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【読書感想文】アイマスのコミカライズ界でひたすら我が道を往く「ぷちます!」について語る

 アイドルマスターのコミカライズはかなり昔から盛んに行われている。だいたいXBOX360版アイドルマスターが出たぐらいから既にいくつかのコミカライズが行われており、初期に出たものはゲームの内容に沿った内容で巻数も少なかった(だいたい2~5巻程度で簡潔に完結…ふふっ)が、近年ではブランド別に様々なコミックが出されており、中には長期連載化されるシリーズも増えてきている傾向にある。
 その中でも、今回紹介する「ぷちます!」は現在連載されているアイマスのコミックの中でも最長の連載作品である。元々は二次創作から始まったと聞くが、その後公式化して電撃マオウにて連載開始し、2008年から現在(2023年3月)に至るまで14巻の単行本を発行し、現在もマイペースに連載中である。
 ちなみに連載開始時はまだXBOX版アイマス~PSP版(アイマスSP)あたりが主流で、デレマスやミリマスはおろか、アイマス2すら出ていない時期だったこともあって、アイドルの容姿はおおむね1st VISION時代のものに倣っている(ただ、ぷちます!自体は2巻以降「2nd VISION」扱いになっている)。わかりやすいところだと「真の髪が短い」「あずささんの髪が長い」「真美の髪型が亜美のシンメトリーでサイドテールが短い」「律子の髪型がダブル三つ編み」「伊織の髪型が完全におでこを出してる」など。ここらへんはたまに髪型アレンジをしたりしていることはあるものの、現在に至るまで基本的な部分は特に変わっていない。
 また、おそらく当初はアイマスSPの設定に倣い、貴音と響は別事務所のアイドルで765プロに遊びに来ているという設定だったようなのだが、いつの間にかうやむやな感じで765プロ所属になっていたようだった。加入にあたり具体的な描写は一切なかったが、ギャグ漫画故にさしたる問題はない。そもそも響は別事務所所属時代からなぜか事務員として仕事を手伝わされたりしていた。

事務員服の響、かわいい


 基本的には、765プロのアイドル達とアイドルそっくりの見た目の2頭身くらいの謎生物「ぷちどる」によるギャグ漫画であり、まあ細かいことは気にせずに面白く読んでくれればOKという内容である。たとえばやよいの身体能力とサバイバル能力がとてつもなく高かったり、やよいにいろいろ付き合わされた結果自分自身も同じくらい強靭になってしまった伊織だったり、本人もぷちどるもワープするあずささんだったり、とりあえずいろいろぶっ飛んでいる。なお作中で「ぷちどる」が何者なのかははっきりとは語られていないが、ギャグ漫画故にさしたる問題はない。行きつけの無人島に謎の現住生物(人間並みの知能とコミュニケーション能力を持つ)もいるが、それもギャグ漫画故にさしたる問題はない。ほかにも巨大生物とか大蛇とか幽霊とかを召喚するぷちどるもいるが、それもギャグ漫画故にさしたる問題はない。

食べても美味しいらしいスペパププさん

 765ASの漫画ではあるが、天海春香さんの出番はそこまで多くない。ぷちどるである「はるかさん」の存在感は凄まじいのだが(謎パワーで分裂したり巨大化したり狂暴化したりする)。おそらく主人公格は律子だろう。作者が律子Pらしいし。りっちゃんはかわいいので問題はない。

リッチャンハ、チョウカワイイデスヨ

 ちなみに過去2回アニメ化しており(スピンオフ漫画のアニメ化は「ぷちます!」が初である)、1話数分のショートアニメを「平日に毎日」配信するという半ば狂気めいた配信をされていた。昭和の帯アニメか。なお、時々一日2話配信される日もあった。あと、たしか週末にその週の総集編が見られたと思う。アニメ版の監督は「まんきゅう」氏。デフォルメ系のアニメに定評があり、後に「シンデレラガールズ劇場」の監督にもなっている。今後は「シャニマス」のアニメの監督にもなる予定であるが、シャニマスのアニメはデフォルメ系ではないようなので、どのような作品になるか楽しみである。

 話を漫画の方に戻すが、基本的に4コマのギャグ漫画なので、ぶっちゃけた話アイマスや765ASをよく知らない人が読んでも気軽に楽しめると思う。むしろアニマスやミリシタくらいでしか765ASを知らないPがこれを読んだら、あまりのぶっ飛びっぷりに驚くかもしれない。初期の765AS(公式も二次創作も結構やりたい放題やっていた)の空気を味わえる、今では数少ない貴重な作品なのかもしれない。そしてひたすらマイペースに独自路線を突き進むあたり、もしかしたらどの作品よりも長生きするのではないかとすら思ってしまう。

どこまでも自由だ

 とにかく、アイマスの漫画でギャグに振り切った作品を読みたい方は、ぜひこの「ぷちます!」を手に取ってみてほしい。そこから765AS沼にハマるも良し、まじめなコミカライズにも手を出してみるのも良し。

 ちなみに765ASがメインの作品で筆者がオススメするものとして、最後に下記の3作品を挙げる。

「THE IDOLM@STER」「朝焼けは黄金色」
 いわゆる「まなマス」。「THE IDOLM@STER」はアニメ版アイマス及び映画版「輝きの向こう側へ」の補完作品となっているため、できれば先にアニマス・ムビマスを観てもらえると、面白さがさらに増すと思う。
 「朝焼けは黄金色」は、765プロダクションの事務員である音無小鳥さんが高校生の頃の話で、実質的に「アイドルマスター・ゼロ」である。泣ける。
 いずれもシナリオはアニマスの脚本を書いた方が担当しているため、設定も一貫していて面白い。

「アイドルマスター2 The World is All One」
 いわゆる「ざわわん」。アイマス2をベースに、ちょっと変わった経歴を持つ主人公Pが活躍するという作品。アイマス2独特の雰囲気を味わえるので、ゲームでプレイする時間的余裕がない方にもオススメ。


どっとはらい。

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