写真展『私的写真集選手権』Vol.6

早稲田と江戸川橋の間、神田川のほとりにある小体なユカイハンズ・ギャラリーに、写真集が詰め込まれていた。

昨年までの飯田橋のギャラリーに較べると狭いが、動線などは考えてあって、出品者や被写体に会いに来た向きが中に滞留して写真集を見るどころではないような状態は解消されていたのは良かった。
運営に工夫が凝らされた訳ではなく、単に狭すぎて滞留しようがないと言う感じではあったが、昨年迄が酷すぎただけに、改善された事は評価したい。

語らう人々は、ギャラリーの外や川辺に。

今年は物語が内向きと言うか自己完結と言うか、テーマの自己目的化と言うか自己陶酔と言うか、そう言うものが多く、没入できずに終わった。
自分たちが回顧するためのアルバムと、他者に見て貰う写真集の違いが分かっていないと言うか。
撮影者としては及第点でも、編集者・デザイナーとしては落第。

造りとして感心したのは松金大樹の出品作。
「本になったとき、どう見えるか」がきちんと考えられており、左右の配置、見開きでの判型の使い方など、全体の構成の巧さに唸る。

全体としては面白みに欠けたが、写真集にまとめただけでも、何もしないよりは前向きであるとも言える訳で、無下に否定もしにくい。
動機とやる気と行動力は評価できるが、質としては今ひとつ、ふたつ、三つ・・・。

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