偏見と動画
自分の趣味趣向について知られることを、イヤだと思うことがある。全然かまわない趣味もあれば、イメージと違うものに関しては知られたくないように思うこともある。
趣味の対象に、私が偏見を持っているもの、好ましく思っていないと思っているものがある。
正直言うと、マンガ、ゲーム、オカルト、スプラッター、バイオレンス、ヘビーメタル・・・に対して、良い印象を持っていないし、理解できないことも多い。それらを好む人たちも、苦手だと思うことが多い。
だから、私がそれらを見たり聞いたりしていることを、人に知られることが恥ずかしい、自分への誤解を生みそうだと思っている。
ある日、贔屓の落語家がヘヴィーメタルの曲を作り、それを聞く機会があった。ヘヴィーメタルの曲に、音程や意味のある言葉の歌詞が付いていることからして、初めて知ったことだった。どこかで聞いたそれが、騒音と怒声だったからだろう。
意味のある言葉の歌詞の存在は、本当に思いもしていなかった。ごめんなさい。そこまで偏見を持っていた。今もある程度持っているかも知れない。
ある日突然、おそらくヘヴィーメタルと言うジャンルの音楽に動画を付けてくれと言う依頼があった。もちろん趣味として。お笑いとか、ほっこりとかは得意というか、普段作っているのだけど、言葉が全く聞き取れないほど早く、何を意図しているのかがほとんど分からなかった。カノンとまでは言わなくても、曲の進行も分からない。
断れば良かったのかも知れないが、なんとなく作ってみようと思った。
ゲラがあがり校正に出した原稿があった。それがなかなか帰ってこない。忙しいからと先方は言うだろうが、こっちが暇前提。まぁお宅ほど忙しくはないだろうが、この中途半端な時間を拘束されている不快な時間なんだよ~
と言うタイミングだった。一晩ですぐ作ったが、動画ソフトの調子がおかしくなった。あ~請けなかったら良かったと思った。翌朝、編集を再開したら、提供されている素材ファイルが異様に大きいことが原因だと思った。それをちっちゃくして上手く動くことを確認すると、ちょっとやる気が出た。
追加の素材が届いて、それでもあまりに稚拙だから申し訳ないなぁと思いつつ、提出。
コピペしただけの歌詞を、改めて読むと、意味のある、むしろわかりにくいからこそいろいろ意味がある言葉である事に気がついた。
「どう生きるなんて 甘えた 戯言(ざれごと)」
ここが良かった。
と思いつつも、こんな曲を聴いているとか、動画を作るとか、人に知られるのがちょっと抵抗有るな、イヤだなと思っていたのも本音。
名前を入れていいかという確認の連絡に、正直入れないでくれと言おうかと思った。それはこういう音楽への偏見だし、言ってはいけないかなと思ったり。
あと、動画の内容を下げてでも早く作ったことにも理由があった。依頼者が、自分の経験で、有る作品を大御所に作ってくれと言われ、半年を掛けて大作を作ったところ、半年後にその大御所が依頼したことも忘れていたらしい。ボツになることは私にとって今回どうでもいいことだったが、依頼者が求めていることは「すぐ」だと思った。
改めて、動画を見ると稚拙だ。色々おかしい。何故それを指摘してくれないのか(人のせいにする)。早いだけが取り柄だと思っているので、まぁいいか。
そして、今更対象の漫画が20年来の大作である事を知り、驚いている。聞いたことのない作品名だった、「彼岸島」。歌の審査に動画は関係ない、イメージソングが採用されるとイイネ。
ゲラは3日も遅れて帰ってきた。
https://eggs.mu/music/project/higanjima
p.s まさかね、アラ還のおばあちゃんがこの動画を作ったとはね!
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