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オールドレンズフェスvol.3

オールドレンズ写真学校なるワークショップ主催の写真展。
会場であるデザインフェスタギャラリーの展示スケジュールを見ても、内容についての説明がなく、何をやっているのか分からない。
(このあたりは改善の余地ありだと思う。)
わからないなりに興味は湧いたので、足を運んでみた。

会場は東郷神社の明治通りを挟んだ向かい側の路地の奥、デザインフェスターギャラリー東棟の1階と2階。
・オールドレンズ写真学校展
・オールドレンズ×ポートレート写真展
・オールドレンズ女子部
・協賛企業による出店
の4本立て。

出店は手元不如意につき無かったことにして、写真のみ。

お祭りの一環としての写真展であり、全作品コンパネ貼り。
プリントとして可もなく不可もなく、「これは」と思う作品が無い代わり、「ダメダコリャ」と落胆するようなものもない。
出展者とその友人の懇親会的部分は色濃くありつつ、見に来た人の邪魔にはならぬようにする最低限の気配りはなされており、見辛くはない。

ポートレートの展示区画に被写体が在廊していたところは、局所的に狭かった事もあって通り抜けるのに難渋したが、それ以外は不愉快事もなく。
ただ、並んだ写真は凡百で、アーナルホド程度。

ワークショップと言ってもカメラマンとして鍛える種類のものではなく、稽古屋のようなもので、講師の教えに忠実な作品が多い。
記憶でも記録でもない色、浅いピント、オーバー目の露出。
逆に言うと、撮影者の個性は薄く、レンズに振り回されず、振り回している作品も少ない。

レンズに撮らされている写真は多いのだけれど、使役される楽しさ、意のままにはならぬジャジャ馬に振り回される楽しさ、妖刀の切れ味を試したい欲望は理解できるし、それは写真にも現れている。
グルグルボケがどうすれば出るか試行錯誤し、背景とモデルの配置に腐心している写真は涙なしには見られないし、気持ちはよく分かるが、写真としては凡庸。 作例ではあっても作品以前。
美術でも工芸でもないが、実験とその結果の発表としては面白い。

女子部は「開放」「グルグル」「ソフト」「オーバー気味」がテンコ盛りで、少々食傷。
キノプラズマートを使う猛者が居たのには驚いた。

写真としての面白さがあったのは、谷中で猫を撮った連作と、女子部にあった とも の「like」なるチューリップを撮った一枚。
このあたりはレンズを使役できていた。

身の回りに居る畸人たちの道楽の度が過ぎているので私の基準がおかしいのかもしれないが、オールドレンズと言っても常識的なものが殆どで、道楽の袋小路に嵌まり込んだ病膏肓な人は見受けられなかった。
まぁ、ワークショップでワイワイ楽しくと言う思考で集まっている、日の当たるところで遊ぶ人々と、川原の岩の裏に蠢くような我々の生態が同じ訳もなく、棲み分けとして上手く行っているのだと思う。

写真を楽しむ手段として古いレンズを使ってみるのは面白いし、それで写真を撮る人の裾野が拡がるのも喜ばしい。
水は合わないが、有意義なお祭りだったと思う。
(2019.7.6 記)


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