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わかば自動車教習所で恋を学ぶ

出会ってしまった。この作品に
これは果たして運命か、偶然か。

千穐楽を終えて、私のほぼ0に等しい記憶力を遡ってこの感想を書いています。来週には配信が始まるのでそこまで感想書くの待つか迷ったけど、感想にも新鮮さが重要ですよね。知らんけど

【あらすじ】
わかば自動車教習所。
そこに通う栗山(赤澤燈)は同じ教習所に通う水沢に恋をしていた。
女性経験のない栗山は、同じ教習生の、朝が弱いのに朝イチの講習ばかりを予約する小松(定本楓馬)や、大金持ちで既にフェラーリを購入している佐原(安里勇哉)から恋の授業を受ける。教習生との距離が近いフレンドリーな教官の長浜(宮下貴浩)の協力もありながら、栗山は水沢とのドライブデートに向けて、自動車の運転と恋について学ぶ。
「誰でも最初は初心者。ハザードランプを点けて止まればいい」

とある俳優さん目当てで初日を観劇し、あまりの共感具合にあれよあれよとチケットを増やしてしまった作品。いや~出会えてよかった。

まず前半パート、怒涛のコメディというか笑いのシーンが連続。初日観劇の時はまさかこんなに笑う作品だと思わず不意をつかれて爆笑してしまった…隣にいたお姉様は笑いすぎてむせてた(大丈夫でしたか?)

めちゃくちゃ面白いセリフ連投で笑かしてやろう!という感じではなく、あくまでも一人の人間が別の人間と関わる中で不意に素が出てしまったり、逆にキャラの性格的なところが深まることによって巻き起こる笑い。日常生活で私たちもきっと経験したことのある笑い。なのになんで舞台上でみるとあんなにも面白いんだろう…きっと演者さん同士の間の取り方とかセリフの強弱とか。そんな細かい部分の先にある笑いなんだろう。流石だな~~~~~初日はそんなこと考えずにただ「面白れぇ!」という感情のみで観劇していたので2回目で改めて落ち着いてみたときの演者さんパワーがとてつもなかった。

栗山くんが、同じ教習所に通う女の子に恋をして、その子との恋をうまくいかせるために周りの個性的な面々に助けてもらうっていうのが超簡素なあらすじ。モテモテの佐原くん(ただのおバカなおぼっちゃまかと思いきや実は芯があるタイプ)から「水沢さんとどうなりたいのか」という質問に対して「彼女を助手席に乗せてドライブしたい!」ってニコニコしながら答えんのかっわい~~~私もまともに恋愛したことない人間なんだけど私だったら「そんなしょうもないことで良いの?」って突っ込みいれちゃうと思う。けどそんな栗山くんをバカにせず受け止めてあげる小松くん、佐原くん、長浜教官の大人っぷりがすてきでした。

栗山くんが恋した水沢さんはきっとおとなしくって純真無垢で彼氏もできたことなくて、恋愛わかばマーク!な女の子だったんだろうけど、実際は元カレが教習所にいるし大型車の免許取りに学校通ってて、世界の色んなことに興味を持つ活発な女の子だった。一つずつ事実をしっていくことで栗山くんの中で理想との"ズレ"が生まれていくんだよね。そのズレの描き方も絶妙で、栗山くん自身はすごく気にしてるんだろうけど周りが笑いでカバーして「大丈夫!全然いけるよ!」ってなっちゃってる感じがとてもリアル。結局最後は積み重なったズレを自分の中で許容できなくなって「めんどくせえ!すべてなかったことにしちゃえ!」となる。この人間のリアルな心情の動きを表現するの赤澤さんめっちゃ上手だった。

この、めんどくせえ!ってなって全てをリセットしちゃうこと私も昔からよくある。この作品における最大の共感ポイントがここだった。

思い出に何か少しでも違和感を感じると、その思い出に関わってきた人間ごと切ってしまう!そしたらその違和感のある思い出を思い出すこともなくなるし、何なら最初からそんな思い出なんかなかったことにできる。栗山くんがしようとしていたのはコレだよね。私は中・高・大学自時代の友達やSNSでつながった子とかと、この先関わらないようにすべて連絡先をたって日常生活で思い出さなくて良いようにしてる(笑)私の場合は、栗山くんみたく何か悪い思い出があったわけではなくただ、私のこれからの人生に必要ないのかもって思うと切りたくなっちゃう。お互い変なところで完璧主義なのは変わらないね栗山くん🌰

そんな栗山くんの行動と言動に対して佐原くんが言った「栗山くんは他人から影響を受けない人生ってことでいいの?あと、他人に何の影響も与えないってことでオーケー?それって成長しないよ」(うろ覚えです)といったニュアンスの言葉を投げかけていて ほぉ…なるほど…となりました。私自身「他人から影響を受けない人生、自分が影響を与えない人生」を歩むためにやっていたことなのでそれはオーケーとして。これって「成長」しないんだ……もはやココで定義される成長ってなんなんだろうとも思って。オムさんのみぞ知る事実。
私の普段の性格は栗山くんではなく、完全に佐原くんなのでココで投げかけている「成長」というのは私には当てはまらないのかもしれない。と、考えることから逃げました。

「めんどくせぇ!これが俺の体質なんだ!」ってなってた栗山くんに最後まで寄り添ってくれた教習所のみんな。全員に「体質」があって、それをお互い理解することで人との交流が生まれるし友達になっていけるんだと思う。こんな私にも「体質」を理解して仲良くしてくれる友人がいる。それって本当に幸せで、でも中々つかめない幸せ。私も、栗山くんも、もちろん小松くんも佐原くんも長浜教官もみーーーんな、この出会いに感謝だね。

最後に、カテコで流れてたこの曲。
中学生の時音楽の教科書に載っていて出会ったこの曲。
ここで再度巡り合えるなんて!

まさにこの舞台のテーマソング、いや栗山くんのテーマソングか…

You say goodbye and
I say hello, hello, hello
I don’t know why you say goodbye
I say hello, hello, hello
I don’t know why you say goodbye
I say hello

教習所での出会いを通じて、栗山くんは"Googbye"だけを言ってきた人生から"Hello"も言える人生に変わったんだと感じた!

カテコでこの曲が流れて、聞き直していく中で更にこの作品が好きになった!関わってくれたすべての方に感謝を…!出会えてよかった(n回目)

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