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ドイツでの大失敗!(元教授、大阪駅でヨーロッパの鉄道旅を思い出す。その7):定年退職26日目

昨日「ドイツで危機一髪」の原稿を書いている時に、懐かしさとともに、ドイツでいろいろと失敗をしたなと思い出し、思わず冷や汗が流れました。その中でも、一番印象に残る失敗をお話しします。


私はドイツ人の C 教授とある国際学会で出会い、私の大学でも講演をしてもらいました。彼は化学の分野で有名人であり(当時、世界の化学論文引用数100傑入り)、その飾らない人柄と大きなビール腹がチャーミングな先生です。数年前には、異なる分野ではありましたが(むしろ異分野だから!)共同研究の話になり学生を派遣しましたが、私も彼の大学に来てほしいとのことで訪問することになりました。


大学は、ドイツの一番南に位置するコンスタンツという所にあります。湖の近くでとても風景の良い所なので、「自転車でツーリングしましょう」とお誘いもしてもらいました(残念ながら、日程の都合で日帰りの旅になってしまいました)。ちなみに、その湖はドイツ、オーストリア、スイスの国境にあるボーデン湖といい、アルプスではレマン湖に次ぐ大きさ(琵琶湖を少し小さくしたくらい)で、ライン川にも繋がっているとのことでした。


先生のお勧めで、前日にスイスのチューリッヒ(下写真)に宿を取り(その後ブリュッセルへの移動予定があったので)、翌朝にコンスタンツへと電車で向かいました(下写真)。大学のある場所はボーデン湖畔の丘の上にあり、その景色に心を奪われました(タイトル写真:日程をなんとか融通して、一緒にツーリングするのだったと後悔しました)。

初スイス
翌朝、コンスタンツへ


講演およびディスカションをした後、夕方に先生が駅まで車で送ってくれることになりました。一日中とても良い雰囲気で過ごしたのですが、私の大失敗はこのあとでした。先生に「どんな車に乗っているのですか?」と尋ねましたところ、「ビーダブリュー」だよとのこと。私はその場で「そうか、ドイツではBMWのことをそう言うんだ」と勘違いしてしまったのです。そして、私が好みの車であったBMWについて熱く語り始め、ベンツやフォルクスワーゲンより大好きだと話しました。その時から先生の表情が少し雲ってきました。「あれっ?」なんかやってしまった?? 案の定、到着した駐車場にあったのは、


BMWではなく、フォルクスワーゲンの車でした。


しまった、「ビーダブリュー」はBMWの略でなく「ヴィー(V)ダブリュー(W)」だったのです。私の勘違いだ、あーーーっ!!!


先生は少し悲しい顔で、「フォルクス(民衆)のワーゲン(車)」ですからと、笑っておっしゃいました。英語の語彙不足の私はただ謝るしかありませんでした。その後先生は、親切にVWで古い街並みをいろいろと案内してくださいました(下写真)。ただ、私は自分の失敗から立ち直れず(先生の方がショックだろう!)、静かに列車に乗り込みました(下写真)。

コンスタンツの古い街並み
コンスタンツ駅


幸いにもその後の共同研究は順調に進み、ある学術誌の創刊号表紙に選ばれるほどになりました。しかし、先生の悲しそうな顔を思い出すたび、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。ドイツでの一番の失敗でした・・・


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