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2023/9/7ふむふむ体験型ワークショップ/講演~大阪府立学校人権教育研修B(ジェンダー平等教育)―大阪府教育センター主催~

みなさん、こんにちは。
"ちがい"をたのしむ「ふむふむ」ですヾ(≧▽≦)ノ

大阪府教育センター人権教育研究室が主催する、大阪府立学校人権教育研修B(ジェンダー平等教育)にてげんのすけによる体験型ワークショップ(WS)および講演をさせていただきました!
大阪府教育センターHPはこちら

大阪府立学校の各校(課程別)から1名以上、つまりすべての大阪府立学校から1人以上が参加される大規模な研修会で講師をさせていただきました!

今回はさまざまな要因から、大阪府教育センターと各大阪府立学校をオンラインでつなぎ、画面越しの研修会となりました。
参加者がとても多いためモニターが3画面もある状況での研修となり、なかなか貴重な体験をさせていただきました^^

ご参加いただいた先生方、お疲れ様でした。
何かひとつでも各学校に持ち帰って、よりよい学校生活のためにお役立ていただけると嬉しいです!


それでは、さっそく今回のラインナップです。

これから体験型WSや講演の実施をご検討のみなさまに、本記事が参考になれば幸いです。


今回のテーマは
「”ちがい”を知ろう
~感じて、知るLGBTQIA+と差別~」

今回の研修テーマは”ジェンダー平等教育”ですが、ふむふむでは日頃から、もう少し前提に立ち返って、「人権」について一人でも多くの方と一緒に考えていきたいと思っています。

すべての人が等しく有しており、守られるべき権利が「人権」ですが、残念ながらそれらはいとも簡単に侵されてしまう(攻撃されてしまう)ことがあります。
そして、個人(または集団)が無意識のうちに(もしくは無知であるがゆえに)、悪気なく侵されてしまう(攻撃されてしまう)こともよくあります。

人権」という言葉は誰しもが見聞きしたことがあると思います。
わたしたちは、家庭や学校で「人権」についてさまざまなことを教えてもらいながら成長します。
だからこそ、”誰もが知っているもの”(または”誰もが守ることができるもの”)として日々生活をしています。

ところが、現実に目を向けると日々多くの方が「人権」を侵害されて深い傷を負っておられます。
いわゆる【LGBTQIA+】と呼ばれるセクシャルマイノリティの当事者の方々で「人権」を侵害されたことがあるという経験をお持ちの方はとても多いです。

この事実を踏まえ、今回の研修でもまずは「差別」について問いかけをさせてもらうところから始めました。
ご参加いただいている先生方に、会の冒頭であえて「差別って何ですか?」「差別をする人と差別をしない人のちがいって何ですか?」「差別からくる言動と嫌いからくる言動の”ちがい”は何だと思いますか?」という問いかけをしてから体験型WS/講演を実施しました!


”ちがい”を感じる体験型ワークショップ(WS)

冒頭での問いかけの後、体験型WS(ロールプレイ)を実施しました。

ふむふむが実施する体験型WSの目的は以下のとおりです。
・実際に差別をされる体験をする
 →差別を受けてどのような気持ちになったか
・差別されている現場に居合わせる体験をする
 →差別を間近で見てどのような気持ちになったか
  差別を間近で見てどのような判断ができたか/できなかったか
  差別を受けている人に対して何ができたか/できなかったか
※差別を生み出さないために「多様性を認める」とはどういうことかを考える

具体的な実施方法の概要は以下のとおりです。
・絵画教室に通う生徒である参加者(先生方)に、自由に絵を描いてもらう
・参加者に「A」または「B」のカードを配付する
 ※「A」または「B」は生まれながらの「特性」であり、変更ができない
・絵画教室の先生である講師(げんのすけ)が描かれた絵を見て批評をする
 ※その際、絵を描いた参加者(先生方)が「A」または「B」であることを理由に不当な評価をくだされることもある

本記事の冒頭でもお伝えしたように、今回はさまざまな要因から先生方お一人ずつに絵を描いていただくできなかったので、あらかじめ教育センターの職員の方々に描いていただいた絵(「A」「B」を付したもの)を使用しました。

いよいよ、絵画教室の先生(げんのすけ)は、絵を評価し始めます。
ひとまず絵を褒めているようには見えるけれど、なぜが「A」または「B」という本人にはどうすることもできない「特性」によって絵の評価を容赦なく下げてきます。
不当に低い評価をつけられてしまう絵、その状況を目の当たりにしている人、…少しずつ、不穏な空気が流れはじめます…

体験型WS(ロールプレイ)終了後、参加者(先生方)どうしで感想をシェアしていただきました。
オンライン上でグループ分けをして話し合いをしていただきましたが、どのグループも積極的に議論を交わされていたようでした。

簡単なロールプレイでしたが、実際に「差別」を体験することで何かを感じ、そして考えるきっかけになってくれたのではないかと思います。


”ちがい”を知る講演

①LGBTQIA+とは?

ここで「LGBTQIA+」の用語解説をしました。
ただし、誰が・どのような目的(立場)で用語の説明をしているのか、また国や時代によってもその意味やニュアンスが変化する可能性があるという事例も併せて紹介しました。
さらに、性自認・性的指向・性表現はとても多様なため、用語を覚えることそのものはあまり重要ではなく、むしろ「決めつけ」が危険であることもお伝えしました。

たいせつなポイント
1.LGBTQIA+はあくまで単語
2.何がたいせつかは一人ひとりちがう
3.自分のジェンダーやセクシャリティは自分で決める


事例検討
~学校生活における悩みや不安と対応~

ここからは、当事者が学校生活において抱えるであろう悩みや不安にはどのようなものがあるのか、また学校としてどのような対応が可能かをグループに分かれて具体的に検討してもらいました。

ただし、今回はげんのすけの当事者性から「生徒がトランスジェンダーである」場合を想定したディスカッションとさせていただきました。

学校の対応については、当事者個人の事情や学校の状況にもよりますので、決まった答えがあるわけではありません。
ある先生は所属校に在籍している生徒を思い浮かべながら、そしてある先生は過去に受け持った生徒を思い浮かべながら、またご自身のお子さんのことを考えながら真剣にディスカッションしてくださいました。

その後、事前に当事者の方々にご協力いただいたアンケート結果を用いて当事者のリアルな想いをご紹介しました。

アンケート結果の内容は、当事者の方が学校生活においてどのような場面で何を感じ、何に困り感を持ち、どうして欲しいと思っているのかをまとめたものです。
アンケート結果に興味を持ってくださった先生も多く、各学校において何かの役に立てていただきたいと感じました。


”ちがい”を知る講演

②カミングアウトについて考える

学校生活における当事者の悩みや不安とその対応について先生方に考えてもらいましたが、これらは当事者が「カミングアウト」していることを前提としています。
つまり、学校側が「この生徒は当事者である」と認識したうえで話を聞いたり、可能な対応を考えたりすることができるというものです。

しかし、当事者の方々にとってカミングアウトはとてもハードルが高いものです。

そこで、カミングアウトすることが当事者にとってどれほどハードルが高いことであるか、事例を挙げながら説明した後に次のような提案をしました。

”「カミングアウトすれば安心できる学校生活」ではなく、
「カミングアウトしなくても安心できる学校生活」を送れるように、各学校でできる対策をぜひ行っていただきたい”

学校によってできること、できないことがあるとは思いますが、まずは「何ができるか」を考えて欲しい、と提案して講演の結びとさせていただきました。


先生方からいただいた感想

ここからは、先生方からいただいた感想の一部を紹介させていただきます。
とても嬉しいお声をたくさんいただきました。
今回も本当にたくさん勉強させていただきありがとうございました^^

・具体的に当事者がもつ言葉の力によって、引き込まれ続けた時間になった。安心安全な学校づくりのために、ジェンダーによらず、そのことも過度に意識させないで済む学校をつくっていきたいと思った。

・教員がどうすればいいのかというのが明確に分かったし、その子にあった対応が必要だという所がすごく理解できた。何でもかんでも許可するのではなく、リスクを説明した上で、どうしたいかという所を一緒に考えていくことが重要だと感じた。

・カミングアウトしなくても安心できる学校づくりが進めば、みんなが安心して暮らせ、誰もが自分らしく生活できる社会ができると思いました。このような社会が進めば、生まれたときから誰もが自分という存在を大切しやすくなるのではないかなぁとも思いました。

・当事者の生徒さんが話しやすい環境づくりや、選択肢を用意するなど、具体的に細やかに丁寧に教えていただき、大変わかりやすかったです。また、教員が生徒に研修を受けていることを伝えるだけでも、安心につながるということが知れてよかったです。今後の学校づくり、生徒への対応の仕方の参考とさせていただきたいです。

・ワークを行うことで自身の偏った考えに気づけたり、普段、なにに違和感を感じるかということの言語化ができてよかった。また、カミングアウトをしなくても安心な学校にすることが大切だと聞き、自身もどんな生徒でも安心して過ごせるよう万全の体制をとることに尽力したいと考えた。

・ワークやご自身の経験から、「違和感」や「思い込み」、「ジェンダー」「らしさ」というテーマを身近に感じることができました。教員からの隠れた意図や偏見は必ず生徒らにも伝わると思うので、より客観的で公正な対応と行動を取ろうと思います。

ふむふむ げんのすけさんの話はすごく納得。人権について、学校の教員が考える人権の考え方を押し付けるのではなく、きちんと当事者話を聞くのは大切だと感じた。

・当事者ならではの視点と、実際にあった具体な話がとても理解しやすく、もっと勉強しなければと思いました。事実に基づくものは大変参考になる。

・気づかないうちに、固定観念が出来上がっていることに気づき、驚きました。考えさせていただくことができました。

・時間はあまりありませんでしたが、他校の先生方との意見交換は非常に有意義でした。また、当事者の思いを聞くことで、自分の偏った認識に気がつくことができました。

・最後のサポートで大切にしたい2つのことはすごく参考になった。これまでもいろんな方からこういった件のお話は聞いてきたが、またちょっと違った角度からのお話だったので、新鮮味があってよかった。今後の参考にしたい。

・教職員の無自覚な発言がトランスジェンダーの生徒を傷つけてるかもしれない。ということを意識付けられた。ありがとうございました。

・発言している側は気にならないが、受け取る側はそうではない。というのは本当にそうだと思います。ワークショップを通じて、自分自身はどうか?差別発言はしていないか?ということを改めて考えることができました。




いかがでしたか?
今回はこれまでにない新しい形での講演となりましたが、先生方と一緒に考えたり、意見や感想をシェアしたり、発表したりできて、とても充実した研修内容となりました!

各学校における研修では、設定時間や形態なども含めて臨機応変に対応しますので、研修をお考えの場合はお気軽にご相談ください^^


今後もふむふむの活動をとおして、人権学習を身近に感じてもらい、ひとりでも多くの方が自ら考える力を身につけ、すべての方が安心して生活できる社会をめざしていきたいと思います。


困ったことや、周りには言えない悩みがあったり、自分なりに考えたことを伝えたくなったりしたら、いつでもご連絡ください。
ふむふむはみんなからの連絡を待っています^^

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