者語り





あなたの物語の1ページに私が現れて

わたしの物語の1ページにあなたが出てくる





風に捲られて揺れる頁
めくって めくってゆく





まったく別々のストーリー

その一瞬に重なる


その重なったページが
ふたりの話なんだ




私は重なったところしか
あなたを知らない

あなたの他の物語を
知らないの


それは仕方のないことだけれど
少し 切なさも感じる






一瞬の物語


そこには
すべての色が含まれている


大好きなあなたへ

大好きな世界へ

今しか捉えることのできない
瞬間を

送ります

還します





ずっと一緒にいることはできないと
分かっているから


だから
しっかり色を混ぜておいてね


いつかの為の
目印になるように



永遠を旅する私たちの物語を

忘れないように



風の向きが変わって

頁が逆に捲られていく





後ろと前が逆になる







私の物語を逆さまに読んだら

アナタの物語になるのでしょう




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