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映画好きの広報・PRです。大学時代に映画評論のクラスをかじった、なんちゃってシネフィル…

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映画好きの広報・PRです。大学時代に映画評論のクラスをかじった、なんちゃってシネフィル。洋画を中心に、配信ドラマも貪ります。実際の出来事がもとになった作品や、ジェンダーや環境課題など社会課題をテーマにした作品が好き。オール・タイム・フェイバリットは「マルコヴィッチの穴」。

最近の記事

グレタ・リーに恋をする。アジア人大人女性のための”私的な”映画「パスト ライブス/再会」

北米での封切はわずか4館というスモール・スタートから、アカデミー賞ノミネートまで駆け上がったシンデレラ映画「パスト ライブス/再会」。韓国系カナダ人のセリーヌ・ソン監督による自伝的物語は、自立したアジア人女性たちにとって、きっと”私的な映画”になるに違いない。 12年ごとに綴られるノラとヘソンの交流、縁(イニョン)や運命の概念はとても東洋的だ。ノラはそれらを大切なものとして扱うけれど、振り回されはしない。自分の人生を自分で選んで歩んでいく。そんなノラがあまりにも魅力的すぎて

    • 投資版フランス革命「ダム・マネー」にみるコロナ禍のインフルエンサー論

      "投資版フランス革命"というワードがまさに言い得て妙!個人投資家たちがウォール街のエリート投資家たちにギャフンと言わせた実話をもとにした映画「ダム・マネー ウォール街を狙え!」。 ポール・ダノが赤いハチマキを巻いたオタク全開キャラなティザービジュアルを信じて観た。間違いなかった。 この実話、コロナ禍に起きた出来事だそうだ。たった3年ほど前に海の向こうで実際に起こった事件(革命というべきか)がもう映画化され、字幕までついて日本で公開されるのだから、そのスピード感には恐れ入る。

      • 一滴の自尊心さえあれば。「哀れなるものたち」

        手持ち無沙汰な時、ついスマホのパズルゲームを開いてしまう。指定回数でクリアできないとゲームオーバーになって、またはじめからやり直す。ゲームアプリに慣れっこになってしまった日々を過ごす自分に、この映画は「人生ってやり直せないんだよなぁ」と当たり前のことを思い出させた。 人の一生は書いて字の如く、一回しかない。だから、この映画はとことん夢見的で、フィクションの極みだ。エマ・ストーン演じるベラが纏う装飾的な衣装も、エンドロールの最後に至るまで徹底された絵画のようなカラーリングも、

        • 人間は生きているだけで業が深い:「もっと遠くへ行こう。」

          シアーシャ・ローナンと「Aftersun」のポール・メスカルという、映画好きホイホイなキャスティングの「もっと遠くへ行こう。(原題:FOE)」がAmazon Prime Videoで配信開始されたので、さっそく鑑賞。 物語の舞台は、地球環境の悪化により、宇宙への移住計画がなされている2065年の近未来。移住のための調査団の一員として、田舎に住む若夫婦の夫が候補者になってしまう。 「インターステラー」をはじめ、”地球に住めなくなる未来”という設定は、昨今さまざまな映画で用い

        グレタ・リーに恋をする。アジア人大人女性のための”私的な”映画「パスト ライブス/再会」

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        • 一滴の自尊心さえあれば。「哀れなるものたち」

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          女であることに飽き飽きしたクイアの映画「緑の夜」

          「緑の夜」は、訳あり女2人の逃亡劇であり、女であることに飽き飽きしたクイアの映画だ。 流行っているから観てみようか、と何となしに観始めたNetflix「梨泰院クラス」で、私がどうにも気になってしまったのはパク・ソジュンではなく、水色の髪のトランスジェンダー役をさらりと演じて見せたイ・ジュヨンだった。(過去作品を観るほどにはソジュナももちろん好きになったが) 「なまず」も「ベイビー・ブローカー」も観たけれど、彼女の真骨頂だと思ったのは主演を演じた「野球少女」だ。そこそこの埋

          女であることに飽き飽きしたクイアの映画「緑の夜」