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食べたい朝ごはんを選べるのはなぜ?

本記事では『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』(イングランド銀行著・村井章子訳)から一部抜粋してご紹介します。

世界中からやってくる食材

土曜の朝食、何にする?

土曜日の朝。あなたはこれから友人と会って、遅めの朝ごはんを一緒に食べる予定になっている。何を食べようか、魅力的な選択肢がどっさりある。

びっくりするほど安い英国式の定食を街角の食堂で食べるのもよし、大人気のベーカリーチェーン、グレッグスでサンドイッチやパイを買って公園のベンチで食べるのもよし。

都会のミレニアル世代で大流行のアボカドディップトーストをおしゃれなコーヒーショップで注文するのも悪くない。

これほどバラエティゆたかな朝ごはんをここイギリスで食べられるのはどうしてだろう。「経済」という抽象的な名前で呼ばれるものは、いろいろな食材、たとえば卵やパンやアボカドがどうしてこれほどかんたんに手に入るようにしてくれるのだろうか?

さあ朝ごはんを食べようというまさにそのときに、世界中からやってくる品々が自分の住む町にこれだけたくさん都合よく用意されているのはなぜだろう? しかもこんなに安く、気軽に払える値段で。

これらは経済学の基本的な問題だと言えるだろう。資源に限りがある世界で、必要なものや欲しいものが必要なときに欲しいときに確実に手に入るのはなぜかという問いに対して、それこそが市場の力だと経済学者は答える。

人々と企業などの組織の相互作用の結果として、いつもそこにある「財(goods つまりモノ)」や「サービス(service)」がその価格で用意されるのだ、と。

このプロセスの中心にいるのは、朝ごはんを食べようとするあなたと、フライやパンやアボカドだ。だからあなたも経済を構成する立派な一要素である。朝ごはんがどうやってここへ来たかを理解するには、まずはあなたの「選択」から経済を始めよう。

一人ひとりの選択が「市場」を作る

日々膨大な選択をする私たち

来る日も来る日も私たちはたくさんの選択をしている。ランチにベーグルを買おうか、家でサラダを作ろうか、バスで行こうか、自分で運転して行こうか、といった小さい選択もあれば、転職しようかやめておこうか、家を買うために貯金をしようかぱあっと使ってしまおうか、といったもうすこし大きい選択もある。

なぜこんなにたくさんのことを決めなければならないのだろうか。それは、ほとんどのものが有限なので、なんでも好きなだけ手に入れることはできないからだ。

これが必要だと思っても、あれも欲しいと思っても、別の何かに邪魔だてされる。だいたいは使えるお金が限られている。これを「予算制約」という。あるいは、品不足だったり自然資源が枯渇していたりするかもしれない。これを「資源制約」という。あるいは単に時間が足りないせいかもしれない。こあれは「時間制約」という。

選択肢は複雑に絡み合っていることが多い。労働者としてあなたの選択を考えてみよう。仕事と遊びとどちらを優先したいだろうか? 仕事を優先させれば収入が増えるから、予算制約は緩和され、欲しいものをたくさん買えるようになる。だがそうなると、時間制約はいっそう厳しくなってしまう。仕事にとられる時間が増えれば、せっかく収入が増えてもそれを楽しく時間は減ってしまうことになる。

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経済ってなに?

経済は私たちの行動や生活すべてに関わっているにもかかわらず、多くの人がよくわかっていません。『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』では経済を理解できるようになるための10の平易な質問を題材にしてわかりやすく説明しています。

「朝ごはんを何にするか」など身近でわかりやすい例えから経済問題を掘り下げて説明してくれるので、楽しく学ぶことができますよ!

景気、金利、インフレ・デフレ、GDPなどの経済基本用語や、経済危機、貿易摩擦、気候変動など世界が抱えるさまざまな問題を理解するために役立つ、経済入門書の決定版です。 ぜひお近くの書店などでお求めください!

イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章

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