合わせ、ホワイトカラー領域にまで広げれば、未来の国力低下など杞憂に終わるでしょう。21世紀において国力のために人口を増やす必要など無いのです。

逆に今の人口の多さは、日本にとって良いことばかりではありません。日本は国土の7割が山林で居住可能地域の人口密度の高さは世界屈指です。なぜ、そうなったのか? 歴史を振り返りたいと思います。以下は内閣府発表の資料です。

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いわゆる「戦国時代」まで人口は1000万人を目指し緩やかに上昇しています。狭い居住可能地域では国土の開拓に限界があったのでしょう。江戸時代に入ると3000万人まで一気に増えます。戦が無くなり国土開拓に労力が裂ける世になったのでしょう。この時期に日本が世界に誇るメガシティー、東京、大阪が発展します。

明治政府が発足すると「富国強兵」の旗印の下、人口が爆発的に増えます。蝦夷地(北海道)の開拓も始まり、内地(北海道以外)では、山間部にまで居住地域を増やしてゆきます。ちなみに私は、北海道開拓者の3代目で、おじいさんは素手でヒグマと戦った武勇伝を持ちます。このころの国力は人口の多さに比例していたのでしょう。以下に欧州列強の人口変化のグラフを掲載します。

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19世紀から20世紀にかけ、3000万人以上の人口を抱えています。この時代は、人口の多さが国力にものを言わせていたようです。第1次世界大戦、第2次世界大戦でドイツがずば抜けていたのも分かる気がします。他国は同盟を組んで対抗するしか無かったのです。日本政府も「人口こそが国力の源泉」と考えたのも分かる気がします。狭い国土で無理をして1億人の人口を達成します。

この人口ボーナスが、昭和の高度経済成長に寄与したのは間違いないでしょう。しかし、今は、その人口の多さが日本の足かせになっています。医療費や年金原資が膨らむ社会保障費の増大です。

私たち日本国民は、一旦ここで立ち止まり、国土の基本デザインを再考する必要があると私は考えるのです。移民を受け入れるなどして、無理して「人口を維持する必要が本当にあるのか?」を。

人口学者によると、子供が成人に達するまでの死亡率が減少すれば、女性1人あたりの出産数が必ず減ると言います。人種や宗教、国の発展度合いに関係なく必ず減ると。子供をたくさん産まなければならなかったのは、人口を維持するためです。多産多死の国では女性1人あたりの出産数が多かったですが、医療技術の進歩、女性への性知識の啓蒙活動の成果です。子供が多死で無くなると、子供をたくさん抱えることで生活の質が低下するデメリットの方が大きくなるため、女性が子供を産むことを拒むのです(子作りの主導権は世界中、女性の方にあります)。子供を多く産むことは女性の体に、「疲れやすくなる」などの悪影響を及ぼします。自分の命を切り取って子供に与えるわけですから、何となく想像はつきます。

今現在、人口爆発が起きているのは、多死解消の方が先に来て、出産人数の減少が後から来ているからです。国連の人口予測でも人口増加はいずれ収束するとなっています。「2050年 世界人口大減少(ダリル・ブリッカー著)」の中では、国連推計より遙かに早く人口のピークアウト(90億人弱)が到来し、急激に人口が低下すると予測しています。世界中で都市への人口移動が進む → 都市において子供を抱えることは負債を抱えることに等しい → 生活の質を維持するため子供に数を減らす、つまり世界の日本化が進行するとのことです。国連推計では、ここまで情報化の波が大きく広がることを予測していなかったのでしょう。

これは人類にとって好ましいと作者は言います。地球環境が良くなり(CO2削減、SDGsが進む)、人が住みやすい時代が来ると。今の環境が問題なのだと。大型動物の体重総量のうち、人間由来の物が9割(人:2割、家畜:7割)を占めています。野生動物は1割に過ぎません。これじゃ、人類破滅論もあながち嘘では無いでしょう。

で、この現象が世界で1番早く到来するのが日本です。我々日本人が、人口減少社会の良いモデルケースを示すことができれば、日本は世界のお手本となり存在感は増すでしょう。人口減少ビジネスを世界に先駆け構築できれば、日本は大儲けできる可能性があるのです。どうですか? 悪い話では無いでしょう。

今の日本は、狭い国土の中に押し込められ、住んではいけない場所にまで住まざるを得ないため、災害により甚大な被害を被ります。人が住んで良いエリアを限定し、安全な居住地、産業(農林水産業を含む)用地、自然保護区の3つに分け、人口を局地的に集約することで生活コストを下げることができます。

「先祖伝来の土地を手放せるか!」と言う人は、どうぞご自由に。その代わり、電気、ガス、水道のメンテナンスはコストがかさむので、ご自分でやってください。そのようにすれば、自然と居住地が集約した国作りができるでしょう。いい国作ろう日本。


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