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数学で学ぶギリシア文字と変異株

 新型コロナの変異株にかんする雑談です。たいした話はしません。それでもよろしければお付き合いくださいね。

 皆さん、この間、だいぶギリシア文字に詳しくなられたのではないでしょうか。変異株の名前になぜかギリシア文字の名前がついていますからねえ。たとえば「オミクロン株」と言いますが、オミクロンはギリシア文字です。なぜこんな話をするかと言いますと、私の大学・大学院での専門は数学であり、数学という学問はつねに「文字不足」に悩んでおり、少なくともあらゆるギリシア文字の大文字・小文字は使ったからです。そのほかにもいろいろな文字を使いました。ヘブライ文字を使うこともありました。

 算数・数学で、おそらく多くの人が最初に知ることになるギリシア文字が「パイ(π)」だと思います。円周率を表すのに使います。そのつぎがなんでしょう。高校に入ってから学ぶ「sin θ」(サイン シータ)とかの「シータ(θ)」でしょうか。これらはいずれも小文字です。それから、和の記号として「シグマ」の大文字(Σ)を学ぶでしょう。「増分」として「デルタ」の大文字(Δ)も習いますね。それから、細かいところでは1の3乗根として「オメガ(ω)」を習ったりします。高校までに数学で習うギリシア文字はこのへんまででしょうか。あと物理で「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」を学ぶかもしれません。微妙なのが「空集合」の記号として学ぶ「Ø」ですが、これを「ファイ(φ)」と習った人も多いのではないかということです。これはファイに形が似ていますが、ファイではなくおもに北欧で使われている文字のようです。私も自分が高校生のときは「ファイ」と習ったものです。大学に入った瞬間に理系はいろいろなギリシア文字に襲われます。ときどきギリシア文字の大文字は普通のアルファベットと同じ形をしており、区別がつかないので「使えない」場合があります。先述の「オミクロン」で言いますと、これは普通のアルファベットの「オー」(O)(o)と、大文字も小文字も同じであり、あまり使いようのない文字ではあります。

新約聖書はギリシア語で書かれています。使われている文字はギリシア文字です。私も図書館で「七十人訳聖書」(旧約聖書の古代のギリシア語訳)を原文で見たことがあり、そこには数学で習ったギリシア文字がずらりと並んでいました。もちろん読めませんが、たしかにギリシア語はギリシア文字で書かれていることを実感しました。

 最後に落ちを書きます。中学の社会では「ギリシア」「ペルシア」という表記で習うのですが、中学の数学の教科書では、円周率πを習うときに「ギリシャ文字」と書いてあるのです。「ギリシア」と「ギリシャ」の書きかたの違いは校正者として気になるものです。別にどちらでも構わないと思いますが、これは中学の数学の教科書を書く人の「理系バカ、文系おんち」ということができるかと思います。以上でした!

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