世界樹の花

1000年にいちど咲く

生命のルールを歪める花

死者蘇生を可能にする花

あの花は

あたしの恋敵を生き返らせた

あのとき

その花をかすめとっておけば

恋敵なんかじゃなくて

幼馴染を

たいせつなあのひとを

生き返らせられたのだろうか

そう　ずっと　後悔が止まないけれど

そういえばあたしは

西暦2000年うまれ

ミレニアム　1000年にいちど

その言葉を浴びて育った

世界樹の花は　あたしだろうか

こんなに　こんなに
穢れた醜い愚かな　わたしに

救える命など　あるのだろうか

わたしの心臓がいま脈打って
わたしの体に血液が巡る

あんなに　たくさん　しんどくて

未だに投げ出せないのは

「勇者よ　まだ　そのときでは　ありません。」

神様、そういうことでしょうか。