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【海外版CL(OCIC)大会振り返り】BO3の考え方

 noteではお久しぶりです。ポケカプロプレイヤーのサーニーゴことシマダダイチです
オーストラリアのメルボルンで開催された海外版CL Oceania International Championship(以下OCIC)に参加し63位でした。その振り返りを記事を書かせていただきます。

スポンサー紹介

 今回参加するにあたって支援してくださった方々の紹介をさせていただきます。

カードゲームバー「BAR UNKNOWN」様

 事前準備、現地での滞在スケジュール組み、渡航費全額負担など今回の遠征を全面的にサポートしていただきました。

Twitter(https://twitter.com/bar_unknown?s=21&t=-nBhwDcj1IS4_RNkiWzTtw)

大阪市浪速区にあるカードゲームとお酒が楽しめるショップ

「紙と人」様

 通訳や現地での撮影補助などをしていただきました。

Twitter(https://twitter.com/kamitohito?s=21&t=UZgApoGkmlciMxcHMZuRlQ)

ポケモンカードプレイヤーに焦点を当てたメディア
取材していただいたので今後僕のインタビュー記事が投稿されます

大会の様子

 事前準備から帰国まで全てYouTubeにアップしました。再生リストのURLを貼っておくので気になる方はご覧ください。

 ここからは本文に入るまでは簡潔にまとめるために箇条書きにさせていただきます。予備知識なので知ってる方は読み飛ばしてください。

シマダダイチの簡易自己紹介


プレイヤー実績

・2019年からプロプレイヤーとして活動中
・チャンピオンズリーグ(1000〜1800人規模の公式大会)過去2回優勝
・2022年世界大会2位
・第3期・5期ポケカ四天王
・国際大会の経験は過去3回(世界大会×2.日韓交流戦×1)

その他の活動

・2020年からYouTuber(2023年2月現在登録者数3.5万人)
・2021年YouTubeメンバーシップ開設(2023年2月現在500名)
・全国各地のイベントにゲスト出演

YouTube

メンバーシップ

https://www.youtube.com/channel/UC9KZl6gVF9Kyteo6h0Q73vg/join

OCICの簡易説明

 日本の大会と形式が全く異なるので予備知識の説明をします。

使用可能カード

 「コレクションソード」「コレクションシールド」〜「VSTARユニバース」
 だいたいCL2023京都と同じです。日本の方が早くカードが販売されるので海外は少し遅れています。

日本の大会形式

 OCICの形式との比較のためにまとめました。

試合時間

 25分1本勝負(BO1)

時間切れ

 後攻プレイヤーの番の終わりまで対戦を続けて決着がつかない場合両者負け

勝ち点

 勝ち3点、負け0点(引き分けがないのであんま関係ない)

Day1

 全9試合
 7勝以上がDay2へ進出可能

Day2

 全5試合+決勝トーナメント
 Day1との成績を合わせて上位16名でトーナメント

Day3なし

 決勝トーナメントに残るためには12勝2敗ぐらいの成績が必要

OCICの大会形式

試合時間

 50分3本勝負(BO3)

時間切れ

 時間切れのタイミングでプレイしていたプレイヤーの番を0ターンとしてカウントし、追加で3ターン行う。
 側方が1勝した状態で2試合目の決着がつかない場合は1勝している方の勝利。勝利数が同じ場合は引き分け。

勝ち点

 勝ち3点、負け0点、引き分け1点。

Day1

 全9試合
 勝ち点合計19点以上がDay2へ進出可能

Day2

 全5試合+決勝トーナメント
 Day1の成績を合わせて上位8名で準決勝までトーナメントが行われる
 決勝トーナメントは1試合70分

Day3

 決勝戦

 先攻後攻は直前のゲームで負けた方が選べる。日本の大会と異なり引き分けに価値がある。(遅延行為以外で)引き分けを狙うスキルや2〜3戦目でプレイを修正するスキルが求められる。決勝トーナメントに残るには今大会は少なくとも31ポイント必要で、32ポイントが安全圏内だった。

 予備知識が入ったところでしっかり文章にまとめていきます。

この記事で伝えたいこと

 国際大会に参加するにあたっての僕の考え方と今回参加してアップデートされたその内容についてです。日本と海外の大会は形式が大きく異なります。そのため事前準備や試合中のプレイを始めとする戦術を見直さなければいけません。
 また今回の遠征はスポンサー様のサポートがあって成り立っています。ただ参加して終わりだとそれはただの旅行です。今回の成果や反省をまとめた上で今後の方針をスポンサー様や応援してくださった方に示したいです。

事前準備:カードプールの見直し

 日本では海外よりも先にカードが発売するため2〜3ヶ月前の大会を振り返ることから始めました。当時はルギアVSTARを軸としたデッキのパワーが高く、これを中心に対策したデッキが流行っていました。

圧倒的Tier1デッキ 対策が難しい

 それは海外の環境であっても変わることはなく、明らかに大会での使用者が多いとわかっていたとしても完全に対策することは難しく母数の大きさとパワーの高さから大会上位に常に何名もの使用者が食い込んでいました。
 海外は日本より販売時期が遅いだけでなく、発売スパンも違います。(日本の2〜3ヶ月分のカードが一気に発売します)
 そのため同じカードの研究が深く進みます。その煮詰まったカードプールの中で新しいデッキが生まれることがあります。今回のカードプールでもいくつか新しいデッキが見受けられたものの、デッキパワーと対応力の高いルギアVSTARが結局上位に残っています。

BO3の考え方:デッキ構築

 海外の大会はBO3です。BO1とBO3ではデッキ構築も試合の進め方も全く違います。まずデッキ構築について話していきます。

BO1の場合

 BO1だと最初の手札に最低限引かなければいけないカードのどれかが引けない試合が1回でもあるとその時点で1敗することが確定します。(同じデッキに同じカードは4枚しか採用できないので、類似効果のカードを採用して量増して引けるようにする。本題からずれそうなので割愛します)
 運が悪くこれが2回あり、1回でも相性の悪いデッキと対戦することになると3敗することが確定します。日本の大会形式では3敗以上してしまうとほぼ決勝トーナメントに残れません。
 「じゃあ最初の手札に必要なカードをたくさん採用すればいいのでは?」と感じるかもしれません。しかしそうすれば試合の終盤に欲しいカードが足りなくなってしまいます。
 多少無理してでも終盤に使えるカードを詰め込んだ方が試合の序盤を乗り切れると勝率が上がります。BO1はこの辺のバランスが非常に難しいです。

BO3の場合

 BO3の場合1本目がゲームにならない手札だったとしても2本目以降で取り返しが可能です。そのためBO1より最初の手札に欲しいカードを減らした攻めたデッキの作り方ができます。
 しかしBO3のデッキ構築はそう簡単ではなく、2/3試合勝つことに焦点を当てたデッキが一番強いわけではありません。逆に最初の手札に必要なカードを多く採用したデッキで3/3試合きっちり闘うという考え方も存在します。その場合試合の終盤に必要なカードを最低限に切り詰めて60枚にまとめることとなり、長期戦に向かないデッキとなります。
 ここまでの話をわかりやすくまとめると「3試合の平均点が高いデッキ=強いデッキ」ということになります。

BO3特有のデッキ

 基本的なBO3のデッキの考え方を話しましたが実はもう一つあります。これが50分丸々使って闘うデッキです。日本のBO1形式だと25分で決着がつかないデッキがあります。決着がつかないと両者敗北となってしまいます。
 しかしBO3を実質BO1として50分使い切って闘えば、1試合目を勝利し2試合目の途中で制限時間となりその試合に勝利できます。だいたいこのタイプのデッキはポケモンを倒して勝利する正規の勝利条件ではなく、時間稼ぎをする妨害カードを駆使して特殊な条件で勝利するデッキです。
 正規ルートで勝つデッキではないのでデッキ構築がそもそも難しい上、内容がバレると対策されやすいという欠点があります。

BO3の考え方:試合の進め方

 デッキ構築の時点でわかる通りBO1とBO3は全くの別のゲームです。これは試合の進め方にも言えることです。

BO1の場合

 1本勝負なので負けに直結するレベルのミスは1つも許されません。正確なプレイが重要ですが時間切れによる引き分けは存在せず、負け扱いとなるので25分以内に試合を終わらせる必要があります。
 雑にまとめるととにかく一生懸命その試合に勝てるように対戦してたら大丈夫です。

BO3の場合

 1本目の時点で3本目までのゲームプランを立てる必要があります。
 例えば1本目の途中で負ける展開が見えたとします。BO1であれば最後まで細い勝ち筋を追って対戦します。しかしBO3の場合50分で3試合完遂するために1本目の試合を諦めて、すぐ2本目に移行する選択肢があります。ダラダラ1本目を続けてしまうと2本目を勝って、3本目がせっかく有利な展開だったとしても引き分けになってしまいます。
 他の例も紹介します。先攻のプレイヤーが大きく勝率が上がるマッチアップで1試合目は自分が後攻だったとします。(日本はジャンケン、海外はダイスロールで先攻後攻を決めます)
 その場合先攻で1回後攻で2回対戦することになります。1本目を早い段階で諦めて2本目に勝ったとしても3本目で負けてしまう可能性があります。1本目で最後まで価値筋を追って悪くとも引き分けで妥協する、もしくは1本目でなるべく多くの相手のデッキの情報を得て先攻を貰える2本目に活かして確実に勝つなどBO1とは全く別のゲームになるわけです。特に1本目で得た情報を活かして闘うという部分は対応力が試されます。
 また引き分けにも価値があるので、その時自分がどの程度の勝ち点を取るべきなのか把握しておくべきです。

使用デッキ:イベルタルコントロール

ポケカのコントロールとは妨害に特化し相手のリソース切れを狙うデッキ
基本戦術は山札切れを狙う

コンセプト

 確実にBO1だと試合が終わりません。海外発祥のBO3専用デッキです。基本的には相手のエネルギーをトラッシュしたり、逃げるためのエネルギーが多いポケモンを捕まえたりして攻撃できないようにし、山札が尽きるのを狙います。
 流行デッキはルギアVSTAR、ロストゾーンを活用するデッキ(以下ロスト)、ミュウVMAXの3種類です。これら3デッキに勝利するためのカードでガチガチに固まったデッキなので想定外のデッキには全く勝てません。
 相手によって闘い方が大きく変わるので各プランを軽く紹介します。

エネルギー破壊プラン

 このデッキのメインプランです。特殊エネルギーが多いデッキに対して使います。イベルタルがワザを使うことを意識し続け、手札が十分ありサポートの選択肢に余裕が生まれた番は妨害系のサポートを使います。相手が攻撃できなくなったらこちらの山札が尽きないようにするだけでOKです。ルギアVSTARやミュウVMAXへのプランです。

はかいのさけびを使い続けてエネルギーを枯渇させる

ガラル鉱山プラン

 逃げるエネルギーが多いポケモンをバトル場に縛って攻撃できない状況を作ります。エネルギー破壊プランとセットで使うことがほとんどですが、相手がケアしていない場合は突如このプランに切り替えます。どんなデッキに対しても使えます。

スタジアムが大量に入っているデッキが少ないため場に残りやすい

コオリッポプラン

 たねポケモンしか入っていないデッキに対するプランです。コオリッポがワザを使えない状態にならない、倒されてもすぐ復帰できるようにすることを心がけます。ロストにはだいたいこれを使います。

ブロックフェイスで完全に詰ませる。時々突破手段が入っているのでケアが必要。

ミルタンクプラン

 ポケモンV以外のポケモンを倒し切ることでミルタンクが突破されない状況を作ります。想定外のデッキに勝てる可能性が高いです。

ミルタンクを突破する手段がないデッキは多い。
序盤の時間稼ぎをしてくれることもある。

デッキ選択肢理由

 何度テストプレイを繰り返しても2/3試合のうち2試合の出力が高いルギアVSTARが圧倒的に強く、ルギアVSTARに対して勝率が安定しているデッキがこれしかありませんでした。
 ルギアVSTARを使う選択肢も十分ありましたが、ルギアVSTAR同士のマッチング(ミラーマッチと呼ばれる)は先攻後攻が大きく勝敗を左右するので避けることにしました。

大会成績

 成績は6勝3敗18ポイントで63位です。あと1回でも引き分けがあればday2に進めていました。

6-3-0で528人中63位

マッチング

 ○が勝ち、×が負けです。ミュウVMAX×2回、ルギアVSTAR×1回に負けています。

1.そらをとぶピカチュウVMAX
○○

2.クワガノンV
○○

3.ルギアVSTAR(配信)
×○×

4.クワガノンV
○○

5.ロスト
○○

6.ミュウVMAX
××

7.ルギアVSTAR
○○

8.ミュウVMAX
××

9.ルギアVSTAR
○○

振り返りと反省

 今大会明らかに失敗したと感じた内容をまとめていきます。

デッキ選択について

 もう一度同じ大会に出場するとしても同じタイプのデッキを使ったと思います。それぐらいルギアVSTARに安定して闘えるデッキが少ないです。ではなぜ失敗したかという話をします。

流行デッキのチェック

 今回最大の敗因です。海外での流行デッキは把握していましたが、その詳細なリストまで見ていませんでした。
 具体的にはミュウVMAXに採用されるビッグパラソル。アメージングレアのイベルタルの対策カードですが、僕のデッキのイベルタルの対策にもなっています。これによってエネルギーがトラッシュできません。

ベンチポケモンもワザの効果から守れる
ロストスイーパーを採用することで対策できる
どんなポケモンでも1撃で倒せる
ルギアVSTARにはほぼ採用されている

 日本国内では採用率が低かった上、自分達の中でミュウVMAXの評価がそれほど高くなかったのでビッグパラソルの本格的な対策をしませんでした。
 その結果ミュウVMAXに2回敗北しています。そのうち1回は必要なカードを1枚引けば勝ちの場面まで2本とも詰められたので、もう少しこのデッキのプレイ練度が高い、もしくはビッグパラソルの対策をしていれば拾えた可能性のある試合です。
 PTCGO(海外のポケモンカードのオンラインゲーム)で対戦したことのあるミュウVMAXには何度か採用されていたので一般的なカードだと考えるべきでした。

プレイング

 イベルタルコントロールの存在は大会前から知られていたので海外の上位プレイヤー達はしっかり対策していました。その中でも特にルギアVSTARの使用者はカビゴン+とりつかいの2枠を使って厚めに対策していました。これでやっとルギアVSTAR側が互角かやや優勢といった認識です。

特性の効果でイベルタルのワザの効果を受けない
ガラル鉱山の対策だけでなくまひやねむりの対策にもなる

 1日でルギアVSTARと3回対戦することとなりましたが、そのうち2回にカビゴン+とりつかいが採用されていました。対策としてはやり過ぎだと考えていたので他の部分のプレイ精度や構築の見直しを優先した結果2試合のうち1回を落としています。
 前日練習の段階では海外選手も混ざっていたので彼にもう少し聞くべきでした。(こんな時英語できればってめちゃくちゃ思う)

BO3でも結局コントロールは弱い

 BO3の大会でフルにコントロールデッキを使った結果、この形式にも向いてないデッキだと思いました。
 BO3を実質1本として闘うので、1本目を落とした時点で2本目は確実に時間が足りません。しかし相手視点だと1本目にある程度負けが見えた途端諦めて、2本目を闘うことにすれば悪くとも引き分けに持ち込むことができます。
 要するに1本目を落とした時点でほぼ負けが確定するのに対し、相手は引き分け以上の結果に持ち込める選択肢があるということです。
 このデメリット以上のメリットを見出せた場合のみ使えるデッキだと感じました。今大会はルギアVSTARが強過ぎたので安定した勝率が必要で、勝てる範囲が狭いイベルタルコントロールを使っても問題ないという判断に至りました。
 今回は国内では使えないデッキタイプで海外の環境を闘えたのでいい経験となりました。実は去年の世界大会でもコントロール系のデッキを持ち込む可能性があったけどやめたので、この経験は今後に必ず活きてきます。

プレイヤーとしての今後の目標

 現状維持で満足しないことと結果より内容にこだわることです。世界2位とかCL2回優勝とか過去の実績を振り返るとインパクトはありますが、今の僕はまだまだ荒削りで成長中です。間違った選択を何度もしてきたしミスもたくさんあります。そんな自分に満足できないので結果より内容にこだわって自分の満足できる勝ち方をしちです。そうすれば結果は自然についてくると思います。もちろん世界一になりたいですが、具体的にどれぐらい勝ちたいって目標はないのだと気が付きました。逆に現状維持でいいやってなった時は引退ですね。

YouTuberとしての今後の目標
 

 最終的にはトーナメントプレイヤーを引退してサポートしたりイベントを盛り上げたりする側に回りたいです。そのための土台作りとしてYouTubeは最適です。多くの人に手軽にポケモンカードの魅力を伝えることができます。今回の遠征も動画にしっかりまとめることができたので、細かい課題はあるものの海外の大会の楽しみ方を伝えるというYouTuberとしての活動は成功です。撮影に協力してくれた方々に感謝です。

まとめ

 正直YouTubeを中心とするメディアへの露出とトーナメントプレイヤーの両立は簡単じゃないですが、今後も自分なりに精一杯頑張るので暖かく見守ってください。そしてそれが結果に繋がった時は一緒に喜んでくれると最高です。最後までご覧くださりありがとうございました。

サイドイベントで遊ぶ様子


TOP64滑り込んだので賞金とパック貰いました
後ろに映り込んでしまったONC
1人で水族館行く様子
この後写真撮ってくれた人が間違えて僕の飲みかけの水持って行ってしまう


観光を諦めた僕とまほうじん(撮影者)
日本にいる時と全く同じなのがウケる


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