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衝撃にも程がある(片岡翔 作)

「あなたの右手は蜂蜜の香り」を読みました。

ひとりぼっちのクマと、ひたむきな少女。心がぽうっとあたたまる、究極の愛の物語。

キャッチコピーにはこう書かれていました。

間違いなく「究極の愛」だと思います。何よりもそのクマだけに思いを傾け、それを最後まで貫徹しています。

それは、世間一般から見れば考えられない、信じられない行動につながります。世間一般ではありえないからこそ、「物語として」読んで楽しむ、という意味合いもあるのでしょうが。それこそが小説の意味だとも思えます。

……にしても、本来であればありえないストーリー。

しかし、もしかすると、子どもの時代に受けたショックは、こんな感じで何年経っても尾を引いてしまうのかもしれない。

主人公のような「行動」には至らないとしても、その「衝動」は抱えて生きつつ、どこかで自分の心に妥協をしているのかもしれない。否、実際に行動をする人も出てきたとして、その「動機」は、この主人公のような簡単には言い表せないものなのかもしれない。それは感じます。

そして、ここまで人の心の奥底を表現できる筆者、これはすなおに「すごい」という感嘆しかありません。

ただ、目的を達成してしまったこのあと、主人公はどうなってしまうのか…非常に気になります。

裏を返すと、究極の目的というのは、貫徹しないままでも(「夢」としてずっと抱え続けておくのでも)いいのかもしれない。そう感じました。



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至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。