Q太郎

初めまして、Q太郎と申します。 こんなご時世だからこそ、一日一日を大切にしようと思い…

Q太郎

初めまして、Q太郎と申します。 こんなご時世だからこそ、一日一日を大切にしようと思い、始めました。 記事に興味を持って下さった方、感謝感激です。フォローもしてくださった方、どうかこれからも宜しくお願いします(^_^)

マガジン

  • パズルのピースをはめこむように

    短編小説をまとめました!

最近の記事

私がピエロになる理由

私は今日、ピエロになる。 白のファンデーションで肌を塗られ、お気に入りの口紅で口角を上げられる。 震える彼の手で、口紅が横にズレてしまった。 「下手くそ」 私がそう言うと、彼は鼻声でごめん、と謝る。 今日はハロウィン。 私は外へは行けないし、メイクも失敗だけど、私と彼の口角は上がっていた。 #140字の物語 #ショートショート #超ショート物語 #アルファポリス 30秒で充実した物語を送りたい!という思いから始めました。 アルファポリスでも連載していま

    • 僕がピエロになる理由

      僕は今日もピエロになる。 白のファンデーションを顔に塗り、君のお気に入りの口紅で口角を上げる。 ほら、勝手に使ってるよ。 いつもみたいに怒ってよ。 僕はピエロ。 君と二人だけの空間で踊るピエロ。 「下手くそだね」って笑ってよ。 僕は笑うよ。 笑うと幸せがやってくるんだって。 ねぇ、目を覚ましてよ。 #140字の物語 #ショートショート #超ショート物語 #アルファポリス 30秒で充実した物語を送りたい!という思いから始めました。 アルファポリスでも連載

      • 『I LOVE YOU』なんてとても言えないけれど

        大学時代にお世話になった先輩が亡くなった。 その訃報を受け取ったのは、珍しく妻と口論をした翌日だった。 仕事終わりに会社の後輩達に食事に誘われ、居酒屋で飲んでいた時の事。スマホの着信が鳴った。 確認すると、知らない番号だった。 「奥さんですか?」とニヤけた顔で見てくる後輩に携帯画面を見せると、「浮気相手ですか?」と失礼なことを言うので軽く頭を小突き電話に出た。 いつもは知らない番号から掛かってきても出ることは無いのだが、その時はその場から離れたい気持ちもあり、席を外し

        • 翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑫【小説】

          石下はやはり父さんに電話をした 電話に出た父さんは仕事を切り上げ、すぐに学校へ来た。 石下が昨日の万引きと合わせて状況を説明すると、深く頭を下げた。 帰り道、二人して無言で歩いていると父さんが「馬鹿野郎」と言った。 「だが、俺だって若い頃はそういう経験がある。大事なことは、繰り返さないことだ」と続けた。 父さんに聞きたかった。 何で俺が万引きをしたと思う?と。そう思っていると、まるで心を見透かすように「原因は、俺だろう」と言った。 その声で顔を向けると、照れくさそうに笑

        私がピエロになる理由

        マガジン

        • パズルのピースをはめこむように
          14本

        記事

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑪【小説】

          「先生、俺が、万引きをしたんです」 ゆっくりと、しかし力強く言う翼に石下がたじろぐ。俺も、少なからず驚いていた。普通は、こういうとき他人を売るだろ。担任が味方をしていて、容疑を掛けられている相手は不良。それなのに。 石下が俺の方を困ったように見た。学校側からしたら、全国模試で上位をとり続ける優等生の翼が万引きをする方が世間体的にも痛い。それは、そうだよな。 「いや、もういいよ」 俺が誘った。 そう、それに間違いは無い。万引きをすると思っては無かったけど、俺の余計な一言

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑪【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑩【小説】

          「で、どうやって万引きをしたらいい」 ぼそぼそと言ってくるので「何?」と聞き返す。 「だから、やり方を教えてくれ」 まさかこいつからそんな言葉を聞く日が来るなんて、小学生の頃の俺が聞いたら驚くだろう。 「いいか、万引きなんてものはな・・・」 まてよ。 少し、考える。 そもそも、何で俺は万引きなんてしたんだ。 あの時、手にはちゃんと財布を握っていた。 そうだ、俺は万引きをするつもりでここに来たわけじゃ無かった。ただ、会話が聞こえてきたんだ。 仲良く、幸せそうに買

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑩【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑨【小説】

          翌日の昼前。約束の時間通りに翼は来た。 インターホンを鳴らす代わりに、愛犬のらんの嬉しそうに鳴く声で誰が来たのかが分かる。 玄関をあけると、尻尾を振って翼の前ではしゃいでおり、翼も嬉しそうに「久しぶりだなぁ」と言ってらんの頭を撫でている。 「不法侵入だ」 「え、あぁ。ごめん」 敷地内に入っていた翼は立ち上がり、頭を下げた。冗談が通用しない奴だな。 「らんちゃん、久しぶりに会ったのによく僕の事が分かったな」 「それは、名付け親の事くらい覚えてるんだろ」 「あの時はま

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑨【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑧【小説】

          階段を降りきった時に、腕を後ろに強く引っ張られた。思わずよろける。腕を力任せに握ってくるそいつを睨むが、同じように睨み返してきた。 「離せよ」 力を緩めない翼に対して語気荒く言うが、それを無視して「やるよ」と答えた。一瞬、それが万引きの事を言っていると分からなかった。 「万引きをやればお前の気持ちが分かるんだろ?やるよ」 「おいおい、冗談言うな。優等生のお前が」 「僕は一度だって自分の事を優等生だなんて思ったことはない!」 廊下に響き渡るその声に思わず後ずさむ。

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑧【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑦【小説】

          生徒指導室を出てから誰も居ない廊下を進む。 廊下は静まりかえっていた。 今はどこのクラスも授業中だ。返って良かった。今は誰にも会いたくない。 石下からは今日はもう帰って明日に備えろと言われた。そっちの方が切り替えられるだろうと。全て、「お前の為」と文言がつくが、それも違う。今教室に行ったところで、変に注目を浴び、憶測が飛び交うのが迷惑なのだろう。別に、俺にとっては好都合だが。 階段を降りてそのまま昇降口へ向かう。 「白上」 階段を降りている最中だった。頭上から声が聞こ

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑦【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑥【小説】

          「万引き?えっと、誰が」 「翼と俺が」  耳を疑った。あの、全校生徒の規範となっていた先輩が、万引き? 「信じられないかい」 「正直、信じられないです」 「鳥飼くんにとって、翼はどんな人物に映っていたのかな」 「それは、やっぱり完璧です。勉強もスポーツも」  そう、先輩は勉強だけでは無く運動能力もずば抜けている。 野球経験が無いにも関わらず、僕が投げた渾身の一球を見事グラウンドのフェンスの向こうまで飛ばした。未だにその時の事が忘れられない。 「やっぱり、見栄っ

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑥【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑤【小説】

          「実はそうなんです」 どうも駄目だ。自分は初対面の人に勧められると断り切れない。 「いや、いいんだよ。他人の顔色を伺うのは大事だ。俺なんか相手より自分の意見を押し通してしまうから、よく周りから敬遠されるよ」 「羨ましいです」 僕は本心からそう言った。 貰った砂糖とミルクを入れスプーンで混ぜて一口飲む。うん、美味しい。 「さて、一息ついたところで・・・」 白上さんはカップを置いて、僕の目を見た。 「改めまして、白上武です。翼とは小学生の頃からの知り合い。君のことは

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る⑤【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る④【小説】

          「あ、はい」 「翼から聞いているよ。よく来たね。さぁ。どうぞ」 きっとこの人が白上武なのだろう。 白上さんは笑顔で肩に手を置き、家へ手招いた。僕は遠慮がちに会釈をし、背中を押されるように家の中へと入っていった。 玄関を入ると、靴が綺麗に整頓されてあった。運動靴と革靴が綺麗に左端に並べ てある。 「さぁ、遠慮しないで」 玄関で立ち止まっている僕に優しく声をかけてくれる。僕は失礼しますと言って靴を脱ぎ、右端に置いた。 「今、父親は仕事中でね。ご飯も作り終わった所だった

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る④【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る③【小説】

          「ちょっと出かけてくる」  リビングでスーパーのチラシを見ている母さんに声を掛ける。 「図書館?」 「違うよ。今日は日曜日だろ」 そういうと母さんは「そういえばそうね」と頷く。 母さんはいつもはかけない眼鏡をかけていた。今年で50になる母は最近老眼が酷いと言い、老眼鏡をかけている。 「じゃあどこに行くの」 「ちょっと、友達の家」 「珍しいわね。田辺くん?」 チラシから視線を僕の方に移した。 田辺とは中学時代の同じ野球部のチームメイトだった。もう暫く会っていない

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る③【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る②【小説】

          『背景、鳥飼 直様。 突然の手紙でさぞ驚かれただろうと思う。 もう僕の葬儀は済んだだろうか。済んでいるとは思う。この手紙が君のポストへ配達されるのは、一週間後と設定しているから。でも、まだ落ち着いていないのかもしれない。何せ、遺書も何も残さずにこの世を去ったから、みんな混乱していると思う。他殺を疑われていたら、嫌だな。  僕の親は、どうだろう。学校のみんなはどうだろう。涙を流してくれる者はいるだろうか。駄目だね、僕は弱い人間だから、こうしてこう手紙に書いているだけでも、意思

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る②【小説】

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る【小説】

          先輩が飛んだ。 学校の五階の生徒会室の窓から身を乗り出し、飛んだ。 先輩が飛んだ日は日曜日で学校が休みだった。学校は休みだったが、野球部やサッカー部がグラウンドでクラブ活動をしており、そのときにいた野球部のマネージャーが第一発見者だという。  丁度野球部が休憩のタイミングで、マネージャーがグラウンドから校舎へ戻る時に血を流しながらうつ伏せで倒れている先輩を発見したとのことだ。そのマネージャーは先輩に好意を抱いていたと言うのだから、なんともまぁ可哀想に。いや、先輩に好意を抱

          翼が無いと分かった僕は地面をひた走る【小説】

          間に合わなかった

          タイトル通り、あることが間に合わなかったという話と、宣伝をさせてください! noteを始めてから早三ヶ月。 おかげさまで198人程のフォロワー様にも恵まれ、ありがたい話です。 ここ最近中々noteを更新はしていなかった背景として、小説のコンテストに応募する作品を執筆していたのですが・・・。 応募締め切りが4月末で、今まだ途中。 結論、間に合わない。 甘く見ていた。 仕事が忙しく、執筆が捗らなかったという言い訳だけ残しておくことにして、折角書いている作品なので、小説を

          間に合わなかった