生駒里奈ファースト写真集「君の足跡」

高校生と思しき少女の四季を記録したような体裁になっている。
セーラー服、ブレザー、夏服冬服、体操着に水着。 部屋着、普段着からよそ行き迄。 ガーリィなものからボーイッシュなものまで各種取り揃えてお届け。

撮影は青山裕企なのであるが、全てのカットに生駒里奈の意思が反映されており、青山の写真にありがちな下司張った覗き見趣味みたいなもの控えめ。
偶にある「下司な魂胆」の透けて見えるカットも、生駒里奈のお目こぼしがあって存在している。 すべてはお釈迦さまの掌の上の出来事。
下心のある下僕としての青山裕企は、存外有能なのかもしれない。

(こちらも良く出来ていた)生田絵梨花の写真集で唯一の蛇足は水着の部分であったが、生駒里奈は蛇足である部分を敢えて作ることで必然に転換すると言う魔法を使った。
体育館の倉庫で夏服を脱ぎながら下に来ていたスクール水着になっていくのだけれど、体育館と廊下で全てが完結してしまう。
水泳帽を被ったり、髪を濡らしたりしたカットはあるが、暗喩としてしかプールは出て来ない。
水着になるシーンではなく、水着になってみせるシーン。 恩賜の水着。

これで殊更作ったような表情で溢れていると醒めてしまうのだけれど、カメラと向き合った上で必ず虚構ではないが必ず現実でもない表情を見せており、醒めるどころか引き込まれてしまう。
生駒里奈の意思が詰まり過ぎた息苦しさは有るものの、それは生駒里奈が逼ってくる息苦しさでもあり、ページを繰るひとときは、重くはあるが甘美なものとなった。

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