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実写ドラマ「十角館の殺人」

「Huluで実写ドラマ化決定」から
とても楽しみにしていた作品。

ミステリ好きとして、もちろん原作は履修済み。
だけど、1X年も前に読んだ。

なので、正直……
ストーリーの概要と一部のトリック、
エラリー(登場人物)の性格しか覚えていない。

予告編などで
“あの一行”の衝撃、まさかの実写映像化
と宣伝されているけれど“あの一行”が思い出せなかった。

ドラマを観て、なんでコレを忘れてたんだ、と思ったけど
幼いミステリ初心者には受け止められなかったんだと思う。
「!」であるところが「???」だったため
分かりやすいところだけを覚えていた。

ようやく“あの一行”の衝撃を受け止められるまで成長した。


あらすじ

孤島・角島に建つ十角形の「十角館」にて、
K大学ミステリ研究会の合宿が行われる。
館の主である建築家・中村青司(仲村トオル)は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したと言われている。

青屋敷の事故では中村青司含む4人が
亡くなっている。
しかし、事故当日、屋敷に訪れた庭師は
行方不明のままだった。
ミステリ研究会のメンバーは
青屋敷事件の推理を始める。

合宿が始まる同時刻、元ミステリ研究会の
江南孝明(奥智哉)宛に死者である
中村青司から告発状が届く。

江南は告発状の真相を探ろうと、
中村青司の弟・紅次郎(角田晃弘)を訪ねる。
そこで暇な島田潔(青木崇高)と出会い、
真相の究明に乗り出す。

そして、孤島の十角館では
ミステリ研究会を襲う連続殺人事件が起きる。


感想

実写化の良さ!!!
最近は漫画や小説の実写映画や実写ドラマの
評判が悪うございますが、実写化する良さって
コレだよね、と思い出させる。

実写化の良さは、分かりやすいこと。
そして、没入できること。
動く・声・見た目・雰囲気で世界に飛び込むことができる。

この作品は「ミステリ研究会」のメンバーが出てくるので登場人物が多いのである。
小説だと初登場シーンのところに指を挟みながら
読み進めて、誰だっけとなったら戻る必要がある。

島田潔がこんなにお茶目おじさんだったっけ、
と思うくらいお茶目おじさんハマり役。
学生とも子供ともすぐ仲良くなっちゃうおじさん。
江南が警察と話している背景で、少年と釣りをするボヤけ島田さんのシーン、好きです。

ところどころ登場する、江南が住む
学生寮の大家さん(濱田マリ)で癒される。
連続殺人で息が詰まりそうなところが
緩急つけて華やかになる。

必要以上の詰め寄りはなく、
親から学生を預かっているから、
怪しい男には警戒し、
でもしっかり家賃を求めるところが
「ちゃんと大家さん」していて良い。

ミステリー研究会のメンバーについて、
エラリーの性格だけ覚えていたのも納得。
動いているのを見ると、濃いなぁ。

そして中村青司演じる仲村トオルの
「出てこないけど出てくる天才」建築家。
天才と狂気の間が絶妙。
嫌なリアリティがある。
動いているところを見せないのに、
ちゃんと天才なところ、それを実写で
表現されていること、痺れる。

ラスト海辺で語る江南の笑顔の眩しいこと。
そこで、犯人の気持ちになって
みていることに気づく。

なんで実写映画じゃなくて実写ドラマなんだろう
と思っていたけど観て納得。

実写映画だったら観賞後に衝撃で呆けてしまう。
実写ドラマで少しずつ見るほうが、推理合戦もできて楽しい。
各回ラストの引き込み方が堪らんです。
休憩なしで次も観ちゃうか、いや、
展開に疲弊したから休憩挟んだほうがいいかな、
のせめぎ合い。
1話ずつじっくり楽しむはずが、半日で観ちゃったわ。

ひとりでじっくり観るのもいいけれど、
興味なさそうな人を隣に置いて観るのもオススメ。
私が第一話の再生を始めた頃、
同居人はリビングの床に寝そべりながらスマホゲーム。
一話のラストで引き込まれて、
二話からは、私の隣に座って大人しく観ていました。
スマホにも触らずに。
この時代に、スマホに勝てる娯楽。

実写化する際、実写版か原作かどっちを
先に見るか論争が起きがち。
本作については、普段小説慣れしていない人は
実写版で衝撃を厚く受け止めるのがオススメします。
実写版ではその場の匂いさえも感じ取れそうな衝撃です。

また作中で「K大学」と言われているのも
原作に忠実な感じが良かった。
最近のドラマ作品だと架空の名前にしてしまいそうなところ。
少し前に、別作品にて、
原作とメディア化で名詞の表現が変えられていて、
地味だけどちょっと嫌ポイントだった。

これってもしや、実写版「十角館の殺人」が
大成功すれば他の館シリーズの実写化も
夢じゃないんでしょうか。


「十角館の殺人」から始まる「館シリーズ」は
現在9作が出版されています。
どれも読了していますが、私が1番好きな館は
「時計館」が出てくる「時計館の殺人」。

noteで初めて投稿した記事「名刺代わりの小説10選」にも
「時計館の殺人」を選んでいました。

最近は魅力的な謎が流行りな気がしますが、
一行でくるっと反転するミステリーも
やっぱり魅力的だよな〜。

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