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MERCURYと言うアイドルグループについての一考察

PIP(Platonics Idol Platform)と言う奇矯なアイドルグループが、曾て在った。
色々有って崩壊してしまったのだけれど、最後まで踏み止まったメンバーの一人であった瑞野さんが水野さんとして復活。

リアルプロモーションと言う事務所の始めたSIRIUSと言うアイドルの、更に候補生という位置付けでの復活であったが、水野さんはSIRIUS候補生そのものをユニットとして活かしたい旨公言しており、念願叶って SIRIUS候補生 改メ MERCURY として活動を開始したのが秋口。

只でさえ少ない客に財布の厚みで意地の張り合いをさせない方向に舵を切り、まずは事務所に付く客を増やそうとしているのは評価できる。
限られた顧客から吸い上げるブロック経済では疲弊して行き詰まってしまうことは歴史が証明しており、そうならない為には客の分母を増やさねばならない。

持病の手元不如意で足を運ぶ機会が無かったのだけれど、丁度手頃なライブが有ったので見に行ってきた。
12月1日、不忍池のほとり、水上音楽堂で開催された「上野アイドルMUSICフェスティバルWINTER Ver.1」である。

MERCURY の出番は終盤の16時過ぎに15分ほどの枠。
メンバカラーをあしらった制服風衣装。 事務所の持ち曲なのか、少なくとも借り物ではない楽曲。
考えられた振り付け。 きちんとしたレッスンが窺い知れる、或る程度統率の取れた振り付け。

堅実だが、対象が絞りきれていないところが気になった。
楽曲も安易に借り物をやらせず、自前のものを揃えるところは評価できるし、曲も悪くないが、どう言う層に売りたいのか散漫な印象。

水野さん曰く、アイドルを手掛けるのが初めてでノウハウが無いだけで、やる気も常識もあるとの事だったが、確かに事務所サイトなどはこまめに手を入れているようだ。
物販メニューや特典会の進行など、「今食いついている客≒ライブに足を運ぶ客」への対策は進んでいる。

並行物販は会場内で行われるため、耳元に口を寄せて喋らないと話が通じないくらいの喧騒。
誰が何をやっているのか、どんな進行なのか、何が幾らなのか、その辺りを知らせるものが何もない。
訊けば答えは返ってくるので、客に気持ちよく金を落とさせる為のノウハウが無い、それが必要であることも知らないという事であるようだ。
良くも悪くも擦れていないので、物販で客から搾ろうと言う発想がそもそも無い。
特典会の進行と物販レギュレーションについては、目で見て理解できるよう表か何かにしておくべきだと思う。
特典会にまで足を運ぶ連中は、財布の厚みと重さに差はあれど、金を落とす気で来ている。
気持ち良く落とさせるのが送り手の責務。

選挙に於ける投票行動では、有権者は知っている人にしか投票しないと言われており、先ずは知らしめないと足を運んでくれる人も増えない。
特典会に来る人口を増やさないと経済は回らない。

客は何処まで行っても客でしか無く、それ以上でもそれ以下でもない。
何か提案されたからと言って、凡て真に受ける必要はない。

「〇〇みたいなものが見たい・聴きたい」に応えて作られた〇〇の、ようなものは、所詮「の、ようなもの」に過ぎず、広くは受け入れられない。
奇矯なコンセプトで縛ると間口が狭まり、出来る事も限られてしまうけれど、大衆が求めるのは、常に大衆の発想の外に有るものなのである。

人的資源や活動資金、そして時間。
限られたリソースを何に振り向け、どう売っていくのか。
付かず離れず注視して行きたい。


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