松田忠雄グラビアポートレイト WorkShop 作品発表会
初夏に近い陽気の東京。
自転車でえっちらおっちら坂を上って弘重ギャラリーへ。
松田忠雄の主宰するポートレートワークショップの作品発表会。
地下の展示室Aでのこぢんまりとした写真展だが、作品は濃密。
松田忠雄の技術を、それぞれのものとして落とし込んだ上で、自分の写真に出来ている。
影響下にはあるが、そのままではない。
大口径単焦点のレンズを使う人が多いが、道具に使われておらず、使役できているのには感心した。
目を惹いたものなど。
井幡巌
ダゲレオタイプとはまた少し異なる風合いだが、銀の紙にプリントしたモノクローム。
道具に使われず、振り回されず、そうである必然性の感じられるプリント。
コウケツ
35mmで撮る寄りのポートレート。
35mmで撮るポートレートの良さは「もどかしさ」だと私は思う。
適度な距離感。
石野敬祐
寄ったり引いたり、さらに寄ったり。寺尾彗のレンズに媚びず怯えない「撮られ方の巧さ」を上手く作品に落とし込めている。
川名真
薄いピント。
置きどころに意味を持たせる写真。
顔を全部入れないカットが良かった。
野口寿行
攻めたモノクロ4点。
自分の色を掴みつつある。
力作揃いだったが、画竜点睛を欠くの観があったのが、タイトルの付け方。
些か陳腐に過ぎるものが多く、同名の曲があったりすると、写真のイメージも歪めてしまう。
写真を撮り、プリントを仕上げるのに使うのと同じくらいのエネルギーを、タイトルを考え事にも傾注して欲しい。
(2024.03.31 記)
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