#6だから何度も言っているように、

僕が銃を打つことに意味なんかない。
そこに銃があって、引き金が引けて、的に当てられる能力があっただけだ。

この星にはあとどれぐらいの仲間が生きているんだろうか、
あれだけあった弾倉も今はもう一つだけだ。
この星にはあとどれくらいの敵がいるんだろうか。

鬱蒼とした森の奥に、歩く気配があった。
スコープの反射がバレないように気配を消して向こうを覗くと、警戒心のない女がいた。こちらにはまだ気づいていないようだ。
にしても、不用心が過ぎる。ポケットから煙草を取り出して火をつけ始めた。周囲に対しての殺意がないことを見る限り、非戦闘員だろうか?
背中には、一応持ってきました程度の量産型のストラトが肩から下げてある。

女が二本目の煙草に火をつけて一口吸ったくらいでいてもたってもいられず、その周囲に脅威がないことを確認してから声をかけた。

女はひどく驚いて尻もちをついた。こんな鈍臭いやつが戦闘員なわけがない。銃も構えずに何か話している。言語が違うようだ。
女が僕を観察し終わると少し沈黙が続き、耐えられなくなって煙草を分けてきた。一度断ったが勧めてきた。その女の持つ雰囲気が、ここがもう戦場じゃないことを教えてくれた。少し考えた後、それをもらうことにした。

「狙撃手として戦果を上げたいならやめておけ」と言っていた上官のことを思い出した。でもそんなことより、もしかしたらもう戦争は終わったのかもしれないと言う焦りを早く隠してしまいたかった。

ゆっくり煙を吸い込み、肺を汚していく。思考が鈍る。

自分はこの先一体どうすればいいのだろうか。
仲間とはぐれたのはいつだったろうか。
いつから戦争に参加していたんだろうか。

それを思い出せなくなっていることに気づいたのは、
女に連れられて森の奥へ抜けた後だった。


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