損しないアートの買い方

人が美術品を購入する動機はさまざまあっていいとは思いますが、「その作品が好きである」という気持ちがないと結局「損」をすることになります。
業者は若手作家の作品などはまだ数万円と安くて買い得とか、投資になってあとから取り戻せるからとあえて高額作品の方が銘柄として期待がもてるとか、もし仮に値段が上がらなくても美術的な価値は変わらないから損はないとか、いろんな言い方で、美術品を売ろうとします。しかし高度経済成長期やバブル期でない限り、利鞘が出るほど売値が高くなることはあまりありません。ほとんどは買値よりも低い金額で手放すことになります。投資を目的に購入した人はこの時投資が失敗だったことをしります。

一方、作品が気に入って購入した場合は、もちろん手放すことで利鞘が出ることもありますが、価格が下がったとしても落胆は少なくて済みます。所有していた間、十分に目と心を癒してくれたと納得できるからです。

弊社では、誌面を通して作品を販売していますが、お客様に対してその作品が価値が高いとは言いません。そのかわり「作家の渾身の作品です。末永くご愛用ください」とメッセージを添えます。

現在では画廊以外にも、ネットショップなどで美術品を販売していますが、青田買いであろうと投機的であろうと、経済的な視点だけで販売するならば、結局お客様は離れていくだろうと予測できます。人が美術に求めているのは結局、心を満たすことだからです。

ちなみに美術と言わず、アートと言う人ほど、この傾向が強いことも書き添えておきます。

2020年7月24日

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