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履かない


ふと床に触れる足の裏の冷たさに気づく

どこに置いてきちゃったんだっけな

そのまま部屋の中を歩き回って

スリッパを探す

幼い頃から住んでいた団地

その部屋にいた頃のちいさな裸足には

畳のやわらかなあたたかさが触れていた

裸足で生きてきた私

スリッパを履く習慣はまだない

知らぬうちにまもられていた自由な裸足

ここではひんやりとつめたい自由な裸足

いまあの団地には知らない家族が住んでいる

そこには戻れないわたしは

今日もスリッパを探す


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