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食べ塾:初めて店舗を借りる~家賃交渉ノウハウ、賃貸借契約書のチェックポイントを知って得しよう!

商売の未経験の方が初めてお店を借りる際は、
事前にいろいろとノウハウやコツを勉強されていると、
あとで後悔しないで済む
よりいっそう満足できる店舗を手に入れて開業できると思います。

知らずに勘だより、物件案内担当の不動産業者の方の言いなりでは、
店舗物件の良い点は見えても、
欠陥や不都合な点は見えずに借りてしまうことにもなりかねません。

まずは基礎知識から身につけましょう。

■家賃交渉 知っておくと超お得!な交渉ポイント

1,店舗物件の下見→決定→手付金支払い(取得優先権発生)→
  本契約で物件取得(テナント権利の発生)の流れの中での

 「家賃」「敷金」をダメ元で交渉する
(経営者の始まり!) 
 

  *基本原則としては、「絶対気に入ったお店」は確保すべきです。
   そこはたぶん苦しくなった時でも、頑張れる場所です。

月ぎめ家賃の減額交渉
    相場並みであっても、相場より少し高くても、ダメ元で、
 「少し安くなりませんか?」と交渉する。

月ぎめ家賃の期限付き減額交渉
    飲食店は、売上が良くても最初の1年間~1年半は支払いも多く
 「契約しますので、当初1年間だけ減額できませんか?」と交渉する。

月ぎめ家賃の開業月までの営業売上のない期間の減額交渉
  ●良い店舗物件だけど、予定の開業月まで数か月期間がある場合
  ●内装工事期間を除いても空家賃の期間がある
  ●内装工事期間が長いので家賃負担を減らしたい

敷金の交渉
  敷金は店舗の退去時の店舗の補修費用および夜逃げなどの時の家賃の
取り損ないなどを防止するための費用です。

一般的には、敷金4か月分、6か月分、10か月分、12か月分の
いずれかが適用されていると思います。

<交渉理由づけ>
●店舗が古い(内装・厨房機器・エアコン・配管・天井が低いなど)

●前のお店が閉店してから6か月以上経過している
 (*借り手が少ないという証拠→下げても貸したいという可能性あり)

視認性が乏しい店舗
 入口が目立たない店舗、店舗自体が目立たない など

駐車場がない

●自分の店舗と客層や営業時間帯が合わない店舗が同フロアにある
 (*営業効果が少し悪いことが予感される条件の店舗)

などを理由に交渉できます。6か月分が4か月分になれば、
敷金2か月分の金銭の「寝かせ金」が無駄にならずに済みます。



<店舗物件の良さとともに必要なこと> 

*窓口の不動産担当者の人柄・・・店舗の相談が増える相談相手
*テナント家主の人柄   ・・・改造等の許可をいただく相手

ということがあります。
借りた後からのお願い事でも相手の人柄により差が出ます。
  
契約前には「家主」さんへ一度会って人柄や相性を確かめておく
ことも必要です。
  

しっかり「できません!」と断ってくるケース>
  比較的人気のある立地の賃貸物件がこのケースです。
家主さんも店舗が新しいほど、銀行返済や電気代、水道代、補修費の
積み立て等でおよそ売上の20%が粗利という商売ですから、
小規模の家主ほどあまり余裕がないのが現状と思います。

<店舗もビルの建物も老朽化して集客力が落ちてきたケースの場合>
  一昨年、昨年とあったケースですが、
「新しいビルに引っ越しする!」と伝えたら、
賃料を30%下げてきた
ということが特に歓楽街のお店で実際にあったお話です。

*ビルの持ち主からすると、
 テナントが埋まっている良い状態が一番暗視間のある状態ですし、
閉店した店舗が増えると、今営業中のテナントさんも他のビルに
逃げて移転することが多々あります。
(*特に歓楽街のオールリースのスナックなどのお店)


  最初に契約時にしっかり家賃交渉・敷金交渉することが大切です。
  また、売上の大きな変動が起きた時は遠慮なく家賃交渉をして
  お店の経営基盤を確保して下さい。


■賃貸借契約書で重要な3つのチェックポイント

最初に入る時に一番重要なのは、「閉店時の条件」が一番大事なことです。
大型のモールなどにオファーがあって入居しても、大外れで1年後に撤退
する場合は、契約期間中の中途解約に該当して、
12か月分の家賃支払いを通告された例も実際にあります。

●重要1:退去時の「通告」は何か月前になっているか?
  
たいていのローカルの民間のケースでは、
6か月前に書面で通知
とかになっていると思いますが、中には「3か月前」「10か月前」
「12か月前」というのもあるかと思います。

多くの場合、6か月前と書かれている場合は、
3か月後に退店すれば、撤退後の残りの3か月間の家賃を支払うか、
返却される敷金等で清算をされることもあります。

●重要2:退店時の引き渡し条件が「原状渡し」か「現状渡し」かで
    大きく退店時のコストが変わります。

 ●原状渡し・・・一般でいうスケルトンの契約時の状態に戻して退店する
         という条件です。(*一番お金がかかります)
  それを逃れるために、
  第3者に「居抜き店舗を1万円で渡す」ということも出てきます。

  <理由>
  スケルトン費用が1000万円、中古機材・備品の搬出費用が100万
  の場合では、
  原状回復のための費用で1100万円かかるよりは、1万円で店舗を
  居抜き売却して、敷金800万円を返してもらったほうがはるかに
  良い収支になります。

  店舗の撤退の場合は、「いかに撤退経費を小さくできるか?」が
  経営者の方の知恵の出しどころになります。


  *家主側とすれば借り手がどの業種であってもよいように、
   原則スケルトンと契約書に明記するわけです。 

 ●現状渡し(居抜き)・・ 内装・厨房、空調・食器等の居抜き譲渡

 <居抜きで退去する人のメリット> 
 ・スケルトン費用が不要
   自分が出る代わりに、次の借りる人を肩代わりに確保できるので、
  「退去時のスケルトン契約」があっても、自分がしないで済む。

 ・敷金が全額返還

 ・内装や機器が中古販売の形で現金化する
  居抜きの金額には、内装経費の一部、厨房設備(持ち出すものと
  置いておくものを仕分けして金額を決める)、空調設備、看板、
  食器、調理器具、レジなどが含まれることが多い。

 ・退去後のわずらわしさがない

 契約書の「退店時の条件」をしっかり見てから、
 最初の契約書にサインをしましょう!

 
また、「特記事項」に書いていることも重要ですから
 ぜひ見るようにしましょう!

 ご自分で気になることは、交渉してから、
 「口頭の取り決め」でなく「文章で特記事項に記載」してもらい、
 後々の言う言わないのトラブルを防ぐようにしましょう。

重要3:特記事項 
特別に家主側の意向で契約書の条項以外にプラスされる「取り決め項目」
です。
(*基本の契約書に盛り込まれていない事項がここに記載されます)

●借りる側が不利になりすぎるとして申し込んだ場合には、
 交渉して抹消されるケースもあります。
 借りる側が新たに項目を加えるようにすることもできます。

 ・看板の取り付け場所
 ・共用スペースに移動看板を置かざるを得ない場合
 ・排煙の方向や高さの指定があったりする場合
 ・賃料の値上げ制限 2%以内とか5%以内とかいう文言も過去に
  記載したことがあります。(*条項で決めている場合もあり)

●補足事項
 テナント物件のまた貸しは「無効」というのがあります。
 知らずに貸してしまうということがなきにしもあらずと
 いうこともあるかと思いますが、
 法的には勝ち目はありません。

<その他の予備知識的なこと>

 また、
 大手のフランチャイズチェーンに加盟していた飲食店舗が脱退して
 単独で類似業態を営業した場合は、
 
 数10ページ~数100ページの契約文の中に一度も見たことのない
「1行の文章」があるために敗訴して、全額違反金を支払った例も
 あります。

 その人は弁護士費用500万円、FC本部への違約金2000万円を
 支払わされました。

 ●契約書は「ハンコ」を押したらそこで終わりです。

  良い方法は、
 ●預かって帰ってから、じっくり見て、疑問な点は聞いてから契約する
  のが
 「一番順当なやり方」です!  ←人生のどの場面でもそうです。

 *ずるい不動産担当者の場合は、良い点だけを強調して説明して、
  不都合な点は説明せずに、見せたその場で、
  「本契約書の契約」をするように仕向ける人もいます。

  この契約書内容でいいか?
  吟味することが、もう経営の仕事の始まり になっています。

(了)



   

飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします