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伊賀焼の里・丸柱を訪ねる (J limited 01 / smc PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited)

 私けっこう焼き物なんて好きでして、美術館で観るのから、日頃の食事に各地の焼き物を使ってみたりとかしています。
 しかし大阪で便利に各地の陶器や民芸品が買えた日本工芸館が、老朽化した施設を建て替えてる途中にコロナ禍がくるという最悪の経緯で、どうやら潰れてしまった。
 ここ数年は私の生活苦もあって、食事に使ってる丼も、ダイソーで適当に買ったようなものになっちゃっておりました。

 奈良に引っ越したことだし、大阪からは行くのが大変だった信楽も、バイクを1時間も転がせば着く。なんか買いに行くか、と道順を確認するべくGoogleマップを見てたら、信楽からちょっと東に山を越えたら、伊賀焼の里があるのが目に入った。
 伊賀焼自体は知ってはいて、以前伊賀上野に遊びに行った時に店があって、そこでいいなと思った小皿を買って今でも使っている。
 こっち行ってみるか、と、単車転がしていってみました。


寄り道:諏訪神社

 伊賀コリドールロードなる、司馬遼太郎も「街道をゆく」に書いてたらしい道を走り抜け、国道422号と合流するあたりで見かけた諏訪神社。なぜかピンときてちょっと停車。

 この川沿いの小さな諏訪集落を守る氏神様のようですが、参道脇の木々が高くてなんだか神秘的。

 で、すんごい立派な杉の木が立っている。
 平成5年に環境庁が巨樹巨木調査の対象になっていて、樹齢は400年と推定される。測定時点で樹高46m・周囲6.18m。
 地上8.6mのところで幹がふたつに別れていて、それをもって「伊賀一の夫婦杉」と称しているそうな。

 神社は、朱雀天皇の頃に、甲賀三郎兼家がこの地あった長楽寺に諏訪神社を勧進してきたのが始まりとか。天正伊賀の乱でやはり荒廃したものの、1657年に本殿が再興され、廃仏毀釈の時に長楽寺が廃されて残った。

 ここから、Googleのナビは伊賀コリドールロードを走っていけというんだけど、「あれ国道422号でもいけるやん」と思ってそっちに行ってみました。が、結構な酷道になっていて、これ車だったらすれ違いにこまるんじゃないかな。

伊賀焼伝統産業会館

 なぜか外観を撮り忘れてました。かわりにGoogleマップ

 ちょっとゆるくてかわいい。

 2階建てで、1階は各窯元の作品が並べられたミュージアムショップと、子供が陶芸体験をやってるスペース。
 2階は展示スペース。

 地元作家の習作なのかな、なんとなく若い人の作品っぽいのが展示されていたり。

 歴史的な古伊賀・復興伊賀の展示もあった。
 桃山時代には、筒井定次が伊賀の主になって、定次は古田織部の門人だったことから、歪めてみたりした織部好みの茶器が焼かれていた。その後藤堂高虎が来てからも、茶の湯に明るい人なので保護された。このへんが古伊賀。
 その後は衰退していったものの、18世紀にまた藤堂家によって再興されたのが復興伊賀。

 その三重県指定文化財の、おそらく藤堂時代の耳付筒花入。
 この新兵衛という作陶家は「し」の字を底に刻んでるそうで、素人臭が濃い、と400年も後にばっさりやられてて笑っちゃった。

 さらに現在の伊賀焼の製法などを紹介している資料室。
 伊賀の土は耐熱容器に向いてるそうで、明治以後には土鍋がよく作られるようになったそう。

お買い物

 窯元さんのところで直売もやってるんだけど、特に売店を設けてないところも多く、買い物はここでしちゃうのがよさそう。
 あくまで日用品メインで置いてあるので、使う気で買うなら買いやすい。芸術の高価なやつはちょっとだけ。

 私が今回買ったのは、わりとオーソドックスな伊賀焼らしい緑ガラス釉の丼とぐい呑み。3300円と1080円だったかな。

 内はガラス質、外は土肌。洗いやすくて持ちやすい。
 それから、なんか思ったより軽い作り。昔の伊賀焼は重厚だったらしいけど、最近は日用品向けに薄くて軽いのもやってるとか。

 ぐい呑みは、長いこと愛用していた復興膳所焼のを落として割ってしまって、無念の買い替え。

 外に出るとちょっとした窯もある。陶芸体験で作ったのを焼いてるのかな。

周辺散策

 丸柱の里を歩いてみよう。

 なんかレトロな建物が、と思ったら、Gentil Bakeというお菓子屋さんになっている。外で待つ人もいるくらいの人気。
 隣は三重県の工業研究所・窯業研究室。

長谷園

 長谷園という株式会社化している大きな窯元があって、多くの建屋が並んだ一帯がある。
 1832年創業から、土鍋を主にやってるところ。

 きれいに整備して駐車場も多数、観光客が立ち寄るのも歓迎の風情。

 そしてこの水色の木造建築が「大正館」とあって、中は以前はカフェだったそう。今はコーヒーのベンダーを置いてるだけだけど、400円で、陶器のカップもついてきて持ち帰れるとか。
 それは買うしか、と思ったら小銭なかった。1000円札入らなくって……。

 オシャレ空間。

 その脇を奥にいくと、長谷園が1832年に創業してから、1970年頃まで使っていたという登り窯が残っている。歴史ある登り窯で、16連房という大きなものは日本ではこれだけだとか。

 隣にはそんなに大きくはない窯が。これも多分もう使ってないやつかな。

 薪は積んでるんだけれども。

 木が壺を抱きかかえるように。

忠央窯

 長谷園のすぐ奥に、こんな看板があるので寄ってみると。

 展示室、と看板かかってるけどここでいいのかな……と寄ってみると、作陶家の方がいらして色々お話を聞けた。
 伝統的な古伊賀風のもの、苔むしたような土味の苔肌とかもあれば、伊賀ではよく見られる緑ガラス釉がもっと濃かったり深いブルーだったりと進化系のものも。
 手にとってみると意外に軽くなってたりもして、これは土の調合を工夫しつつ薄くして高温で焼き上げるとこうなるとか、色々教えていただいた。

 土鍋は別棟にショップがあって、そちらで扱ってるとのこと。
 土鍋なー、私じゃちょっと扱いきれないと思うからあまり考えてないけど、やってみようと思うときもあるかな。

徳王寺ほか

 空が広い。

 徳王寺。地図で見る限り、丸柱集落唯一のお寺っぽい。

 何やら高い煙突が見えたが、なんだろう?

 丸柱にもある諏訪神社。ここにも甲賀三郎の伝承があるんだろうか?

 それと、諏訪集落の諏訪神社もそうだったんだけど、「初老記念」という幟やら玉垣があるのはなんだろう。諏訪神社の風習なんだろうか。


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