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澄田綾乃×LUCKMAN写真展 「if...」

「写真展でしか出来ない事」を突き詰めた、攻めに攻めた写真展だった。

ステートメント

 この度、澄田綾乃×LUCKMAN写真展 「if...」を開催いたします。
タレント・グラビアとして活躍する澄田綾乃の初写真展。撮影は雑誌・ポートレイト撮影を数多く手掛ける写真家 LUCKMAN。「雪と儚さ」と澄田からのリスエストに対し、普段は明るい現場を心掛けるLUCKMANは、「孤独になり、会話も合わせず、物音を立てず、私小説的に彼女の世界に浮遊することを意識して撮影に挑んだ」と語る。舞台は北海道。降り頻る雪の中、これまでの作品とは異なる彼女の表情や儚い空気感を捉えた作品群となっている。他のメディアでは決して見ることのできない澄田綾乃を是非、ご高覧ください。
【澄田綾乃コメント】
雪の積もった北海道で撮影をしてきました。
着いた時は想像をしていたより寒くなくて、テレビでしか見た事がなかった白一色の景色を見て"本当にこんなに綺麗な世界が存在するだ!"と興奮しました。
今回、私が提案した儚いイメージと「視線がなかなか合わない」というLUCKMANさんのアイデアから面白いストーリーが生まれ、カメラに視線を合わせないようにと思いながら撮影に臨んだのですが、ついついレンズを見てしまい、意外と難しなぁと思いました。
私のお気に入りは白樺を背景に撮った写真です!真っ白な雪の中で赤いコートが映え、儚さもありとても綺麗なものになっていると思います。
いつか雪の中で撮影をしたいと思っていたので、写真展という特別な機会に経験できたことをとても嬉しく思います。
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※展示作品は限定枚数にて販売いたします。なお、作品をご購入頂くと豪華特典がございます。
※展示作品は、展示場又はオンラインショップでも購入することができます。

地下の展示スペース全面を使って写真の展示、1階のカフェスペースで映像作品を上映。

厳寒の北海道。
吹雪の屋外と、暖かな屋内。
その二つが画面の中で交錯する多重露光も多様して、写真展の物語の被写体以外の主役である「男」の視点と心象を表現。

額装、直貼り、透明なタペストリー、装丁も様々。
照明の落とされた展示空間に、スポットライトで照らし出された作品が浮かび上がる。
タペストリーの下に敷かれたラグの赤が、写真の中の部屋と繋がっている。
撮影者の心象を垣間見るような、空間設計の妙。

撮る側と撮られる側の視線は交わらない。
撮影者として透明であるので、こちらを向いているカットでも撮られる側の視線は少しずれていたり、焦点が合わなかったり。
なんらかの気配を感じて意識を向けたようなカットもあるが、基本的に撮られる側は「一人の世界」に居る。

差し向かいで撮るポートレートではなく、自分でカメラを操作したセルフポートレートでもなく、撮影者を使った自撮りでもなく、覗き見的なものでもなく、透明な何かが、息遣いの感じられる近さで撮ったもの。

腰から下の線を美しく見せるレオタードを纏った、バストアップのカット。
扇情的であるようでそうならない。
こうしたストライクゾーンからボール2/3個分外れた球と、幾つかの見せ球のストライクだけでアウトを27個獲るような、感情の揺さぶり方に頭を抱え、唸る。

澄田綾乃の造形美は切り取りつつ、それは澄田綾乃本人の為のもので、誰かへの捧げ物にはなっていない。

読者、購買者層を意識せざるを得ない、出版物連動型の写真展では成立させにくいやり方であり、ここに来た者だけが目に出来る、体感できる、写真展として完結しているから可能になる体感型のイベント。

鬼面人を驚かす式の外連無しに、ここまで感情を揺さぶる写真展もなかなか無い。

(2024.04.07 記)

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