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アンケート結果/一部内容公開

本日、キャンペーン初日!


キャンペーンは終了いたしました。



さて、気になるアンケートの結果はa.高カリウム血症と薬剤でした!

以下、『高カリウム血症と薬剤』内容公開です!


a.高カリウム血症と薬剤

1.高カリウム血症を起こす可能性のある薬剤
2.高カリウム血症とは?
3.高カリウム血症の心電図の特徴
4.高カリウム血症を引き起こす原因
5.高カリウム血症の対応(薬剤に関する部分)
6.まとめ


1.高カリウム血症を起こす可能性のある薬剤

薬剤名は一般名で記載しています。
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)
○○プリル(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、イミダプリル、テモカプリル、ペリンドプリル)

・アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
△△テンシン(テルミサルタン、カンデサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、アジルサルタン)

・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン

・カリウム製剤
L-アスパラギン酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム

 など

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は高血圧や慢性心不全に対して使用されます。これらの薬剤はカリウムの排泄を抑制するため、カリウム濃度が上がってしまう可能性があります。また、使用頻度の多い薬なので、注意が必要です。

カリウム製剤はカリウムを補充し、低カリウム血症(カリウムが不足している状態)を改善するために使用されます。

カリウム値を上げる・上げてしまう可能性がある薬剤は、特に併用時や腎機能障害がある場合に注意が必要です。病院にいる薬剤師の視点としては、薬剤や現在の血中カリウム濃度、腎機能等を見て、前述したような薬剤をすでに使用している場合や、これから開始する場合に、安全に使用できるか、または注意が必要でこまめに確認が必要な患者か判断し、継続的にチェックをしています。急性腎障害による高カリウム血症で入院してくる等、仕方のないケースもありますが、高カリウム血症は事前に対応できるケースが多いです。

2.高カリウム血症とは?

血液中のカリウム濃度の正常値は3.5~5.0mEq/Lです。
高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が5.5mEq/L以上と高くなった状態のことを言います。カリウム濃度が7mEq/L以上になると致死的不整脈を起こす可能性が非常に高くなります。そのため、高カリウム血症に気付いたらなるべく早く対応を取る必要があります。

3.高カリウム血症の心電図の特徴

◎高カリウム血症の心電図の特徴
・テント状T波

高カリウム血症の心電図はこんなイメージです。

スライド1



図のようにT波が高くテントみたいにとがっている心電図をテント状T波といいます。

高カリウム血症の初期にはこのようなテント状T波を認めます。

また、高カリウム血症が進行すると、QRS幅が延長するようになり、心室細動から心停止に至ります。

ちなみに、先ほどの心電図と正常な心電図と比較するとこんなイメージです。(薄い色の方が正常な心電図のイメージです。)

スライド2


4.高カリウム血症を引き起こす原因

◎偽性高カリウム血症
血液中のカリウム濃度は正常値なのに、検査結果では高い値となっている状態です。採血の際に手技的な影響から溶血(細胞内のカリウムが血液中に放出)してしまった場合などに起こります。この場合は、高カリウム血症に特徴的な心電図はみられません。

◎腎機能が低下している
カリウムは尿中に排泄されるのですが、腎臓の機能が低下していると、排泄ができず、血液中のカリウム濃度が高くなってしまいます。

◎カリウムを多く含む食品の過剰摂取
カリウムを排泄する量より、摂取する量が多いと血液中のカリウム濃度が高くなってしまいます。特に腎機能が低下している方は注意が必要です。

◎薬剤(前述)

5.高カリウム血症の対応(薬剤に関する部分)

◎原因薬剤の中止・減量

◎陽イオン交換樹脂製剤
腸管内で薬剤のもつ陽イオンをカリウムイオンと交換し、カリウムイオンを排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬のことです。ここで交換される陽イオンにはナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca2+)があります。

蛇足ですが、心不全でこれらの薬剤を用いる場合は、カルシウムイオン製剤を選択することが多いです。なぜなら、ナトリウムは体内に水分を保持する性質を持ちますので、心不全を悪化させる可能性があるからです。そもそも、高血圧や心不全など、ナトリウムを制限されているような方にナトリウムを入れてしまったら・・・、想像できますよね。

薬剤名は一般名で記載と、( )に商品名を記載しておきます。
・ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート®、アーガメイト®)
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート®)

◎GI療法
GI療法とはグルコース-インスリン療法のことです。グルコース(ブドウ糖)とインスリン(血糖値を下げるホルモン)を一定の割合で一緒に点滴します。インスリンは、血中のブドウ糖とカリウムを同時に細胞内に取り込んで、血糖値を下げます。インスリンのみを投与すると低血糖となってしまうためグルコース(つまり、糖分)を補っています。GI療法は、血糖値を上げるためでもなく、下げるためでもなく、血液中のカリウム濃度を下げることが目的です。


6.まとめ

高カリウム血症に特徴的な心電図は『テント状T波
◎血中カリウム濃度が5.5mEq/L以上を高カリウム血症という
◎高カリウム血症は進行すると心停止を引き起こす
◎高カリウム血症は事前に防ぐことができる
原因薬剤{アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、カリウム製剤など}の併用や腎機能障害時に注意
◎もし高カリウム血症時となってしまったら原因薬剤の中止・減量や陽イオン交換樹脂製剤、GI療法等の対応を取る

以上、『高カリウム血症と薬剤』についての話でした。

この機会に是非心電図と薬のニガテを克服してしまいましょう!


お読みいただき、ありがとうございました!


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