人を通して街を好きになる

都留市は、「何にもない」。これが言われ続けている現状を変えたくて、都留市の観光やインバウンド観光について考える『都留市観光研究会』に参加した。そこで出会う人たちは毎回ユニークなアイデアを持った人たちが多く、圧倒されることもしばしばあった。その中で『人を通して街を好きになる』というキーワードが最も印象に残っている。実際に私も、人を通して街を好きになった経験があるからだ。

 その街は観光で何度も訪れたことがある場所だったのだが、一緒に旅行している双子の妹以外と話すことはなかった。下調べを何日も前から行い、行きたい場所にも行くことができていたので、その時の旅行もある程度満足していた。さてこれからどうするか。妹と相談していた時、その街で働いている人に声を掛けられた。最初は戸惑ったが、その街を案内してもらうことにした。すると、下調べでは知ることができなかった街の情報がたくさんあり、とても興味深かった。また、街を案内してくれた人が、どうしてこの街で働いているのか、どんな思いを持っているのかなど、きっとあの時、声をかけられなければ一生知ることができなかった話も聞くこともできた。こんな素敵な思いを持っている人が働いている街だったんだと、それまでただ観光地として訪れていた場所が、急に身近な存在になったような気がして不思議な気持ちになったことを覚えている。今まで訪れたどの旅行よりも印象深く記憶に残っており、それ以来、あの街が大好きになった。

*大好きになったあの街

 この経験から、『人を通して街が好きになる』ということが観光にとっていかに大切かを実体験することができた。その街に暮らす人と接することで、今までの視点がひっくり返り、違う視点から街を見るようになる。また「また訪れたい」「あの人に会いたい」という思いとともに、「この街の魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたい」と誰かに話をしたくなる。その街に住む人が持っている情報や思いは、どのガイドブックやインターネットにも載っていない。そこに住む人と出会うことで、観光客は、改めて街の魅力を知ることができる。淡々と観光地を回り終了する観光よりも、人を通すことでその街に対して感じた思いや、見えた風景の方がより記憶に残るのではないだろうか。
 都留市でも『人を通して街を好きになる』ことができるはずだ。都留市民の中でも、「都留市の魅力を伝えたい」「都留市ではこんな体験をすることができる」と誰かに伝えたい、行動に移したいと、うずうずしている人がたくさんいる。有名な観光地に劣らない、都留市だけの魅力を知っている人が、熱い思いを抱いている人が都留市にはたくさんいる。都留市は有名な観光地よりも、『人を通して街を好きになる』機会が多いのではないだろか。「何にもない」と言われる現状にポジティブな変化を与えることができる可能性を、都留市は秘めていると思う。

*都留市観光研究会の様子

#山梨県
#都留市

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