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飲食店未来学52:どの飲食店業種が一番儲かるのか?~公庫が示す利益率の指標

日本政策金融公庫が公表している「業種別利益率」は以下の通りです。おおもとの業種分類そのものが昭和のままを踏襲している分類法なので、イタリアンや焼き肉やバールやカフェはこの中に埋没していると理解してください。

当然ながら、この公庫さんが融資した飲食業種の同業種平均値として出てきた数字であり、特別の仕掛けがない限り、これより高い利益率で事業を計画すると、見せかけのテンプラ計画書とみられます。またこれより低い利益率だと、実態がわかっていない甘い計画書とみられると思います。

利益率が高い業種

カレー料理店71.5%(香辛料は高いがボリュームは少ない、ナンは安い)、そばうどん67.1%(粉もの商売)、お好み焼き68.4%(粉もの商売)、喫茶店68.7%(コーヒーもケーキも利益率が高いため)

一方、寿し店55.7%(魚介は肉類より価格が高く価格変動もあり鮮度劣化するため原価率が高くなり利益率が下がる)、料亭59.3%(高級食材を使うため利益率は悪くなる)。

朝鮮料理店59.1%(ややピンと来ない数字ですが、もともと焼肉は朝鮮料理であったことを加味すると、朝鮮料理店の業種は、わかりやすく分けると、韓国料理店と焼肉店の合算の数値であればこの利益率や原価率は納得できます。焼肉店は客単価が高いが食材原価率が高い商売です)

公表されている業種別の利益率

元データは日本政策金融公庫 客単価、客数は筆者の記載です

商売成功の最短業種は<利益率×客数>で選ぶ

ご存じのように、売上=客数×客単価が大原則ですが、これからの飲食業の世界は、毎年「食材の仕入価格の上昇→価格転嫁(値上げ)」を何十年と繰り返す時代にすでに突入して数年経ちます。

そうなると、新規開業では、「利益率」をある程度重視しなければなりません。私の知っている限りでは、イタリアン、フレンチ、その他専門料理店中華料理、本場カレー専門店、粉もの業態(うどん、そば、ラーメン、お好み焼き、たこ焼き、ガレット、一銭焼き、饅頭、肉まん、餃子、焼売など)が有利な業種業態と思います。

どのお店も、翌月も営業できるためには一定の客数が必要です。この客数を確保する条件は、①魅力のある差別化メニュー②利用客層に合った価格設定が欠かせません。

客数の鍵は価格設定で決まる

価格が安い方を選ぶ、選んでみたら満足しない内容で反省する。よくあることです。次には、少し上の価格で選んでみる。これを繰り返して、料理価格の高額化がどんどん進んでいます。

ただし、収入面で価格の高さについてゆけない人は、味わい(美味しさ)、ボリューム、シンプルな食事、いずれかを我慢しながら妥協するしかありません。まさに低価格と高価格の二極化が強くなっています。

お金の余裕のある人は料理内容に満足できる高級店を利用します。お金のない人でも3か月~6か月に一度は、ご馳走を食べる晴れの日の食事として高級店を利用します。(利用されない方もいます)

価格設定いかんで客数が変化する時代
商品の金額が受け入れられる金額かどうか(金額の許容範囲)
●商品の金額と商品価値がバランスがとれているかどうか(見合う商品価値かどうか)この二つで、客数が変化します。

利益率×客数×価格設定で売上は決まる
客単価は業種と業態で次第に固まって来る

*業種 どんな料理を売るかで業種は決まります
*業態 選んだ料理をどのように売るかで業態が決まります

近年は業種と業態をまとめて「業態」という言い方も増えてきています。
(了)


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします