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霊柩車No.4(松岡圭祐)

前回、「ミッキーマウスの憂鬱」という本を読んで、読後感が超スッキリだったもので.

この方の違う作品を手に取りました。

霊柩車の運転士という職業の方が主役です。そういうお仕事があるのですねぇ。

まあたしかに、私もこの間、乗りましたけど、揺れないように運転する技術が求められるのかもしれません(全然気づきませんでしたが)。

この物語で私が感じたのは「やるせない思い」と「執念」です。

謎を究明していく中で悲しい現実と向き合う事態に陥ります。ちょっとしたどんでん返しが複数回あります。主人公は、それでも自分の思いを貫くために執念さえ感じさせる行動をとります。
それが成果を生み、周りの力を得、最後にまたどんでん返しが訪れるのです。
すごい展開力です。

私も「やるせない思い」をしたことがありました。
とてつもない詐欺被害にあい、相応に執念を持って戦おうとしたつもりでしたが、私の執念が足りなかったのでしょう。被害額はほとんど戻って来ませんでした。
もっと弁護士にお金を積めばよかったのかな…向こうも「もっとお金ください」なんてヤボなことは言えないでしょう。そんなことにも気づきませんでした。
それと、完全に孤独な戦いでした。相手方はプロ集団。自分の生活もままならない状態でしたので、弁護士に言われるまま粛々と事に対応するだけ、に終始してしまい、「ひと押し」はありませんでした。

そんな自分の事を思い出しつつも、この物語では主人公の「行い」が最後のどんでん返しを生んでおり、「よかった」と思った次第です。


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至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。