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飲食店未来学48:安売りで売上をつくる考えはビジネスモデルを破壊する

ディスカウント販売はボディブローになる


全国チェーンや広域飲食店チェーンにディスカウント販売の兆候が強いと感じられます。

●WEB上で自店グループの存在感を安売り情報で注目させる
●外食客の減少(節約意識の高まり)に対する懸念の払しょく対策
●何が何でも支払いに必要な資金を売上高で確保する
●コロナ前実績に満たない分を埋め合わせたいための対策

これらの要因でディスカウントを行っていると考えています。しかし、昭和平成の時代と異なり、食材費も人件費も光熱費も高い令和の時代においては、この手法は、ますます自社の体力を奪い、やがてはビジネスモデルの倒壊を招く手段と考えています。

<今後成り立たなくなる飲食店>

全国規模の飲食店チェーン 
本部費が出なくなる。輸送費が負担になる。セントラルキッチン型は困難になる。サイゼリアさんのような冷凍完成品の工場型はメリットがある。

全国規模&広域の焼肉チェーン、回転すしチェーン
生き残る道はただ一つ。自社の恐れる「価格の壁」を乗り越えられるかどうかだけです。スシローさんには300円台の壁、焼肉きんぐさんには4,000円の壁や5,000円の壁があります。

100席以上の飲食店舗
繁盛店でも、以前に比べて平日の満席状態の時間は減少してきています。今の商圏内の需要度を考えると、大型店舗は中規模店舗に席数減をするほうが経営の収支は良くなります。(減収増益の形が今からの理想形)

・店舗が大きすぎ
・多くの従業員が必要(旧来のしくみで運営するため慢性的な人手不足)
・光熱費(特に電気代)がかかり過ぎ
新メニュー開発力の弱体化(開発担当者にビジョンと熱意が乏しい)

個人経営の低価格飲食店
街の庶民の味方という存在であっても、経営者の高齢化、店舗の老朽化や食材の高騰などによる利益率の低下で、後継者は生まれずに徐々になくなってゆくと予測しています。

ただし大手の低価格飲食チェーンの場合は、海外からの一括仕入れで20%近く安く仕入れられることや、料理の完成を一工程(火入れ加熱)でできる完成度までつくったものを配送するため、現場調理コスト(機材・スタッフ)がほとんどかかりません。すき家さんなどの調理はレンジアップ主体です。

このような現状の市場性の環境の中でディスカウント販売をすれば、まさにボディーブローを食らうことになります。むしろ売上を維持しつつも、今の令和の時代に合ったビジネスモデルに移行すべきと思います。今のモデルが最終形ではないのですから。

中の上レベルの飲食業態に格上げしよう

●商品力を上げる
●価格をコストに見合う売価にする(自店事由の価格転嫁)*見極めが必要
●人気度の高い商品のみを売る
●現状の平均客単価を引き上げる料理開発やしくみをつくる
●料理分野ごとに一品平均価格より上の新メニューを開発する

要は一般飲食店ながらも、専門店的な要素を高めることです
そうでなければ、食材高騰などに連動した「価格転嫁」は容易ではないと思います。お客さまが価格が上がっても、客数が減らないだけの、商品とお店に魅力が必要です。

(了)


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします