見出し画像

時短勤務で復職するって、誰が決めた?ー『デュアルキャリア・カップル ~仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』を読んで

いまわたしは結婚3年目で、子どももそろそろほしいなあと考えている。
先々のことを考えて事前に対策をしておこうと考える性格で、産後の生活についてもあれこれ脳内シミュレーションをしている。

復職したら時短勤務にして、朝子ども保育園に送り届け、16時か17時に退社して迎えに行く。子どもが病気になったらリモートワーク。自分の時間なんて全然取れなくなるんだろうな。
今より給与が減ってしまうだろうし、なかなか成長につながるような仕事がしづらくなるかもしれない。
もし2人産んだら、産休を2年、時短勤務を3年くらいは少なくともするのだろうし、5年くらいはずっと時短勤務で働くんだ。その間転職なんて難しいんだろうな。新しいチャレンジをするなら産前にやっておかないとできないんだろうなあ・・。

こんな具合の脳内シミュレーションだ。
今正直子どもが生まれたあとの楽しみよりはキャリアに対する不安のほうが大きい。

そもそも、産休や時短勤務など、大きな制限を前提にして考えているからこんなに悩むのでは?と疑い始めていたところで、ある本に出会った。

この本によれば、夫婦がどちらもキャリア志向である際に、人生で3度の転換期が訪れるのだそうだ。それらの転換機をどう乗り越えれば良好な関係を続けることができるのか、解決のためのアイデアが様々な国のカップルを対象にした学術的な研究に基づいて書かれている。
解決方法は一貫して、お互いのキャリアとライフイベントを両立させるために対話を重ねることだ。各転換期でどのようなテーマについて話すとよいか、ヒントを与えてくれている。

デュアルキャリアカップルの第一の転換期

本書では3つの転換期について書いてあるが、私は主に自分と境遇が近い第一の転換期を中心に読んだ。

第一の転換期は、主に20〜30代で訪れる。
結婚したてのときはお互いがそれまでのペースを崩すことなく良好な関係を続けられるが、出産や、片方のキャリアの進展など、をきっかけとして、お互いのバランスがとれなくなってしまう。第一の転換期は、2人の独立したキャリアや人生のまま並走している状態から、2人の結節点を探し、お互いを頼る状態へと移行するタイミングなのだそうだ。

本書では、この転換期を乗り越えるための夫婦の対話のテーマを提供してくれている。

1.二人の協定づくり(価値観のすり合わせ)

夫婦間で同じ価値観を持っていると思っていても、細かい部分は異なっていることも多々ある。下記3つについて対話し、共有して、価値観のすり合わせをする。
・お互いの価値観(家族像や生き方など)
・限界(地理的限界、時間的限界、在・不在に関する限界)
・不安

2.どちらのキャリアを優先させるか

子供が生まれれば、どちらかが、或いはどちらも家事や育児をしなければいけない。その時、一番手・二番手を決めてどちらかのキャリアを優先させるのか、一番手と二番手の交代制を取るのか、或いはどちらも一番手で行くのかを考える。

3.子育てをどちらが中心に行うか

子育てをどちらが中心となるかについても話しておく。中心となる人は、子どもの学校行事のスケジュールや仲の良い友達が誰かなど、あらゆることを把握しコントロールタワーとなる。こちらについても、片方が中心となるのか、交代制を取るのか、どちらもが中心になるのか、を考えておく。

自分たちのジェンダーバイアスを自覚して、話し合おう

わたしたち夫婦は、これまでどちらのキャリアを優先させるかとか、子育てをどちらが中心に行うかを話したことはなかった。でも私の脳内では夫のキャリアを優先させ、子育ては自分が中心に行うシミュレーションが繰り広げられている。夫がそうしてほしいといっているわけでもない。わたし自身が、根強いジェンダーバイアスに基づいて、先回りして周辺環境の整備に取り掛かっているのだ。

この記事のタイトルに「時短勤務で復職するって、誰が決めた?」なんてやや挑発的な言葉を書いたが、わたしは「時短勤務は絶対しない」なんて思っているわけではない。時短勤務にしても忙しすぎてもっと仕事をセーブしたいと思うかもしれないし、自分がもっと子育てに時間を割きたいと思うかもしれない。

ただ何かを無意識的に選択していった先で、妥協している気持ちや自分を犠牲にしている気持ちを持ちたくない。だから、夫婦でジェンダーバイアスを脇に置いて、フラットにお互いの価値観やかキャリア、役割分担について話して、選択したい。

先日友人が産後半年で、フルタイム勤務で復職した。私の身近にはこの選択をした人はまだ一人しかいないが、時短勤務以外の選択肢を望む女性は増えてきているのではないかと思う。一方で、子育てにもっと積極的に関わりたいと思っている男性も増えているだろう。
まだまだ既存の制度や周囲の考え方が、デュアルキャリアカップルというあり方にフィットしていない場面も多いけれど、共働きをしている夫婦にはぜひ一度この本を読んで、話し合って、自分たちの選択をしてほしいなと思う。

丹精込めて描いて&書いています。いただいたサポートは、休憩の癒しなどに、大事に大事に使わせていただきます!