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SUNDAY GIRLS(2023.2.12 )

孤高のシティポップおじさん、関美彦が見たい/聴きたい演者を顔付けしたライブへ。
広瀬愛菜が久しぶりの東京での、且つ十代最後のライブ出演と言う事もあってか予約で札止め。

フードメニューはルカタマカレー。 一杯金五百円也。
かつて友人が Beer,Curry and Music! と言う音楽ユニットをやっていたのだけれど、この3つは実に相性が良い。
ドリンクチケットをハイネケンに換え、カレーを購う。 ウマい。

出演:桐生ちあり、広瀬愛菜、ルカタマ、ユメトコスメ
ピアノ伴奏で西ヶ谷源市、長谷泰宏、関美彦。
弦楽器であり打楽器でもあるピアノと言う楽器の、三人三様の使い方の違いが実に面白い。

桐生ちあり

ゆったりしたワンピースで目にすることも多いが、今日は黒のニットにクマの顔の集積で出来たスカート。
メガネ無しなのも珍しい・・・と思ったら忘れていたとのことで、一曲目の終わりから着用。
チェーン付きで、ロッテンマイヤーさん感。

今日は西ヶ谷源市がピアノでサポート。
西ヶ谷源市は指を立てて鍵盤の奥の方で弾く。
足元は革靴。 ペダルワークだけでなく、床でリズムも刻む。
寄り添いつつ、整える、切っ掛けを作る、促す感じ。
鍵盤を強く押し切る割に、やさしい音になる。

桐生ちありは楽しければ「たのしいー」、戸惑えば「どうしよー」、終わりが近づけば「さみしいー」と声に出す。
そして楽し気に歌う。 カナリアのような人である。

広瀬愛菜

キャリアの振り出しが9歳なので、歌っても曲間に喋ってもソツがないのだけれど、落ち着きに年齢が追い付いてきたというか、少女期の終わりの歌い手として、今しか成し得ない歌を届けていた。

関美彦がギターで、長谷泰宏がピアノで、それぞれ1曲サポート。
長谷泰宏が評した通りの春風のような優しく温かい歌声。
やる事が多く、拘束時間も長い学部なので大変だとは思うが、折に触れ歌い続けてくれると嬉しい。

関美彦 バカラックを歌う

換気時間、幕間にピアノ弾き語りで2曲ほど。
先日鬼籍入りしたバート・バカラックを悼む。

ルカタマ

袖から出て来てマイクの前へ。
通り過ぎる時にふわりとスパイスの薫り。
カレーのお姫様。

平日は勤め人でもあり、傍らカフェを切り盛りし、精力的に音楽活動も行う。
一人三役の多忙な日々が良い方向に作用しているようで、歌も言動も表情にも良い意味でのゆとりが見られる。
相変わらず裏への逃げ方が巧く、張り過ぎない声が鼓膜に優しく絡む。

関美彦は襟付きシャツの上に紺のセーター、細身のジーンズ。
山の手の子の普段着のような出で立ち。
曲によって舞台を右に左に、ギターを弾いたりピアノを弾いたり。
例によって、次の曲がその場で決まるセットリスト。
ノートや譜面を大量に持ち込んで大変そうではありつつ、大変楽しそうでもある。

ギターが自前になったそうで、樹脂胴に金属のネックが付いた1978年の近未来を感じるエレアコになっていた。
それまでは何だったんだろう?と思ったら
「伊賀さん(※ベーシストの伊賀航)から借りていました。」

歌に寄り添い、包み込むように、関美彦の引くピアノは優しい。
あまり指を立てずに、柔らかく押し込む。

ユメトコスメ

ヴァイオリンで田中雄一がサポート。
生のストリングスが入ると華やぎが段違い。
ピチカートの響きも嬉しくなる。 耳の贅沢。

長谷泰宏のピアノは激しく華やか。
鍵盤の奥の方を押し込んだり、手前の方を叩いたり、弦楽器的にも打楽器的にも使い、大きく鳴らす。
左から右へ、また右から左へ、変幻自在のグリッサンド。

オケに生楽器を被せる構成の曲が多かったのだけれど、オケに含まれる楽器にハープシコードやチューブラー・ベル(のど自慢の鐘)、ヴィブラフォンなど華やかな音色のものが多く、そこにユメノユミの飾らない歌声が乗る。

ユメトコスメの曲は、聴くだけで自分の機嫌を取る事が出来る。
頬が緩み、楽しい気分にさせてくれるもの。

毎度ハズレの無いこの催し。
次回は横須賀中央あたりで4月に開催との事。

(2023.02.12 記)


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