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販売員時代に腹が立ったことをメモしていた

「嫌われ者の販売員」が読まれていることが私はとても嬉しい。あの時思うがままに書いた記事が、ダッシュボードを見て少しでも多くの人に読まれている事を知ると、販売員を助けることに繋がるのかもと思う。

そして販売員じゃなくなった今も、「販売員を褒め称えておくれ〜〜〜」と常日頃思っている。

大前提として、私は販売員を目指してやっていたわけではない。

私はデザイナー採用という形で内定を貰い、「デザイナーになるからには顧客の気持ちを知らないとね!」という事で今の会社で約1年半の間販売員として働いた。

だが販売員として働いている時、私は不安をずっと抱いていた。
それは「いつまで販売員をやるか」という指示が上から無かったからだ。
これはアパレルの小売業界の中では有名な闇であり、販売員不足の会社が1人でも多くの人員を採用するために「デザイナーにしてあげるよ」という口実で募集して採用するという事例があるのだ。

自分の会社がそうかもしれないと思ったらいてもたってもいられず、何度もしつこく店長やエリアマネージャーに訴えて、ようやくデザイナーとして配属してもらって今がある。

なんとも鬱陶しい部下だった。だけど私は販売員になりたかったわけじゃない。デザイナーとして採用したのはそちらですよね?という生意気な考えをずっと持っていたし、正直販売員の業務はデザインがやりたい私には向いていなかった。

もちろん大好きな顧客様もいたし、店長も副店長もスタッフもみんな大好きだった。楽しいと思う時間もたくさんあった。
だけど心の余裕が無い時に、客の態度に反発心を持ってしまうのは誰だってそうだろう。

「そもそも販売員になんてなりたく無かったんだ!!!!民度の低い客の接客なんてしてられるか!!!!」

となった私は、嫌な客の動向をメモし始めた。
最低である。そもそも何のために?意味は特になかった。

だけどこんな風にnoteを書くようになったから。少しまとめてみようと思う。

こいつ心狭いな…と思うだろう。ただ接客業をしている人は共感出来るかもしれないし、全国の販売員の多くが経験済みなこともある。

無い脳みそを使って、記事の最後には少しまともなことも書こと思う。
私の無意味なメモが少しでも販売員の為になったら良い。


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例①.
ワンピースのボタンを
全て開けたままお戻しするお客様

これは普段はそこまで気にならないが、主にセール期間中にやられるとイラっとする。

前開きのデザインのワンピースは多いものだと平気で12個とかボタンが付いている。
試着室から出てきたお客様が全て開けた状態で「あ、これはいらないで〜す」と返してくる。

いや子供じゃないんだからさ。

しかもフェイスカバー渡したよね??
全部開けなくても着れたよね??
上の3つ位外して被ったらよかったんじゃないかな?? こうなる訳である。

試着室から出てくる際は、畳む必要は無いのでボタンはしっかり閉めて返そう。


例②.
レジ前でゆっっっっくりと
財布をリュックにしまうお客様

これも主にセール期間に起きることである。
特にタイムセール。「タイムセール中に買う」ということにこだわるお客様が多い通り、私たち販売員にとってもタイムセールの時間というのは闘いでありとても大切な時間なのだ。

なぜかというと、その日の売り上げの大部分がタイムセール中いくら売ったかで決まるからである。その1時間の間に何人を並ばせ、何着の服を売れるかが勝負なのだ。

そして大概アパレルショップというのはレジが1台しか無い。だからこそ無駄のない回転が必要なのだ。
そんな中、ポイントカードを出すのにモタモタ…いや並んでる時間あったじゃん?!
となった後、お会計を済まし、お札のカドを揃え(揃えて渡してるのに)、財布のファスナーを開け、お金をしまい、ファスナーを閉め、リュックを前に持ってきて、ファスナーを開けて、財布をしまって、ファスナーを閉めて、ヨイショ…は・や・く・しろ----!!!
となるわけである。

一歩レジ脇にズレてから、ごゆっっっっくりお片付けください。

余談だが「後ろに20人くらい並んでるのに財布をゆっくりしまう人」という店長の持ちネタがあってめちゃくちゃ笑ってた。


例③.
どう見ても忙しい時に
トイレの場所など聞いてくるお客様

これもアパレル販売員あるあるなのだが、何故か暇だと思われている。

「いらっしゃいませ〜」「どうぞご覧くださ〜い」って言ってるだけだよね??どうせ暇でしょ?とよく言われたものだ。

100歩譲って上記のような声出しをしているスタッフにはお尋ねしてもらって結構。
だけどセール期間は特に、暇な時間なんて無い。品出し、店頭の整理、レイアウト変更、予算の計算、他店のリサーチ、それらをしながら以前も書いた犯罪防止のためのパトロールを兼務している。

こんなにやることがあるのにまあまあ広めのお店でも販売員って2〜3人しかいなくないですか?そうです、忙しいんです!!!!

私が働いていたお店は大きいショッピングモールの一角にあり、すぐ近くにインフォメーションセンターがあった。

セール期、途切れない試着希望のお客様が返却した服たちを店頭にきれいに戻さなければいけない。
ハンガーに服をかけ(アウターもあったのでかなり重い)、両腕に通して合計で10着以上の服を持っていた、その時だった。

「トイレってありますか?😊」

エッ?! こんな両腕パンパンの私に聞いている?!?!!?!

そのときは「無いです」と言いたくなる気持ちを抑えてインフォメーションセンターを案内した。
(両腕が塞がってるため指差しが出来ず大変だった)
せめて手に何も持っていないスタッフに聞いてください。


例④.
番号札を渡して状況を見ているにも関わらず
「試着室まだ開かないの?」というお客様

セール期は必ず、特にタイムセール中は必ず、試着待ちが殺到する。試着しなければわからないことはたくさんある。どんなに安い服でも試着はした方がいいし、しないと買えない気持ちもわかる。

販売員側としては平等で効率良く試着室を利用してもらえるように業務をしている。
タイムセール中は試着室を回すポジションを立て、番号札を渡し「○番目になりますがよろしいですか?問題なければ順番がきた時にお呼びします」と確認する。1人持ち込みは3着までとし、キープ分はお預かりしてこちらでもしっかりカウントする。
あまりにも試着時間が長い場合は「ご試着いかがですか?」と外から声をかける。

多くのお客様は試着室の前で待っていて、私たちの対応も見ているはずだ。それなのに、必ずいるのだ。

「まだ開かないの??」と聞いてくるお客様が。

飲食店での「まだですか?」はまあまあわかる。料理を作り忘れてるかもしれないし、作ってるのも時間がかかっているのも店のスタッフということもあり得るから。

だけど試着に関しては、販売員側にそう言われても正直困るのだ。試着や決断に時間がかかっているのは私たちではない。販売員があまりにも急かしたりは出来ないし、こちらとしてもできることはやっている。わかってるでしょ??

「あと何分くらい待ちますか?」もよく聞かれたが、何人待っているかしか正確には答えられない。
試着をするか諦めるかの判断に、私たちが協力するのはとても難しいことと言える。

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こんな風に文字に書き起こしてみると、ひとつひとつがなんて小さいことなんだ、と思う。自分の余裕の無さももちろんあった。
だけど私は、「私なら絶対販売員にこれはしない、こっちの気持ちを考えられないのか」と怒ってメモに残していたのだ。

なぜこんなことになるのか、大したことのない脳で分析した結果がこちら。

販売員として働いた経験のある人と、販売員と接するお客様(店頭で服を買ったことがある人全員)の割合の比率は極端だ。そのせいでお客様は販売員の気持ちを考えない行動が多いように感じてしまうのではないか。

例えば飲食店のスタッフ、スーパーやコンビニのレジはアパレルショップと同じように多くの人と接する。だがそこで働くことを学生時代のアルバイトなどで経験した人の数はかなり多い。だからこそ自分が客の立場になった時に、無意識に相手の立場になることが出来る。

アパレルショップで働いたことのある人、というのは思っている以上に少ない。過激な言い方をすれば、販売員を1年くらいやってみろ!!!という話なのだ。

販売員の苦労を知らないからこそ無意識にやってしまうことがある。だけど余裕が無い時はそんな無意識に傷付いたり腹を立てたりしてしまう。それはみんな同じ。

心の狭い私がメモしていた小さくてくだらない事件も、販売員への理解に繋がるといい。
洋服を店頭で買う、という機会は少なくともあると思う。販売員を思いやってほしい、それだけのことだ。

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