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【潜在保育士さん復帰応援】保育士も育休産休制度の利用が当たり前の今 Write.2

こんにちは。
保育園で園長をしているSanaminaです。

今回は潜在保育士をテーマとしたブログ第二弾をお届けします。
ぜひ、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。



○潜在保育士とは


保育士不足の原因とも言われている潜在保育士の存在。
潜在保育士とは、保育士資格を持っていても、保育士として働いていない人のことを言います。
潜在保育士の定義として2種類のタイプがあります。
①保育士としての勤務経験があり、現在離職している人
②資格を持っていながら一度も保育士として勤務したことがない人

保育士を辞めた人だけでなく、最初から保育士にならなかったという人も潜在保育士に含まれます。
保育士資格を持っているけど、保育士として勤務していない人はこれに該当するということですね。

では、保育士として働いていて離職した人は、どのような理由があるのでしょうか。
1職場の人間関係
2給料が安い
3仕事量が多い
4労働時間が長い
5妊娠・出産
6健康上の理由
7結婚

厚生労働省の調査ではこのような結果となっているようです。

○妊娠・出産での離職

今回は
離職理由5の「妊娠・出産」を機に今まさに辞めようとして、
潜在保育士になろうとしている人向けに書いていこうと思います
潜在保育士さんの復帰も応援していますが、
これから離職しようとしている保育士さんの離職理由をもとに、様々な情報を提供して継続の方向へ考え直すきっかけ作りもしていけたらと考えています。

妊娠・出産だけでなく、結婚を機に退職する保育士も多いです。
私の勤務する園にも、
今年に結婚が決まり旦那さんが海外在住のため退職する職員がいます。
おめでたいですよね!
ぜひ、海外でも保育士やベビーシッターとして自分の武器を生かして欲しいものです。

結婚による離職理由としては旦那さんの職場に合わせて引越しをしたり、
勤務時間を考えると家庭との両立が難しく感じたり、
旦那さんに辞めてほしい(本人のことを思って)と言われたりなど、
理由は人によって様々です。

みんなそれぞれの人生があります。
結婚という新しいライフスタイルに変わり、保育士として働き続けていくことに不安や迷いが出るのは仕方がありません。
保育士なら誰もが考えると思いますが、「年度途中の退職」は職場に迷惑をかけるため避けたいところです。
とりあえず「出来るところまでやってみよう」というよりは、「出来ないかもしれないから辞めておこう」になってしまうんですよね。

引越しでの離職だとすれば、引越し先にも保育園はたくさんあるはずですし、就活にも困らないはず。

それでも保育士として働かない理由の一つとして
「いつかは子どもが欲しいし、妊娠したら職場に迷惑かけちゃう」
なんて考えている人、多いはずです。

○保育士って産育休制度の取得できるの?

確かに現に妊娠出産で保育士を離職する人は多いですが、保育士も育休産休を取得できるって知っていますか?
今の時代、一般企業の育休産休の取得は当たり前ですよね。厚生労働省2022年の調査によると女性の取得率は80%の割合を占めています。
男性は17%で、少しずつ増えて来ています。

でも、保育士ってどうですか?
まだあんまり主流にはなっていないような気がしませんか?

一回キッパリ辞めて子育てに専念しよう!と思う保育士さんも多いのでしょうか…。
保育現場で毎日のように園児と関わり、新米パパママの保護者の方をよく見ている保育士。
自分の子どもが産まれたら一度この世界から離れたいと思うのもわかるような気もします。

でもですよ?
戻る場所があるというのは心の安心にも繋がります。
私の勤務する園では
今、育休中の先生が2名、これから産休に入る先生が3名います。
まぁこれは多い方だと思いますし、こんなに多いと実際のところは人員の補充など悩みがあるのは本音です…。
でも、復帰してからは即戦力ですしやっぱり心強いです。
それだけうちの園が「働きやすい」と思ってくれていると、前向きに捉えることにしています。
こんな感じでバンバンすぎるくらいにバンバン取得しています!

結婚して離職したものの
「今なら働けそうだなぁ」と思いつつ「妊娠・出産」を考えると、なかなか踏み出せない人もいますよね?
産休育休取得には1年間の勤務は必要なので、そこまで妊娠をすぐに考えていない人であれば、ぜひこのような制度も視野に入れて保育士復帰を考えてみてください。

そして、今妊娠していて「仕事を辞めようかどうしよう」と考えたり、迷ったり、悩んだりしている人!!
そんなあなたにぴったりな魅力的な制度がちゃんとあるんです。
この制度をしっかりと理解した上で、これから先の自分のライフプランを考えてみてください。
一度離職してしまうと、戻るきっかけを失ってそのままずるずると潜在保育士に…それはそれで一つの選択ですが、
現役で保育業系にいる私にとっては「一度辞めるといつ保育士復帰するかわからない」より「保育士として継続する」という期待を持てるのであれば、持ちたいんです!笑
なのでしっかりとこの制度の魅力を伝えていきます!

では
そもそも産休・育休って??というところから見ていきましょう。
保育士をしていると
保護者の産育休はよく聞きますし、それによって保育の利用にも変化があったり客観的には身近なのですが、実際に自分が取得するとなるとあまり理解していないものです。

産休とは

産前休業(出産予定日の6週間前)と産後休業(出産の翌日から8週間)のこと
産前休業の取得には申請が必要ですが、産後休業に関しては該当の期間、医師が認めない限り働くことが禁止されています。
産休取得の手続きは職場によって異なるため、しっかりと確認しておくことが大事です。

育休とは

1年間の育児休業のこと
1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、育児休業を取得できます。
1歳になっても保育園が見つからないなどの一定条件を満たした際には、1歳6ヶ月までの延長が可能。また、その時点でも保育園が見つからない場合は2歳まで延長が可能となっています。

育休取得に必要な一定の条件
産休は雇用形態関係なく取得可能ですが、
育休取得に関しては、
パート、契約社員、派遣など期間の定めがある労働条件で働く人は条件を満たす必要があるので注意してくださいね。
また、次の3項目を労使協定で対象外としている場合は該当者は育児休業を取得することはできません。
・雇用期間が1年未満
・1年以内に雇用関係が終了する
・週の所定労働時間が2日以下

○育休を取得してママ保育士として復帰した1人の保育士ストーリー

さて、産休育休制度の知識が高まったところで実際に育休を取得して復帰した1人のママさん保育士のお話ししようと思います。

サワさん(仮名)30歳

真面目でおっとり
幼稚園の勤務経験あり
制作得意
主任経験あり
ヒップホップダンスが得意
優しい性格

こんなサワさんのお話です。

♯1  産育休に入るまで

サワさんは保育園で主任として働いていました。
幼児クラスを受け持ちつつの主任業務をしっかりと全うしていました。
そんな中、サワさんの妊娠がわかります。
すぐに職場に伝え、面談をします。
1年間の育休を取得することはすでに決めていました。
つわりの症状もあったり、体調の配慮も必要な時期でしたが、周りの先生たちはとても温かったとのこと。
同じ職場にママさん保育士もいたので、心配や不安、いろんなことを相談できたとも。

自分の体調を考えながら計画的に有給を使って休んでいましたが、
時には当日休んでしまうことも。
自分が急に休むことによって保育がとても大変になることがわかっているサワさんですが、こればかりは仕方ありません。

♯2 無事出産し、育休へ

順調にお腹の赤ちゃんは育っていき
産休に入ります。

無事に出産し、育休に入ります。

それから1年が過ぎ、
サワさんのお子さんは1歳になりました。
育休が終わる頃ですね。

予定では復帰の時期です。

お子さんは保育園に入れたのでしょうか?
保育園が決まっていれば、晴れて育休からの復帰となります。

この頃は待機児童が問題になっていた時期です。
0歳児の途中入園で保育園が決まるなんてことは奇跡に近いでしょう。

育休1年での復帰はやはり難しかったようです。
育休の条件でもあったように1歳になっても保育園が見つからなかった場合は育休延長ができます。
サワさんは育休を延長し、お子さんの保育園は1歳児クラスの4月入園を目指します。
サワさん自身もキリよく新年度からの復帰となります。

♯3 復帰前の面談

めでたくお子さんの保育園が決まり、サワさんの職場復帰も目前となってきました。
復帰する際は、休みに入る前の自分の居場所がそのまま確保されています。

サワさんは働き方に悩みます。
休みに入る前は
主任という立場で働き、他の職員同様でシフトも早番遅番を交代で回していました。
ママになったサワさん。
お子さんの保育園の送り迎えがあります。
パパの協力も得られますが、限界があります。
家庭と育児と仕事。
ライフワークバランスを考えます。

職場復帰は5月からにしました。
4月はお子さんの慣らし保育を優先します。

5月からの勤務時間
収入面を考えるとフルタイム勤務をしたいところだったようですが
まずは時短で働くことを決めました。
時短勤務(6時間勤務)で復帰します。

♯4 復帰後の時短勤務

晴れて復帰!!
保育園の子どもたちも
「サワせんせーーい!」と嬉しそうです。
保護者の方たちも
「おかえりなさい」とあたたかく待っていてくれました。

久しぶりの社会復帰を果たし
順調に進む…

わけはありませんでした。

保育園で働いている私たちなら誰もが知っています。
サワさんのお子さんは
「風邪」「発熱」「感染症」「下痢、嘔吐」あらゆる症状で保育園を休まなければいけませんでした。
サワさんのお子さんにとっては初めての保育園。
初めての集団の中。
いろんな感染症や風邪を貰います。
パパが仕事を休んだり、サワさんが仕事を休んだり、夫婦で協力してはいましたが、サワさんのお休みは少なくありませんでした。
それに加え、産後初めての仕事となるサワさん。
こんなに体力がなくなっているのかと自分でも驚いたそう。
お子さんのお休みだけでなく、自分の体調不良でのお休みも続きます。
サワさんが休んでも保育園は動きます。
みんなで協力しあって保育をしていきます。
なんの問題もありません!
と言いたいですが
サワさんは主任です。
休みが続くと
保育以外での業務が滞っていきます。
指示を出す人、管理する人、確認する人がいないわけです。

初めの頃は先生たちに戸惑いはありましたが、そのうち先生たちが自分たちで出来るようになってきたり、サワさん自身が「自分がいつ休むかわからない」という意識を持ちながら計画的に指示を出したり、職場全体で協力し合い改善しながら日々を過ごしていました。

ようやくサワさんの体力も戻り、お子さんも保育園に慣れ、体調の崩れも減って来た頃、サワさんは勤務時間について考え始めます。

♯5 時短からフルタイム勤務への移行

フルタイム勤務への変更希望を職場に相談します。
フルタイム勤務の希望ですが、家庭と育児があるサワさんは早番遅番は難しいと考え、自分の働きやすい時間帯を示し、その時間を固定してほしいこと。
土曜日は基本入れること。

サワさんの職場はサワさんの働き方を受け入れます。
復帰してから半年後くらいにはフルタイム勤務に移行して働き始めました。

そういえば、伝え忘れていましたが
サワさんは復帰後、1歳児クラスの担任となりました。
自分のお子さんと同じ年齢の子たちのクラスです。
元々サワさんは幼稚園に勤務していて小さい子を見たいからと言う理由で保育園へ転職しました。
しかし、幼稚園経験のあるサワさんは保育園での幼児クラスの即戦力でした。
2歳児クラスの担任を任されたこともありましたが、3〜5歳児クラスの担任がほとんどでした。
復帰後は念願の乳児クラスの担任でした。
毎日が新鮮で、自分のお子さんの保育園生活も想像したり、とても楽しんでいました。

フルタイム勤務に移行してからは勤務時間が長くなる分、主任としての仕事も少しずつ安定し始めます。

♯6 二人目の妊娠

ようやく
育児と家庭と仕事のバランスが取れるようになった頃
2人目の妊娠がわかります。

復帰してから1年も経っていませんでした。
職場に伝えた時はちょうど年末くらいです。
来年度についても話していく中で
サワさんは一つ決めていたことがあります。
主任を降りたいということ。
休むことが多くて迷惑をかけてしまうことも含め、
今のサワさんには荷が重かったようです。
次年度は主任ではなくリーダーとして勤務することとなりました。
もちろん育休は取得します。

そして新年度。
サワさんはつわりやお腹の張りなどで4月いっぱい休むことになりました。
5月には体調が安定し、通常通り勤務します。
サワさんは、0歳児クラスの担任となりました。
赤ちゃん達に癒されながら、自分が休むまでに引き継ぎをしたり、新人保育士を指導しながら仕事を楽しみます。
サワさんは制作が好きなので、
制作はじっくりとこだわり
運動会やクリスマス会の衣装もいろんなアイディアを取り入れて可愛いものを完成させます。

そして2回目の育休が始まりました。
今もサワさんは育休中です。

復帰後には2人の娘を持つママさん保育士となります。
サワさんの勤務する保育園にとって
サワさんはとっても大切な保育士の1人です!

○会社の制度は働く人の味方であるということ

サワさんのストーリーを見てみなさんどう感じましたか?
そんなに頑張って働かなくても…と思った人もいるかもしれません。
でも、これはサワさんが自分で決めたライフワークバランスです。

サワさんにとって仕事は必要だったということです。

だったら、辞めてからまた就活をして新しいところで働き始めるよりも
自分のポジションが確保されていて知っている環境で働いた方が、安心できると思いませんか?

そして、職場はサワさんの働き方をしっかりと考えてくれています。
今までのサワさん仕事の成果を認めてくれているから柔軟に対応してくれているところもあると思います。

休みがちだった時期の
周りの先生達の温かさにも救われたことでしょう。

これはが新しい職場だったらどうですか?
申し訳ない気持ちは変わらないと思いますが
人間関係に不安を感じてしまいますよね。

だからです!
もし今妊娠をして仕事を辞めようとしている人!

今の保育園を辞めずに、育休を取得してママ保育士として復帰する道も考えてみてください。

♯最後に少し厳しいことを言いますが…

このブログを読んで、辞めずに育休取得しようかなと考え始めた人。
少し真面目な話にはなりますが
自分の希望や要望ばかり言ってもそれは職場も困ってしまいます。
決断は自分のことだけを考えて決断すればいいですが
相談や要望がある場合は、相手側(職場)のことも考えましょう。
相手側(職場)もあなたの相談や要望を受け入れるためには、それに対してのメリットを考えます。
そのためにスキルアップは大事だということです。

ママになってからの保育士、
保育の見え方にも変化があるのではないでしょうか。
保護者へのアドバイスの幅も広がるのではないでしょうか。
子どもたちの見え方にも新しい発見があるのではないでしょうか。

きっと自分の自信につながります。
サワさんを見ているとそんな風に感じます。

いかがでしたか?
今回のお話はこれでおしまいです。
また次のお話でお会いしましょう。


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