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家にいルンです ~写ルンです生誕記念写真展~

神宮前の WONDER PHOTO SHOP にて、「家にいルンです ~写ルンです生誕記念写真展~」を見てきた。

5月に開催した「家にいルンですフォトコンテスト」で約1,200名の中から選ばれた入選者20名に加え、コンテスト審査員のフォトグラファー5名、 WONDER PHOTO SHOPにゆかりのクリエイター5名の計30名が、‟STAY HOME”をテーマに写ルンですで撮影した90作品を展示いたします。

「家にいルンですフォトコンテスト」は、撮影機材不問。
ツイッターとインスタグラムに所定のハッシュタグをつけて応募した1200余の参加者から20作品を選出。
入選者には1本の写ルンですが送られ、写真展出品作を撮影。
そこから出品する5作品を自撰する。

コンテスト審査員のフォトグラファー5名、WONDER PHOTO SHOPにゆかりのクリエイター5名も、それぞれに写ルンですで撮影。

テーマが“STAY HOME”なので、風呂、料理、選択などの家事。 家族や同居するものとの関わりに偏る。
コンテストは機材不問だったが、出品作は写ルンです縛りなので、ゲスト出品者も含めて機材への慣れが作品の質に直結してしまっているところはある。

フィルムはカラーでiso=400
レンズは32mm/F10.0の単玉。
撮影距離範囲は1m~無限遠。
シャッターは1/140s。
ストロボの有効撮影距離は1m~3m。

広角のパンフォーカスで遠景には強いが、絞りは固定、感度400なので明るすぎると飛んでしまう。
シャッタースピードは速くも遅くもなく、動くものを止めたければストロボを炊けば良いのだけれど、近いところで炊くとまた飛んでしまう。
写ルンですの機能に無邪気に無頓着な出品者の作品には、それで初めて撮れる価値があったが、写ルンですをカメラとして認めないで蔑むように撮った一部の出品者(最短撮影距離を敢えて割り込むことで抽象に走ったり)が居たのは残念だった。

光源の入らない屋内や夕景など、カメラに無理を強いない状況で撮られたものは綺麗に撮れているが、目玉焼きを焼く際に卵を割り落とす瞬間を撮ったものなど、性能を過不足なく使って撮った佳作もあり、感心しながら見る。
一歩引いて撮る、穏やかな光の中で撮ることで、写ルンですのカメラとしての性能を引き出した写真を私は好むが、そんなことには無頓着に、寄ってストロボを炊いて撮った写真の生々しさ、「ブレ」「ボケ」「白飛び」etc...も写ルンですにしか撮れないものではあり、そちらの方が受けてはいるようだ。

最短撮影距離の1mは、手を目一杯伸ばしても最短撮影距離を割り込んでしまうので、セルフポートレートにする場合、抽象に逃げるか、鏡を使うか、他者を使った自撮りにするか、「セルフ」を放棄して他者に撮影を委ねるかになるのだけれど、一人だけ無茶をして成立させている者がいた(後述)。
別の道としては、壁に写った影を撮るやり方。 これは切り取り方と、他の写真との組み方が上手かった。

一人だけ異次元の無茶をしていたのは「WONDER PHOTO SHOPにゆかりのクリエイター」として出品していた石川野乃花(きゃわふるTORNADO)。
シャワーヘッドから落ちてくる水、洗面台で洗顔する自撮り、台所のシンクを覗き込む自撮り。
やり過ぎと言うか狂ってると言うか、カメラとしての写ルンですの限界に挑戦した三枚。
写り込む範囲を確認する実験をし、防水対策のためにラップで包み、撮影距離を稼ぐために菜箸でシャッターボタンを押す。
カメラとしての写ルンですの性能を最大限以上に引き出しつつ、近距離でストロボを炊くことで写ルンですならではの生々しさも加味する。

ゲスト出品者として求められていたのは「アイドルとして、20代女子としての日常」であったと思うのだけれど、それをきっちり入れた上で、そこまでは求められていない「作品としての質」をコレでもかと盛り込んでくる。
なにもかもが過剰。 「アイドル界の神宮寺大佐」。

機材としての可能性を、思わぬ形で目にして
「最短撮影距離 1m+α を稼げる写ルンです用自撮り棒 などがあると面白いのではないか」
そんなことも考えた。

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(2020.07.05)

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