中藤毅彦写真展 「STREET RAMBLER-HAVANA」

カラリ晴れて白く乾いた昼の街。
スコールにしっとり濡れた夜の街。
雨上がりの生乾きの街。 朝焼けか夕暮れか、低く斜めに差す光。
刻々と表情を変えるキューバ、ハバナ市内で撮った人、モノ、街。

絞って撮って粒子粗め、コントラストくっきりのゴリッとした町並み。
ピント薄めでしっとりとしたポートレート。
状況や被写体に依って撮り分けつつ、写真展全体としての統一感はある。

この撮影についてはこちらのインタビューが詳しい。
一台のカメラで設定を変えつつ撮ったことが、絵としての統一感を整える大きな要因になっていることが分かる。
私はRAW現像至上主義みたいなものには懐疑的で、カメラの設定を活かして「如何に良いネガを作るか」がアウトプットとしての写真の良し悪しを決めると考えているので、出来上がりまで想定してモノクロプロファイルコントロールの機能を使う中藤のやり方は、大いに首肯できる。

車も建物も、どうにかこうにか直して使っていて、服装も簡素だが、楽器、犬、猫、葉巻、凧、刺青、カーニバルetc...、人生を楽しむための何かが常に傍らにある暮らし。
隣国アメリカの政策が友好と敵対の間で大きく揺れ動き、現政権が深く関わりを持つベネズエラもきな臭い。
あまり明るい未来が感じられる状況にはないが、葉巻を口の端で加えた老婆、したたかに生き抜いた者の顔貌が、キューバの「今」を象徴しているように感じられた。


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